トレード戦略におけるストキャスティクスの使い方とは?
テクニカル指標はツールであり、ツール以上の何者でもありません。ほとんどの指標は、ある値を割り出すための数式に過去の価格情報を使います。そして、その値は何かを示していると判断することができます。
ストキャスティクスの紹介で見たように、ストキャスティクスはモメンタムに注目する指標(指標)です。相場のモメンタムが上昇すると、%Kラインも上昇します。%Dラインは%Kの移動平均線であることから、単純なクロス(交差)はモメンタムの変化を示します。しかし、オシレーターであるために、その値は0と100の間を動くことになり、予測したシナリオにおける買われ過ぎ/売られ過ぎを判断できる機能もあります。これは、正しく使えば役に立つものです。
テクニカル分析入門
テクニカル分析ツール
推薦者: James Stanley
ストキャスティクスは聖杯ではない
戦略的なパラメータの話に入る前に最初に指摘すべきことは、恐らく(そして願わくは)既に皆さんがわかっていることでしょう。どんな指標も「完璧」はあり得ません。状況ごとに適切なエントリーとエグジットポイントを示してくれる指標は存在しません。結局のところ、ストキャスティクスやその他の指標は、本当に単なるツールにすぎません。ツールは役に立つものですが、ハンマーを手に取ってそれが未来を教えてくれると期待する人はいないはずです。なぜなら、それはハンマーに過ぎないからです。
ストキャスティクスも同じです。それはツールであり、適切な状況下では役立つ可能性があります。しかし、指標がいつでも重要なトレードのセットアップを示してくれることを期待するのは災いのもとです。なぜなら、結局は、どんな指標もハンマーのように単なるツールだからです。
ストキャスティクスがフィットする使い方とは?
ストキャスティクスはモメンタムの転換を強調するため、トレーダーの戦略においては理想的なトリガーとなり、他の基準が満たされた時にポジションを建てるのに役立ちます。その他の基準はトレンドの分析や重要なサポートとレジスタンス水準の出現に関係することが多く、その後、トレーダーはトレンドの転換を予測することになります。
ストキャスティクスの使用例
そのような戦略を設定する簡単な方法は、移動平均線のようなトレンドフィルターを使って、方向性のある動きに対するバイアスを得ることです。そして、価格が移動平均線より上にあれば、トレーダーはトレンドの方向でトレードするためにロングポジションが相応しいと予想します。ストキャスティクスの強気のクロスは、価格が移動平均線より上にあることを前提に、ロングポジションのトリガーとして取り入れることができます。



トレーダーは選択した方法にもとづいて、そのポジションにストップ(逆指値)を付けることができます。そして逆のシグナル、または弱気のストキャスティクスのクロスが現れた場合には、ポジションを閉じます。なぜなら、価格が移動平均線より上にあるならトレンドは「強気」であり、トレーダーはそのトレンドの方向にしたがって強気のポジションを仕掛けるため、ショートポジションは持たないはずだからです。そしてそのような状況で、ストキャスティクスによって対応する強気のシグナルが現れれば、トレーダーはなんらかのポジションを仕掛ける可能性があります。下のチャートは、英ポンド/米ドルの日足チャートに100日移動平均線をトレンドフィルターとして使い、この戦略がどう見えるかを示しています。
下のチャートを解説すると、チャートの左側にある価格は移動平均線を上回っており、ストキャスティクスを使った戦略においてはロングポジションのみが対象となります。そして、ここでは強気のシグナルがトリガーとなっています。弱気のシグナルは強気のシグナルを否定するため、ポジションのエグジットポイントである可能性を示すことになります。このチャートでは青色のボックス部分は強気シグナル、右側にある赤色ボックス部分は弱気シグナルを表し、この戦略が機能している箇所を示しています。
しかしながら、全てのシグナルが方向性を導いてくれるわけではありません。未来は常に予測不可能であり、いかなる指標も常に正しいということはあり得ません。なぜなら、繰り返しますが、それは単なるツールだからです。ただ、単なるツールも複雑な仕事を成し遂げることができ、以下の戦略はその目的に向けたスタートです。
英ポンド/米ドル(GBP/USD) 日足チャート
英ポンド/米ドル 日足チャート(2021年4月―2022年3月)ジェームズ・スタンリー作成



--- DailyFX.com シニアストラテジスト ジェームズ・スタンリー著