金価格は、地政学的要因と中央銀行の需要による下支えが続きそうだが、記録的な高値圏を推移しているためテクニカル分析にも注目が必要だ。本記事では、2024年第2四半期に向けた金相場のテクニカル分析による予測をデイリーFXのストラテジスト ディエゴ・コルマンが解説する。
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テクニカル分析による金価格の予想
金価格は、2023年下半期に形成した上昇の勢いを維持しており、2024年第1四半期は堅調な上昇でスタートした。この上昇基調により、金/ドル（XAU/USD）は、2,150ドルの大台を着実に突破して史上最高値を更新し、最終的に2,222ドルに到達した。その後、相場はやや引き戻されたものの、本レポート執筆時点では記録的な高値圏を維持している。
テクニカル分析による見通しは引き続き強気で、ハイヤーハイ（より高い高値）とハイヤーロウ（より高い安値）の上昇パターンは明白だが、10週間のRSI（相対力指数）は買われ過ぎを示唆しているため、注意が必要である。また、市場が短期間に行き過ぎた状態になると、たとえ一時的なものや、比較的小さなものだったとしても、大抵の場合、その後に発生する引き戻しで調整されるはずだ。
週足チャートが示す通り、弱気に転じた場合のサポートラインは、まずは2,145ドル、次いで2,070ドルになる。強気派はこの水準を堅持する必要があるが、できなければ、相場は1,985ドル付近の200日単純移動平均線に向かって引き戻されていく可能性がある。さらに下落が進むと、サポートラインはチャネル下限ぎりぎりの1,920ドル、その次は1,810ドルになるだろう。
その一方で、強気派が優勢で今後数日－数週間に相場が押し上げられれば、最初のレジスタンスラインは史上最高値の2,222ドルになるだろう。買いの勢いがこの水準を着実に突破するのは難しいかもしれないが、それが実現すれば上昇圧力が高まり、レジスタンスラインはチャネル上限に近い2,255ドルが視野に入る。
金/ドル 週足チャート
出所：TradingView、チャート作成：ディエゴ・コルマン
銀価格のテクニカル分析
銀価格も2024年第1四半期は上昇したが、金相場の好調さに比べればその上昇は見劣りする。銀/ドル（XAG/USD）は週足チャートが示す通り、2023年に強気な展開が何度も失速した心理的なハードルである26.00ドル付近の重要なレジスタンスラインに再び近づきつつある。
過去のパターンから、銀/ドルは、このレジスタンスライン付近で再び売り優勢に転じ、上昇の勢いが失速する可能性が高い。万が一、レジスタンスラインをブレイクアウトした場合は、2022年の最高値26.95ドルが視野に入ってくる。そして、上昇の勢いが衰えなければ、2021年5月の高値28.75ドルが次の注目ポイントになる。
一方で、弱気な展開で現在の水準から押し下げられた場合、23.30ドルから23.05ドルにかけて順次サポートラインが出現することになる。この付近では、2020年の最安値と2021年の最高値を基点に引いたフィボナッチ・リトレースメント38.2％の水準と、200日単純移動平均線が交差している。相場がこの水準を下回ると、長期上昇トレンドラインと22.00ドルのサポートラインが交差する付近が重要なポイントとなり、ここを割り込んだ場合の次の注目ポイントは20.85ドルになる。
銀/ドル 週足チャート
出所：TradingView、チャート作成：ディエゴ・コルマン
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