
金は世界で最も価値のある商品の一つです。通貨や宝飾品として利用されてきた歴史があり、安全資産としても評価されています。本記事では金の用途、マーケットの歴史と仕組み、金の価格に影響を与える要因などを紹介します。
金のトレードについての主なポイント
- 金とは何か?何に活用されているのか?
- 金の価格に影響を与える要因
- 金のトレード方法
金とは何か?何に活用されているのか?
金は鮮やかな色と柔軟性、さらに希少性によって古くから人々に愛されてきた貴金属です。電子機器やコンピューターなど産業用途として使われるほか、宝飾品としても根強い人気があります。マーケットが混乱しているときでも価値を維持あるいは増加させることができるため、貨幣として、また安全資産として、利用されてきました。
アセット(資産)クラスとしての金の歴史
人類は何千年もの間、金に高い価値をおいてきました。また、古代エジプトやローマなど、世界に名だたる文明の通貨としても使われてきた歴史があります。最近では19世紀後半から第一次世界大戦が勃発するまで通貨の価値は一定量の金によって固定されていました。
第二次世界大戦後、多くの経済大国が金の価格と米ドルが連動した金融システムを採用していました。この仕組みは1971年にアメリカがドルと金の連動を停止するまで続きました。
現在の金は公式な通貨としての機能はありませんが、それでもなお金の価格は金融マーケットや世界経済に大きな影響力を持っています。
金の価格に影響を与える要因
金の価格に影響を与える要因は安定性、需要と供給、中央銀行のエクスポージャー、ETFによる出来高などが挙げられます。
安定性
金は世界で流通している通貨の基盤になる金融商品であるため、安全性の高い資産と考えられています。混乱した局面においては、政府や投資家が不確実性に対するヘッジとして購入するトレンドが強まるため価格が上昇する傾向があります。逆に、安定した時代はリスクがあっても収益性の高い投資商品が求められるので、金の価格は通常下がります。
需要と供給
公開市場における多くの資産と同様に、供給量が一定であると仮定した場合、需要が過剰になると価格が上昇し、減退すると価値が下がります(一般的な金の用途は宝飾品や特定の医療・工業・技術製品の製造用です)。
世界の金準備に関しては、その多くがヨーロッパや北米など先進国における中央銀行で管理されています。そのため、これらの銀行は世界の金のマーケットにおいて巨大な価格決定力を有しています。また、たとえ僅かな動きであったとしても、各行が一斉に金のエクスポージャーを増減させた場合は、、金の価格に大きな影響を与えてしまいます。そうしたことから、中央銀行は世界のマーケットを不安定にするような大規模な金の売却を一方的におこなわないことを非公式に共同で取り決めているのです。
上場投資信託は、一般的に金の価格に影響を与えるのではなく金の価格を反映することを目的としていますが、多くの大規模ETFは相当量の金の現物を保有しています。したがって、そのようなETFからの資金流入または流出がマーケットにおける物理的な需要と供給を変化させることで、金の価格に影響を与えることがあります。
金が通貨に与える影響と値動きをとらえるコツ
金と通貨の関係においては米ドルとの相関が重要視されます。それは米ドルが金の価格決定の基準になっているからです。米ドルの価値が上がると他国では金の購入価格が上がります。
価格が上がることで結果的に需要が減少するため、一般的に米ドルと金の価格の間には逆の関係があると言われています。また、ドルの価値が下がり始めると投資家は安全資産として金に注目します。その結果として金の価格が上昇することになるのです。
下のチャートは、米ドルインデックスと金の価格の逆相関関係を示しています。
米ドルに対する金の価格の推移

また、金の価値は一国の経済と密接に連動しています。金を輸出している国や金準備のある国は、金の価格が上昇すると総輸出額が増加するため、自国の通貨が強くなるのです。
金のトレード方法
金にはさまざまなトレード方法があり、その詳細は金のトレード方法で紹介しています。現物資産として購入する方法や、商品マーケットで先物やオプションでトレードする方法、またETF(Exchange Traded Fund)を活用することもできます。個々のトレードの詳細については上のリンクをクリックして確認してください。
なぜ金のトレードをするのか?
トレーダーが金のトレードをおこなう主な理由は以下の通りです。
- 経済の混乱期は金の価値が維持されるか高くなる傾向があるため、安全資産として購入する。
- 米ドル安を利用して、インフレをヘッジする。
- 商品、株式、債券などの多様なポートフォリオを維持する。
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