※2024年2月20日12時00分更新
日本は景気後退入りしたにもかかわらず、日銀は早ければ4月、6月までには利上げを実施するというのが市場の予想だ。ただ、COTレポートによると円のショートポジションは増えており、ペナントのチャートパターンはドル高継続を示唆している。
円相場 (USD/JPY)の分析
- 日本は景気後退入りしたにもかかわらず、市場は4月に利上げの可能性を期待
- 円安けん制発言にもかかわらず円ショートが急増(COTレポート)
- ドル/円は150円近辺で推移
- このレポートは、チャートパターンと主要なサポート・レジスタンスを利用して分析しています。テクニカル指標に関する詳細な内容については、当社の学習コンテンツをご覧ください
テクニカル・ファンダメンタルズの両面から広範に分析した円相場の中期的な見通しを入手し、トレードにお役立てください。無料ダウンロードはこちらから↓
4月の日銀利上げ観測は健在
市場は、日本が景気後退入りしたという事実にも動じず、日本銀行が長年続くマイナス金利政策から脱却し、0.1%の利上げを決定する可能性が高いと予想している。
資料:Refinitiv
日銀は、歴史的な利上げの前提条件として、賃金と物価の「好循環」を挙げている。インフレ率は1年以上にわたって目標の2%を上回っているが、前回、前々回のインフレ率は低下しており、2%を上回る物価上昇圧力を持続できるかが疑問視されている。
春闘の交渉(賃金交渉)は現在進行中で、3月中旬には決着がつくと見られている。このことが、市場が4月の金融政策決定会合で重要な利上げが実施されると期待する理由である。
円安けん制発言にもかかわらず円ショートが急増(COTレポート)
神田眞人財務官と鈴木俊一財務大臣は先週、急激な為替変動(円安)に不快感を示し、神田財務官は解決策として為替介入にも言及した。しかし、米商品先物取引委員会(CFTC)が先週金曜に発表した最新のCOTレポート(CFTCが毎週金曜に公表する建玉明細報告)によると、このような円安けん制発言にもかかわらず、円ショートのポジションが増加していることが明らかになった。
コミットメント・オブ・トレーダーズ・レポート(COT)によるポジション状況(2月13日時点)
資料:TradingView、チャート作成:リチャード・スノー
逆張り指標となる顧客センチメントをトレンド取引戦略に役立ててください。無料ガイドのダウンロードはこちらから↓
ドル/円は150円近辺で推移
ドル/円は、為替介入への警戒感にもかかわらず、150近辺にとどまっている。実際、プライスアクション(値動き)はペナントのような形を形成しており、これは典型的な市場環境下では強気継続(ドル高)を示唆する。過去の日銀・政府による為替介入で円相場は500 pips(ピップス)程度変動し、その動きの大半は円高方向だった。円買い・ドル売り介入の可能性がある中、円安ドル高への動きはリスクリターン比率が低いと言えるかもしれない。
もし強気派が146.50に向けて相場を動かすことができれば、財務省の注意を引く可能性があり、日銀によるレートチェック(日銀が主要な金融機関に為替相場の水準を照会すること。為替介入に向けた準備として行われると言われている)につながる可能性がある。このようなケースは過去にもあり、レートチェックは円買い・ドル売りが大量に発生する直前に行われた。サポートは146.50にあり、レジスタンスは直近のスイングハイ150.88、続いて146.50であろう。
ドル/円 日足チャート
資料:TradingView、チャート作成:リチャード・スノー
円とドルのニュアンスを理解し、それがドル/円の動きにどのように影響するかを理解しよう。
--- DailyFX.com リチャード・スノー著
スノー氏に連絡するには、X(旧Twitter)で @RichardSnowFX までお願いいたします。
新たなレポートの配信等はX(旧Twitter)アカウント @DailyFXJapan で確認できます。