NY金価格は、3カ月連続で上昇。合計で12%超の大幅上昇を記録。FRBの利下げ観測が後退する中、金価格に重要な米国金利との関係に変化が。躍進続く金価格の今後の見通しとは。
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【金価格のターゲット】
上値:2,353ドル
下値①:2,261ドル
下値②:2,200ドル
金、3カ月連続上昇
NY金スポット価格(ドル建)は、4月に2.5%上昇し、3カ月続伸となった。3カ月間で12%超上昇した。中東情勢の緊迫化、不動産神話が崩壊している中国における安全資産としての需要から、金価格を押し上げた。
資料:BloombergよりDailyFXが作成。
米国金利との関係に変化の兆し
米国のインフレ高止まりなどを背景に、FRB(米国連邦準備制度理事会)による利下げ観測が後退し、米国金利が上昇する中でも金価格が上昇してきた。
金利が付かない金は、米国金利上昇が上昇すると、金の相対的な魅力度が停滞し、金価格の下落圧力となる。
米国金利上昇の逆風をはねのけてきたものの、足元、変化の兆しが見られる。米国金利が一段と上昇する中、金価格が調整しつつある。
イスラエルとハマスの停戦交渉に対する期待が高まっていることが、金の安全資産としての需要を後退させている側面がある。しかしながら、金価格が、米国金利上昇の逆風に耐え切れなくなっている可能性があり、今後の動向に注目である。
金価格と米国金利(10年債利回り、軸反転)
資料:TradingView
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NY金価格の見通し
NY金価格(スポット、ドル建)は、RSIが50を下回り、モメンタムが弱気になったことを示唆している。また、心理的節目であった2,300ドルを下回り、金価格の下落圧力が強まった可能性がある。
テクニカル面で弱気シグナルが点灯し、米国金利との関係にも変化の兆しが見られる中、金価格の下落を見込む。金価格は、フィボナッチリトレースメント38.2%水準2,261ドルへの下落が視野に入る。この水準でサポートされなかった場合、節目である2,200ドルへ下落する可能性がある。
一方、イスラエルとハマスの停戦交渉が進んでいる模様であるものの、中東情勢が一段と緊迫化した場合、安全資産としての金価格の需要が高まる可能性がある。その場合、金価格は4月26日高値2,353ドルへの上昇をトライしよう。
【金価格のターゲット】
上値:2,353ドル
下値①:2,261ドル
下値②:2,200ドル
NY金スポット価格(ドル建)日足チャート
資料:TradingView
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著