多くのトレーダーは、トレード機会を見極めるためのシンプルな方法として、チャートでテクニカル指標をよく使用します。MACD(移動平均収束拡散手法)とストキャスティクスは、特定のマーケット状況における潜在的なエントリーおよびエクジットシグナルを見極めるために使用される最も一般的な方法です。
本稿の目的は、各指標を使用して特定の状況におけるエントリーとエクジットシグナルを見つける方法と、それらを組み合わせる方法について検討することです。



MACDとストキャスティクスの比較
下のEUR/USDのチャートは、現在上向きの強いトレンドがあることを示しています。MACDを見ると、最初のMACDのクロスは、MACD(青)がシグナル(赤)を上に抜けたところにあり、強気のシグナルを出し、トレンドの価格とモメンタムの両方が上昇中であることを示唆しています。
2つめのMACDのクロスでは、MACDがシグナルを下に抜けており弱気のシグナルを出しています。このクロスは0ラインより上にあるため、これは、上昇トレンドのモメンタムが減少中ではあるものの大きなトレンドはいまだ強気であることを示唆しています。両方の例においてMACDのクロスは価格チャートでこの特定の期間中に実際に起こったことと対応していますが、ストキャスティクスは同じ測定対象に対しダマシのシグナルを出しています。

上の例はトレンド相場を示していましたが、レンジ相場ではどうでしょうか?
下の別の例ではGBP/NZDがレンジ相場(横這いの相場)となっています。この例ではMACDはストキャスティクスよりも信頼性の低いシグナルを出しています。
ストキャスティクスでは、%Kライン(黒)が%Dライン(赤の点線)を上に抜けた時に強気のシグナルとなります。同じように、%Kが%Dを下に抜けた時には弱気のシグナルとなります。最も強いシグナルは、強気のシグナルが下から20の線を上に抜ける時、また、弱気のシグナルが80の線を下に抜ける時に出されます。
下の図では、1つめのストキャスティクスのクロスは20以下で起こっており、強気のシグナルの条件を満たしています。これはGBP/NZDが売られ過ぎであり価格はすぐに上昇するであろうことを示唆しています。同じように2つめと3つめのクロスは80より上で発生しており、%Kが%Dを下に抜け、相場は現在買われ過ぎており、価格は下落するであろうことを示唆しています。この例ではMACDのクロスは必ずしも不正確ではないものの、ストキャスティクスはより正確なエントリーとエクジットシグナルを出しています。

このように、MACDはトレンド相場でより効果的な指標であり、ストキャスティクスはレンジ相場のほうが上手く機能することが多いと言えます。
次に、より最適なシグナルを得るためにMACDとストキャスティクスを組み合わせる方法について見ていきます。
ストキャスティクスとMACDを組み合わせる「ダブルクロス戦略」
ストキャスティクスとMACDのダブルクロス戦略を適用するには、潜在的なシグナルを見る際に両方の指標の条件を考慮に入れることが重要です。
下のUS 500チャートでは、20の線以下で%Kが%Dを上に抜ける時にストキャスティクスのクロスが発生しています。そのすぐ後に、0ラインより下で、MACD(青)がシグナル(赤)を上に抜けるMACDのクロスが起きています。これは両方とも強気のシグナルで、上昇トレンドが形成されつつあることが確認されます。
この戦略を正しく使用するためには、ストキャスティクスのクロスはMACDのクロスの直前に起こる必要があり、それ以外はトレンドについてのダマシのシグナルとなる場合があります。

MACDとストキャスティクスの選択については、トレーダー次第であり、またその他要因によるところも大いにあるでしょう。使用時間の長さや安心感の水準、以前の成功例(これが一番有力な理由かもしれません)により、どちらか一方の指標を好むトレーダーも、両方使用するトレーダーも存在します。
MACDとストキャスティクスについてのよくある質問(FAQ)
ダマシのシグナルを減らす方法はありますか?
ダマシのシグナルの可能性を減らす1つの方法はマルチタイムフレーム分析をおこなうことです。長い時間軸を使用してトレンドを見極め、短い時間軸を使用して潜在的なエントリートリガーを見つけます。
採用すべき最適な時間の割合は4:1です。たとえば4時間足を使用してトレンドを見極めたら1時間足を使用して潜在的トリガーを見つけます。
MACDとストキャスティクスにはどのような設定値を使用すべきですか?
デフォルトのMACDの設定値は12、26、9ですが、ストキャスティクスのデフォルトの設定値は5、3、3です。一貫性のあるシグナルを得るため、これらのパラメーターをより長い期間へ変更することができます。たとえばMACDを21、55、9に、ストキャスティクスを14、3、3に変更します。
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