トヨタ自動車が8日に行う2024年1-3月期の決算発表では、2025年3月期（2024年度）の通期見通しに注目が集まりそうだ。トヨタは円安進行とハイブリッド車の販売拡大が追い風になって好業績が継続。2024年度についても強気な見通しを示すことができれば、株価上昇に対する投資家の期待は膨らみそうだ。ただ、トヨタの2023年度決算は当初の見通しを大きく上回る想定外の好決算という側面もあり、さらなる成長に向けたハードルは決して低くはない。
トヨタの2023年度は総収入が44兆円の見通し
LSEGのデータによると、トヨタの1-3月期決算に関する市場予想は、総収入が前年同期比5.3％増の10兆2030億円の見通し。営業利益は19.2％増の7473億円と見込まれている。2023年度としては総収入が約44兆円、営業利益が約5兆円になるとの予想だ。トヨタ自身が2月に示した業績予想の、総収入で43兆5000億円、営業利益で4兆9000億円という水準を上回る結果が期待されている。
トヨタの株価（7203）は2022年に約14％下落し、2023年は約43％高という勢いをみせた。2022年はロシアによるウクライナ侵攻や半導体需給のひっ迫という逆風が続いたが、2023年は為替相場で進む円安が追い風になった。またトヨタが得意とするハイブリッド車の販売拡大も投資家心理を上向かせたようだ。5月1日の終値は3605円。2023年末比での上昇率は39.16％で、日経平均株価（N225）の14.77％をしのいでいる。
またLSEGによると、直近の株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率（PER）は10.36倍で、前回決算発表前にあたる1月下旬の水準（9.50倍）よりも割高感が増している。また、ホンダ（7.91倍、7267）や日産自動車（5.19倍、7201）と比べても割高といえる。株価純資産倍率は1.56倍だ。アナリストが提示する目標株価の平均は3481.50円で、現状よりも安い。4月に入ってからは目標を4300円に引き上げる動きも出ている。23人のアナリストのうち6人が強い買い、10人が買いを推奨。7人は維持を勧めている。
トヨタの業績は円安とハイブリッド車の好調が追い風
トヨタの2023年度の実績に対する市場の期待が膨らんでいる背景には、1-3月期に円安がさらに加速したことがある。トヨタによる2月の予想は1ドル＝143円を前提として算出されていたが、実際の1-3月期のドル円相場は平均148円台で推移した。また、トヨタはすでに2023年度のグループ販売台数が前年度比5.0％増の1109万0108台となり、過去最高だったと発表済み。日本国内でダイハツ工業の検査不正による工場停止の悪影響があった一方、トヨタ・レクサスとしてのハイブリッド車の世界販売台数が31.1％増の355万7609台と好調だったことなどがプラスに寄与した。
トヨタは2024年度について強い見通しを示せるか
こうした中、8日の決算発表では、トヨタが示す2024年度の見通しへの関心が高まりそうだ。LSEGのまとめでは、2024年度は総収入が46兆0670億円、営業利益が5兆2780億円と見込まれている。総収入は2023年度から約2兆円、営業利益は約2700億円の上積みが期待されている形だ。トヨタがこうした予想を上回る見通しを示せば、株価上昇につながる可能性がある。
ただ、トヨタの2023年度の総収入として見込まれている44兆円は、1年前に見込まれていた38兆円を6兆円も上回る数字。予想営業利益の5兆円も、当初予想の3兆円を大きく超えている。こうした2023年度の好業績はトヨタにとっても想定外の結果だったといえるだけに、2024年度にさらなる上積みを見込むことは容易ではないともいえそうだ。
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