移動平均線

移動平均線 – ポイント:
- 移動平均線とは
- 移動平均線の計算方法
- 移動平均線の使用用途
- 移動平均線の解釈方法
移動平均線とは
移動平均線は、テクニカル分析において、ある期間におけるマーケットの終値の平均を表すために使用される指標です。トレーダーは現在のマーケットのモメンタムを分析するための優れた指標として移動平均線をよく利用します。
2つの最も一般的に使用される移動平均線は、単純移動平均線(SMA)と指数平滑移動平均線(EMA)です。これらの違いは、単純移動平均線はデータを平均する際に重みをつけないのに対し、指数平滑平均移動線は直近の価格により重みをつける点です。

移動平均線の計算方法
上述のように、最も一般的に使用される移動平均線は単純移動平均線(SMA)と指数平滑移動平均線(EMA)です。ほとんどのチャートツールには、テクニカル指標として移動平均線が搭載されています。
単純移動平均線は一連のデータの合計をデータ数で単純に割った平均です。
SMAの課題は、すべてのデータが均一の重みを持つため、現在のマーケットのトレンドを真に反映するには歪んでいる可能性があることです。
EMAはこの問題を修正するために開発され、直近の価格に重みを付けています。これによりEMAは、マーケットの現在のトレンドにより敏感になり、トレンドの方向性を判断する上で役立ちます。
それぞれについての計算式は以下の通りです。
単純移動平均線:
SMA =


代入:
A= 各データポイント
n = 期間の数
たとえば、EUR/USD日足チャートで5日間の終値とSMAを見ると以下のようになります。
1日目: 1.321
2日目: 1.301
3日目: 1.325
4日目: 1.327
5日目: 1.326
SMA = (1.321 + 1.301 + 1.325 + 1.327 + 1.326)/5
SMA = 6.6/5
SMA = 1.32
指数平滑平均移動線
EMA =


代入:
EMAt= 本日のEMA
Vt= 本日の値
EMAt= 本日のEMA
s = 平滑化定数
d = 日数
EMA計算手順:
1. 指定期間についてSMAを計算します。
2. 計算式を使用してEMAの重み付けの乗数を計算します。
[2 ÷ (選択した期間の日数 + 1)]. そのため10日の移動平均線ならば乗数は[2/(10+1)]= 0.01818となります。
3. 以前のEMAと平滑化定数を組み合わせて現在の値を計算します。
たとえばある株式の10日間のEMAならば、計算方法はこの表のようになります。
日付 | 価格 | 10日のSMA | 平滑化定数 2/(10 + 1) | 10日のEMA | |
---|---|---|---|---|---|
1 | 2018年4月24日 | 23.24 | |||
2 | 2018年4月25日 | 22.99 | |||
3 | 2018年4月26日 | 22.85 | |||
4 | 2018年4月27日 | 23.00 | |||
5 | 2018年4月28日 | 22.96 | |||
6 | 2018年4月29日 | 22.21 | |||
7 | 2018年4月30日 | 21.99 | |||
8 | 2018年5月1日 | 22.43 | |||
9 | 2018年5月2日 | 22.24 | |||
10 | 2018年5月3日 | 22.55 | 22.65 | 22.65 | |
11 | 2018年5月4日 | 22.15 | 22.54 | 0.1818 | 22.56 |
12 | 2018年5月5日 | 22.39 | 22.48 | 0.1818 | 22.53 |
13 | 2018年5月6日 | 22.38 | 22.43 | 0.1818 | 22.50 |
14 | 2018年5月7日 | 22.61 | 22.39 | 0.1818 | 22.52 |
15 | 2018年5月8日 | 23.36 | 22.43 | 0.1818 | 22.67 |
16 | 2018年5月9日 | 24.05 | 22.62 | 0.1818 | 22.92 |
17 | 2018年5月10日 | 23.75 | 22.79 | 0.1818 | 23.07 |
18 | 2018年5月11日 | 23.83 | 22.93 | 0.1818 | 23.21 |
19 | 2018年5月12日 | 23.95 | 23.10 | 0.1818 | 23.35 |
20 | 2018年5月13日 | 23.63 | 23.21 | 0.1818 | 23.40 |



移動平均線の使用用途
移動平均線の主な目的は、マーケットの短期的な変動を排除することです。移動平均線は選択した期間における終値の平均を示しているため、トレーダーはマーケットの全体的なトレンドを単純な形で認識することができます。
移動平均線のもう一つの利点は、カスタマイズ可能な指標であるという点です。つまりトレーダーはトレードの目的に適した期間を選択することができます。移動平均線はマーケットへのエントリーやサポートラインおよびレジスタンスラインを判断するために使用されることがよくあります。価格が移動平均線以下でトレードされているときはレジスタンスラインとして、移動平均線以上でトレードされているときはサポートラインとして機能することがよくあります。
移動平均線の使い方
トレーダーが移動平均線を使用する方法は3つあります。
- トレンドの方向性を判断するため
- サポートラインとレジスタンスラインを判断するため
- 長期と短期のトレンド把握のため複数の移動平均線を使用する
1. トレンドの方向性を判断するため:
価格が上昇トレンドにある場合、移動平均線も上昇する価格を反映して上昇します。これはブルサインと解釈でき、トレーダーは買いの機会を探します。
反対の場合も同じです。価格が移動平均線よりも一貫して下にある場合、シグナルはベアサインであるためトレーダーは売りの機会を探します。
2. サポートラインおよびレジスタンスラインとしての移動平均線
トレーダーがトレードを仕掛けた後、移動平均線はサポートラインおよびレジスタンスラインを判断するために使用することができます。
移動平均線が上昇している場合、移動平均線を試すような形でマーケットにエントリーすることができます。同じようにトレーダーが上昇トレンドのマーケットで既にロングのポジションを保有している場合、移動平均線をストップロス水準として使用することができます。反対の場合、下降トレンドでも同様のことができます。
下のチャートは、サポートラインおよびレジスタンスラインの両方として移動平均線をどのように使用できるかを示したものです。


3.複数の移動平均線を利用する
下のチャートのように、1つのチャート上で複数の移動平均線を使用することも一般的におこなわれています。これによりトレーダーはマーケットの短期および長期のトレンドを同時に評価することができます。価格がグラフ上のこれらの線より上または下で交差した場合、それは特定の通貨ペアの強さまたは弱さを示すと解釈されます。複数の指標を使用するこの方法は、トレンドのあるマーケットで非常に有効であり、MACDオシレーターを使用した場合と似ています。
複数の移動平均線を使用する場合、多くのトレーダーは曲線の交点を探します。この交差はブルパターンでは「ゴールデンクロス」と呼ばれ、ベアパターンでは「デッドクロス」と呼ばれます。
ゴールデンクロスは、短期の移動平均線(50日移動平均線など)が、長期の移動平均線(200日移動平均線など)と交差し上に抜けた場合を言い、デッドクロスは、短期の移動平均線が長期の移動平均線を下に抜けた場合を言います。ロングのポジションを持つトレーダーはデッドクロスをトレードの決済のタイミングと考え、ショートのトレードではゴールデンクロスをトレードの決済のシグナルと捉えます。

移動平均線の説明と使い方: まとめ
移動平均線はトレンドのあるマーケットにおいて、トレーダーが使用する一般的な指標です。多くのトレーダーが一度に複数の移動平均線を使用し、マーケットを総合的に分析しています。移動平均線はマーケットへのエントリーの際、またサポートラインおよびレジスタンスラインとして使用されることもよくあります。