原油、米ドル、WTI、ブレント、米API、米EIA、バックワーデーション、米FRB - トーキングポイント



28日アジア時間の原油先物は、在庫水準の低下と米連邦準備制度理事会(FRB)による75ベーシスポイント(bp)の利上げの余波で米ドルが軟調に推移していることを背景に、上昇して始まった。
米石油協会(API)が26日に発表した週間石油統計によると、先週22日までの1週間の原油在庫は400万バレル減少した。
翌27日には米エネルギー情報局(EIA)が、米戦略石油備蓄の原油在庫が450万バレル減少したことを明らかにし、米国在庫の減少を裏付けた。これは予想以上に大きな減少で、戦略石油備蓄は4億2200万バレルまで減少した。
原油市場では、在庫の減少は今のところ、世界的な景気後退懸念よりも材料視されている。外国為替市場はFRBの利上げに反応し、今後は利上げ幅や利上げのペースが下がるとの見方から、米ドルは軒並み売られた。
ジェローム・パウエルFRB議長は金融政策決定後の発言の中で、少なくとも現時点ではSEP(FOMCメンバーの見通し)は前回(6月)と同様の見通しが有効との見解を示した。これにより市場では、利上げが加速するとの懸念が後退した。
パウエル議長は、FRBがさらなる利上げを実施することを明らかにしたが、市場が注目しているのはその利上げ幅である。市場は9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で少なくとも50bpの利上げを織り込んでいる。



今年初めの原油相場上昇の大きな特徴は、バックワーデーション(逆ざや)の急拡大であった。バックワーデーションとは、決済に最も近い期近物の先物価格が、その後に決済される期先物の値段よりも高くなっている状態を指す。これは、待ち時間があるよりも、すぐに受け渡しができる方に多く支払うという市場の意思を示している。
今週はバックワーデーションの幅が縮小し、ロシアによるウクライナ侵攻以来の低水準に接近している。このまま低下し続ければ、原油価格は下落に転じる可能性がある。
同時に、原油価格のボラティリティを予測するOVX指数で測定される原油価格の変動は、比較的緩やかで、市場は現在の価格設定に過度な懸念を抱いていないことを示唆しているのかもしれない。
今週はエクソンモービルとシェルが決算を発表し、来週は石油輸出国機構(OPEC)と非加盟国の主要産油国で構成するOPECプラスが会合を開き、供給計画を協議する予定である。
WTI原油先物、バックワーデーション、ボラティリティ(OVX指数)

資料:TradingView
--- DailyFX.com ストラテジスト ダニエル・マッカーシー著
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