ストキャスティクスはモメンタムやトレンドの強さを評価する上で有用な指標です。ストキャスティクスやその他オシレーター系の指標は、一般に明確な売りと買いのシグナルのある分かりやすい形で表示されます。ただ、ストキャスティクスについて深く理解せずにそのシグナルに頼りすぎると、最終的に落胆されるかもしれません。
そのような事態を防ぐため、初心者トレーダーはストキャスティクスの基本的な仕組みについて、実際のマーケット環境と照らし合わせてしっかりと理解する必要があります。



ストキャスティクスとは?
ストキャスティクスは、有価証券の価格が一定期間におけるその値動きと比べて買われ過ぎまたは売られ過ぎの状態になっているかどうかを計算するモメンタム指標です。オシレーターは、基本的に直近の価格水準を定義された期間のレンジ(最高値と最安値)内でのパーセンテージで示します。

ストキャスティクスのしくみと使い方
2本の曲線が2本の水平線の上の線を超えると「買われ過ぎ」で、下の線の下側に出ると「売られ過ぎ」です。
買われ過ぎの線は指定期間における最近の価格レンジ(高値-安値)の80%~100%が入る価格水準を示しています。また、指定期間は通常14日間が使用されます。同じように、売られ過ぎの線は最近の価格レンジの20%~0%が入る価格水準を示しています。
エントリーのタイミング
さらにストキャスティクスは、エントリーのタイミングについて優れた洞察を提供します。両方の線が買われ過ぎ(80)のラインより上にあり、かつ%Kが点線の%Dを交差して下に抜けるポイントは、ショートポジションのエントリーシグナルと見なされ、両方の曲線が売られ過ぎ(20)ラインより下にあり、%Kが%Dを交差して上に抜けるポイントはその逆と見なされます。

なお、トレーダーは単に買われ過ぎ/売られ過ぎの状態だけにもとづいてむやみにトレードすべきではありません。トレーダーは全体的なトレンドの方向性を理解し、それにもとづいてトレードを選ぶ必要があります。たとえば、以下のUSD/SGDチャートを見たときに、全体的なトレンドは下降トレンドのため、トレーダーは買われ過ぎ水準におけるショートエントリーのシグナルのみを見ます。トレンドが反転したり、レンジ相場になったりした場合のみ、売られ過ぎ状態でのロングエントリーを検討すべきです。

ストキャスティクスの計算式
以下の計算は14日間のストキャスティクスのものですが、トレーダーは自分に合わせて数値をカスタマイズできます。
%Kの計算:
%K = [(C – L14) / H14 -L14)] x 100
代入:
C = 直近の終値
L14 = 期間内の最安値
H14 = 期間内の最高値
%Dの計算:
%D = %Kの単純移動平均線(3期間の単純移動平均線が一般的)



ストキャスティクスの長所と短所
指標を最大限に活かすためストキャスティクスの長所と短所を把握しておきましょう。
長所 | 短所 |
---|---|
明確なエントリー/エクジットのシグナル | 誤って使用するとダマシのシグナルを生む場合がある |
シグナルが頻繁に表れる(選択した時間設定による) | 逆張りの場合、価格は買われ過ぎ/売られ過ぎの水準に長期間留まる場合がある |
ほとんどの証券会社が提供している | |
概念的に理解しやすい |
ストキャスティクスのまとめ:使い方に注意する
ストキャスティクスは、指定した期間における買われ過ぎと売られ過ぎの状態を認識するための優れたツールです。ストキャスティクスは、価格がレンジ内でトレードされているときに好んで使用されます。なぜなら、価格自体が「一定の幅で揺れ動いて(オシレートして)いる」ため、ストキャスティクスからより信頼できるシグナルを得ることになります。しかし、上昇トレンドにあるときに買われ過ぎ水準でむやみにショートすることや、下降トレンドにあるときに売られ過ぎ状態にあることのみにもとづいてロングすることは避けるべきです。
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