「ETFは株式より優れていますか?」という質問はとても多いのですが、その理由はどのトレーダーにおいても特定の投資条件があるからです。重要なのは、十分な情報にもとづいてトレードをおこなうためにETFと株式の違いを理解することです。
本記事では以下の内容を取り上げます。
- ETF(上場投資信託)と株式の選択方法
- ETFと株式の8つの主な相違点
- ETFと株式の比較:よくある質問(FAQ)
ETFと株式のおすすめの選択方法
ETFと株式のどちらを選択するかは単純に決めることができません。それぞれの特徴が投資判断に影響するからです。選ぶ際に考慮すべき点がいくつかありますが、注意すべき重要ポイントを以下まとめてみました。
1.目標
ETFと株式の選択においては、最初に投資目標を考えます。各トレーダーはエクスポージャーにおける特定の条件を持っています。これには、特定の株式の種類に関するもの、またはETFで代表される金融サービスや建設といった幅広いセクターに関するものがあります。
2.リスク許容度
リスクは、どのような金融商品においても投資前に考慮すべき重要な要素です。投資家は自分の財務状況や目標に応じて、どの程度のリスクを取るかを決める必要があります。過度のリスクに身をさらすことはおすすめできません。自分の経済力の範囲内でトレードすることが大切です。一般的に若年層はリスクを求めがちで、高齢者はリスクを嫌う傾向があると言われています。老後資金が必要になる退職までの残された時間を考えると、年齢が上がるにつれて保守的になり慎重な投資アプローチを取ることは当然のことと言えます。
3.投資期間
投資期間は投資家の条件や目標によって異なります。この期間は、ETFにするか株式にするかという投資判断に影響を与えます。
4.投資予算
投資に自由に使える予算は個々の投資家によって異なります。責任ある投資をおこなうには、予算を守っているか、背伸びしていないかという点を確認することが極めて重要です。
ETFや株式への投資:実例
「私はテクノロジー・セクターの長期的な成長に期待しています。リスク許容度は高く、投資資金は1,000ドルです。」
このケースでは、複数の個別テクノロジー株ではなくETFに投資する傾向が強いでしょう。対象とするマーケットで同じようなエクスポージャーを提供する1つの商品をトレードするほうが安価だからです。
個別のテクノロジー企業は確実に成功するとは限りません。長期的視点で失敗してしまった企業の損失をカバーするには、幅広い分野のテクノロジー株に投資するほうが効果的でしょう。このケースは予算に制約があり、複数の株式を何回も購入するとETFを一回購入するのに比べて投資予算が減ってしまうため、ETFへの投資が有利になります。
ETFか株式かを決めるのは簡単ではありませんが、ETFと株式の違いを理解すれば、十分な情報にもとづいた投資判断ができます。
ETFと株式の8つの主な相違点
ETF | 株式 | |
---|---|---|
1.分散 | できる | できない |
2.流動性 | 低め | 高め |
3.価格リスク | 低め | 高め |
4.リターンの可能性 | 低め | 高め |
5.セクターへのアクセス | 高め | 低め |
6.課税 | 投資する場所による | 投資する場所による |
7.投資のコントロール | 低め | 高め |
8.コスト | 高め | 低め |
1.分散
ETFは、個別銘柄への投資と異なり高い分散効果があります。ETFは商品の中に様々な銘柄が含まれており、これが最も魅力的な特徴の一つです。しかしトレーダーの中には一つの銘柄にエクスポージャーを集中させたいと考える人もいます。その場合はETFではなく単一銘柄のトレードを選択します。
2.流動性
流動性とは、資産の現金化における容易さを意味しています。一般的には株式の方がETFより流動性が高いと言われています。これはETF内の複数の銘柄の出来高よりも単一銘柄の出来高の方が判断しやすいためです。ただし、一部のETFよりも流動性が低い銘柄もあります。流動性は一般の投資家にとってさほど大きな問題ではありませんが、大口の投資家には懸念点となる場合があります。
3.リスク
ETFは分散化されているためリスクも各構成銘柄に分散されます。ただし、すべてのETFに当てはまるわけではありません。一部のコモディティ・トラッキングETFは金や原油など個別のコモディティの価格への連動を目指しており、単一株と同じようなリスクを持つ場合があります。
4.リターンの可能性
一般的に、株式は分散によってリターンが希薄化しないため潜在利益が大きいと考えられています。しかし、損失の可能性も同じように大きくなります。リスクが低いほどリターンが小さくなり、逆に高いほどリターンが大きくなることを覚えておいてください。これは前述したように投資の目標やリスク許容度にも関係してきます。
5.セクターへのアクセス
一つの投資手段によって幅広いセクターの株式にアクセスできることは、分散につながります。ETFは登場してから飛躍的に成長し、今では特定分野に特化したサブセクターETFも登場しています。
6.課税
ETFと株式に対する課税は適用される管轄地域で異なるため、課税の違いを判断するのが難しい場合があります。高額な税負担を回避するため、投資の前に課税の影響を明確にしておく必要があります。
7.投資のコントロール
株式投資では、銘柄選択や資金配分を投資家が100%コントロールすることができます。ETFでは、ファンドの当初の組み入れ比率について概要が示される場合がありますが、株価の変動や経済の見通しによって変更されることもあります。
8.コスト
ETFはファンドに運用管理費用が発生するため、コストが増えるケースが多々あります。株式やETFは通常であれば売買ごとに手数料が発生します。ただし、ETFには「経費率」が含まれるため一般的には株式投資のほうがコストは低いと言えます。投資家は数多くの証券会社から選択することができるので、ETFと株式のコスト比較は証券会社間の競争によっても変化することを覚えておきましょう。
ETFと株式のどちらに投資するのがおすすめか?
ETFに投資するか株式に投資するか。その選択には投資の目標やリスク許容度を念頭に置く必要があります。ある投資家には適していることが、別の投資家にもあてはまるとは限りません。ETFと株式の違いを理解すれば最善の判断をすることができるでしょう。また、リサーチと同様に適切な証券会社を選ぶことも重要であることを忘れないでください。
ETFと株式の比較:よくある質問(FAQ)
ETFは株式だけで構成されていますか?
ETFは株式だけで構成されているわけではありません。債券やコモディティ、さらにはFXを含むETFもあります。ETFによって金融商品の組み合わせが異なるため、投資目標に合わせて最適な判断をするには候補となるETFに何が含まれているかを正確に把握することが重要です。
どのETFを購入するのがおすすめですか?
ETFマーケットは様々な商品を提供するダイナミックな環境となっています。セクターごとに高パフォーマンスのETFがありますが、その構成銘柄の値動きによって異なってきます。
ETFを選択する際には、ETFの過去の実績だけでなく全体像を検証することが大切です。過去のパフォーマンスが将来も続く保証はないため、実績だけにもとづいて判断するのは危険です。金融マーケットで確実なものはほとんど無いので、ベストの選択はトレードの目標、リスク、期間、予算に合ったETFを購入することです。
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