※2024年4月30日15時13分更新
米電気自動車(EV)大手テスラ(TSLA)の株価が29日に前週末比15%超の大幅上昇となった。中国を代表するIT企業であるバイドゥとの業務提携を通じて、重要な中国市場での存在感を高めるとの期待が高まっている。
中国IT大手バイドゥと自動運転システムで業務提携
テスラは中国版グーグルとも呼ばれ、中国最大の検索エンジンを運営しているバイドゥ(百度)と戦略的パートナーシップを結び、同社の運転支援機能「フルセルフドライビング(FSD)」の中国での実用化に向けて前進したとみられている。テスラは公道でのデータ収集にバイドゥの地図ライセンスを使用することで合意したと報じられている。この動きは、世界最大の自動車市場である中国に参入するにあたり、外国自動車メーカーが規制要件に準拠するための重要なステップとなる。
イーロン・マスク氏が中国をサプライズ訪問
テスラとバイドゥの提携は、突然中国を訪問したイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が中国の李強首相と会談した後に続いて発表された。マスク氏の訪中は、テスラの売上が減少し、中国政府が車載カメラで録画された施設などの動画や走行履歴、所有者の情報などが国外に流出することを懸念していた中で行われた。テスラが上海市に設置したデータセンターで走行データなどを中国国内で処理する対応を取ったことが評価されたとみられる。
バイドゥと手を組むことで、テスラは米国に次いで2番目に大きな市場である中国で、待望の「完全自動運転」支援システムを展開し、収益化するための大きなハードルを事実上取り除いたことになる。
今後の鍵となる高精細マッピング
高精細地図へのアクセスは、自動運転機能を効果的に機能させるために不可欠な要素である。安全かつ効率的にナビゲートするためには、正確な位置情報と複雑な地形の詳細情報が不可欠で、これらの情報が搭載されたシステムを持つバイドゥとの提携はテスラの自動運転機能普及への野望を実現する上で極めて重要なものとなっている。
テスラ車は中国の業界団体によるデータ・セキュリティのコンプライアンス審査を受けているが、この評価は正式な承認ではない。中国政府は厳しい規制を敷いており、自動運転技術によって生成されたユーザーデータは中国国内に保存する必要がある。
収益向上に大きな期待
中国で自動運転システムの展開に成功すれば、テスラは大きな利益を得ることができる。この動きは、同社のサブスクリプション収入を劇的に増加させる可能性があるだけでなく、中国市場で増え続ける地元の競合他社からテスラの電気自動車を差別化できるだろう。
テスラ株価 - テクニカル分析
テスラの株価は、このニュースにより、すでに好調だった決算後の株価上昇の動きをさらに加速させた。
株価は3月の高値を突破し、現在の上値めどは昨年10月の安値194ドル、そのすぐ上には2月の高値205ドルが控えている。
20日の終値が175.73ドルを上回れば、1月初旬以来約4カ月ぶりに50日単純移動平均線(SMA)を上回ったことになる(29日終値は195.04ドル)。
短期的には、終値が175ドルを下回れば、強気のモメンタムは明らかに失われるだろう。
テスラ株価 日足チャート
資料:IG/ProRealTime