※2024年4月25日10時37分更新
手ごろな価格の新モデル計画が「決算未達」を相殺
テスラ(TSLA)の株価は米東部時間23日(日本時間24日)の時間外取引で急上昇した。同日引け後に発表した2024年1-3月期(第1四半期)決算は市場予想を下回ったものの、手頃な価格帯の新型電気自動車(EV)モデルの生産を当初計画より前倒しすると発表したことに投資家は反応したようだ。
第1四半期の売上高は前年同期比9%減の213億ドルと、アナリスト予想(221億5,000万ドル)より低かった。潜在株式調整後の1株当たり利益(EPS)は0.45ドルと、コンセンサス予想(0.46ドル)をわずかに下回った。業績が予想に届かなかったのは、車両平均販売価格の低下と納車台数の減少が背景にあるとみられる。
安価なモデル生産計画の前倒しを支持
決算説明会でテスラは、より手頃な価格のEVを含む新モデルの発表を計画しており、その生産開始時期は2025年後半としてきた当初の目標を前倒し、2025年の早い時期、場合によっては今年終盤となると表明した。
「より手頃な価格のモデルを含むこれらの新型車は、次世代プラットフォームと現在のプラットフォームの両面を活用しつつ、現在の生産ラインを使うことができる」と述べた。
コスト削減計画は縮小
テスラは計画を前倒しすることで、「コスト削減の達成は以前の予想額よりも少なくなるかもしれないが、不確実な時代に、より設備投資効率の高い方法で手堅く車両台数を増やすことができる」としている。
値下げで打撃を受ける粗利益率
テスラの第1四半期の売上総利益(粗利)率は17.4%で、前年同期の19.3%から低下した。これは、需要拡大のために車両の値下げを続けていることが影響している。
テスラ株価:テクニカル分析
第1四半期決算が市場予想を下回ったにもかかわらず、テスラの株価は決算発表後の時間外取引で12%超の大幅高となった。本レポート執筆時点では164ドル前後で推移している。
テスラ株価 日足チャート
資料:グーグルファイナンス
第1四半期決算の発表前、テスラ株は車両の値下げや人員削減に対する懸念から、年初来で43%超下落していた。
テスラ株価 週足チャート
資料:TradingView
23日に株価は急騰したものの、2023年7月から2024年4月にかけての下降トレンドが疑問視されるには、週足チャートの終値ベースで3月下旬の高値184.25ドルを上回る強気反転が必要だ。週足チャート上では安値圏での高値と安値の切り下げが続いており、テスラ株価は依然として下落トレンドにある。
サムネイル画像:Bjorn Wylezich - stock.adobe.com