原油価格は需要と供給のバランスが改善され、2024年第1四半期からの強気が維持されると予想される。ただし、紛争や金利などの要因には注目したい。本記事では、2024年第2四半期に向けた原油相場のファンダメンタルズ分析による予測をストラテジストのデビット・コトルが解説する。
テクニカル・ファンダメンタルズ両面から分析した2024年第2四半期の原油相場見通し【完全版】の無料ダウンロードはこちら↓
ファンダメンタルズ分析による原油相場の見通し
原油価格は2024年第2四半期も上昇を続ける可能性があるが、年明けからの原油需要に対する不透明感は依然として残る。
OPEC(石油輸出国機構)と非加盟の産油国で構成されるOPECプラスは、日量220万バレルの減産延長に合意した。OPECプラスにおいて重大な影響力を持つサウジアラビアの日量100万バレルの自主減産は、6月末まで実施する予定だ。
2024年に入り原油価格が上昇した主な理由は、おそらくこの減産によるものだ。この減産を維持することで、原油価格は下支えされるだろう。しかし、OPECにはかつての裁定者のような決断力はなく、OPECのカルテル外からの供給がOPECの減産効果を鈍らせることになるだろう。とはいえ、米国の原油産出量は2023年12月に過去最高を記録した。そのため、少なくとも当面の間は生産量が減るはずだ。そうなればOPECはさらなる効果を狙って、減産に固執する可能性がある。
原油需要の見通しはさらに明るい
原油価格は、新型コロナウイルスの大流行、インフレ率と金利の上昇に加えて、供給過剰な市場と需要への不透明感が相まって2022年の最高値から下落した。
今年はおそらく、需要と供給のバランスがいくらか改善されるだろう。原油への全体的な需要は増加することが予想されているが、その需要の程度については市場のキープレイヤーたちの意見は一致していない。OPECは今年の原油需要は日量225万バレルになるとみているが、IEA(国際エネルギー機関)の予測では日量110万バレルと控えめであり、両者の見解は大きく相違している。
また、中国の原油需要が新型コロナウイルスパンデミック前の水準に戻りつつある兆しもみられる。欧米先進国ではインフレの進行が緩和されつつあり、金利はピークアウトしたとの見方が中央銀行のコンセンサスとなりつつある。政策金利と貸出金利の低下は、エネルギー需要にとってよいニュースである。
しかし、ウクライナとガザでの紛争が今後もエネルギー市場に打撃を与え続けることには注意が必要だろう。ロシアは依然として欧米の制裁下にあり、エネルギーインフラに対するウクライナの攻撃はますます強まっているようだ。さらに、イエメンの反政府勢力はパレスチナの大義を支援するとみられている欧米の船舶への攻撃を続けている。
報道によれば、ロシアは日量90万バレルの原油処理能力を攻撃によって停止されており、また、世界の原油市場に1バレルあたり4ドルのリスクプレミアムを上乗せしている可能性があるとJPモルガンが発表している。
インフレとの戦いも現在の市場予測より長引く可能性があり、金利はさらに長期にわたって高く維持されるだろう。米連邦準備制度理事会(FRB)は、年末までに金利は大幅に低下するとの見方を変えていないが、最終的には今後のインフレ率によって決定されるはずだ。
ファンダメンタルズ分析では、今後の原油価格は緩やかな強気相場を維持するものの、その上昇は一様ではなく、不安定なものになりそうだ。
テクニカル・ファンダメンタルズ両面から分析した2024年第2四半期の原油相場見通し【完全版】の無料ダウンロードはこちら↓