※2024年4月26日15時15分更新
IGグループのプレミアム・クライアント部長、ピート・ウォード氏が4月25日、IGTVのインタビューでドル/円、金価格などの資産を例に、IGクライアントセンチメント（IGCS）と機関投資家のセンチメントを示すCOTレポートの活用法について語った。また最近の投資家の取引傾向についても触れている。
IGクライアントセンチメント（IGCS）はIG顧客が各資産で保有するポジション（ロングまたはショート）の割合を示しており、その資産に対する市場のセンチメントを反映していると言える。機関投資家センチメントは、米国商品先物取引委員会(CFTC)が毎週発表するCOT（コミットメンツ・オブ・トレーダーズ）レポートに基づいている。下図の外側の円は今週のポジション、内側の円は先週のポジションを示している。
資料：IGTV
ドル/円：トレーダーと機関投資家の見方に格差
ドル/円は上昇基調が続いており、市場では日銀・政府が円買い・ドル売り介入を実施するのではとの観測が広がっている。IGCSを見ると、ショートポジションが大半を占めており、トレーダーはドルが下落すると予想していることが分かる。一方、機関投資家センチメントに目を向けると、IGCSとは対照的にロングポジションが大勢を占めている。これは、ドル高が進行しており、米利下げ観測が後退し続けていることに加え、円キャリートレードが拡大していることが背景にあるとみられる。
中長期で投資する傾向がある機関投資家と、比較的短い期間で取引するトレーダーとの見方の違いは非常に興味深い。トレーダーがドル/円に影響する様々なニュースに早く反応しすぎているのか、機関投資家が出遅れているのか。ニュースと言えば、きょう26日は日銀が金融政策決定会合を開くため、政策次第でドル/円相場は動く可能性があるため、注意深く見守りたい（日銀は政策据え置きを決定）。
資料：IGTV
金価格：利益確定売りが出始めている
金価格のIGCSを見ると、ショートポジションが増えているのが分かる。トレーダーは従来、金価格に対して強気であることが多いが、このところかなり上昇したため、当然の流れとして利益を確定する売りが出始めているのだろう。中東情勢の緊迫化を背景に金価格を安全資産として買う動きが続くとの見方がある一方、米連邦準備制度理事会（FRB）のハト派姿勢が後退しているためドルは上昇傾向にあり、これが金価格に重しになると見る市場関係者もいる。
トレーダーが相場の変動に素早く対応しているように見えるのに対し、機関投資家センチメントは先週から変化がない。その理由としては、機関投資家の投資スタイルが中長期型であることが挙げられ、機関等投資家は相場の流れをより大局的に捉えている。これに対し、多くのIG顧客トレーダーは数時間から1週間の単位で取引する投資戦略を採り入れており、短期間で起きる相場の変動に敏感なことがうかがえる。
資料：IGTV
ナスダック100：トレーダーは個別株へシフト
2週間前、IGCSはネットショートが82％だったのが、先週は57％、今週は38％にまで低下している。一方、機関投資家センチメントはネットロングが2週間前（65％）から縮小し、今週は52％となっている。これは、地政学的懸念が高まったことを受け、売り圧力が強まったことを示している。相場上昇局面ではスクイーズの動きもあったようだ。
このところ、トレーダーの多くがナスダック100指数やダウ工業株30種平均株価などの株価指数から個別株へと資金を移している。コインベース株や人工知能（AI）関連株などを買う動きが目立っている。
資料：IGTV
