WTI原油価格価格は、イスラエルによるイラン攻撃を受け、一時上昇したものの、その後下落に転じた。原油価格は、週間で2週続落。価格動向に敏感な投機筋に注目すべき動きが見られる中、原油価格の今後の見通しとは。
【原油価格のターゲット】
上値:9日移動平均線(現在84.03ドル)
下値①:80.00ドル
下値②:78.00ドル
原油、2週続落
イスラエルによるイラン攻撃を受け、WTI原油価格が一時急騰したものの、双方ともに更なる情勢悪化を望んでいないとの思惑などから、上昇幅を縮小した。原油価格は、2週連続で下落し、合計で4%強下落した。
一方、安全資産に対する需要などを受け、金や銀などの貴金属のほか、中国の景気回復期待などから、鉄価格が上昇した。また、米国と英国によるロシアのアルミニウム、銅、ニッケル取引への規制などを受け、銅価格も上昇している。
資料:BloombergよりDailyFXが作成
原油、投機筋の思惑
中東情勢を巡る不透明感が継続しているものの、3月までの急上昇を受けた高値警戒感などから、価格動向に敏感な投機筋(ヘッジファンド等)は、弱気見通しの売り持ちポジション(原油先物のショートポジション)を増やしている。
原油先物の買い持ちと比べ、売り持ちポジションの積み上げ幅が大きい。売り持ちポジションの増加が、足元の原油価格の下落に寄与している可能性がある。
ただし、原油価格に強気の買い持ちポジションを削減しておらず、見通しを大きく変更したわけではないことから、投機筋のポジション動向は中立~やや弱気である。
資料:CFTCよりDailyFXが作成
WTI原油価格の見通し
WTI原油価格(1バレル)は、イスラエルによるイラン攻撃を受け、一時急上昇した。しかしながら、「対称三角形(シンメトリカルトライアングル)」パターンの下方トレンドラインを、終値ベースでブレイクすることに失敗し、上値が重くなっている。また、9日移動平均線が20日移動平均線を下方ブレイクし、原油価格に弱気の「デッドクロス」が成立した。
イスラエル・イラン双方ともに、事態の更なる悪化は避けるのではとの思惑が強まっているものの、中東を巡る不透明感が一段と高まっており、原油価格は、値動きの荒い展開を想定したい。
投機筋のポジションやテクニカル面で弱気シグナルが点灯する中、中東情勢の一段の悪化が示されない限り、原油価格が下落することを見込む。その場合、原油価格は、心理的節目である80ドルへの下落が視野に入る。この水準でサポートされなかった場合、次の下値として78ドルをトライする可能性がある。
一方、イランが再度攻撃を実施するなど、中東情勢が悪化した場合、原油供給リスクが意識され、原油価格が上昇することが見込まれる。原油価格が上昇した局面では、9日移動平均線(現在84.03ドル)への上昇が視野に入る。
【原油価格のターゲット】
上値:9日移動平均線(現在84.03ドル)
下値①:80.00ドル
下値②:78.00ドル
WTI原油価格日足チャート
資料:TradingView
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著