ニュージーランド準備銀行(RBNZ)はニュージーランドの中央銀行であり、物価の安定維持と持続可能な経済成長の促進を担っています。1934年に設立され、長年にわたりニュージーランド経済の形成に重要な役割を果たしてきました。本記事では、ニュージーランド準備銀行の沿革や理事会と総裁の任命、金融政策について解説します。
ニュージーランド準備銀行とは?役割と機能
ニュージーランド準備銀行とは、ニュージーランドの中央銀行のことです。「Reserve Bank of New Zealand」の略称で「RBNZ」とも呼ばれます。
ニュージーランド準備銀行の役割は、物価の安定維持と、持続可能な経済成長を促進することです。これらを達成するためにニュージーランド準備銀行は、重要な機能を有しています。それは、民間銀行がニュージーランド準備銀行から借り入れを行う際に支払う翌日物金利であるオフィシャル・キャッシュレート(OCR:Official Cash Rate)の設定です。政策金利の変動は民間銀行が顧客に課す金利に波及効果を及ぼし、消費とインフレ率に影響を与えます。
さらに、以下の機能も備えています。
- 通貨の発行と管理:ニュージーランドドルという通貨の発行権を持っており、国内の通貨供給を調整することで、ニュージーランド経済の安定化を図っています。
- 金融政策を運営する:インフレ率を抑制することを主な目的として、オフィシャル・キャッシュレートを決定しています。ニュージーランド準備銀行の総裁はオフィシャル・キャッシュレートの最高責任者を担っており、インフレ率が適切な範囲に保たれなかった場合には、財務大臣がニュージーランド準備銀行の総裁を解雇します。
- 金融市場を監督する:金融システム全体の健全性と効率性を確保するために、金融機関の財務状況や規制遵守、経営状況を監督しています。
- 金融システムの安定を確保する:金融機関が経済状況の変化に対応できるように、資本要件やリスク管理の規定を設けています。さらに、金融危機が発生した際には、金融機関への緊急融資などの制度も整えています。
また、ニュージーランド準備銀行は公開市場操作を通じて、経済における通貨供給に影響を与えられます。これには流通する通貨量や金利水準に影響を与えられる、国債など政府の有価証券売買が含まれます。
そして、ニュージーランド準備銀行は金融システムの安定を維持するために使用できる一連の規制手段を有しています。これには民間銀行に対する自己資本比率規制の設定、金融システムにおける流動性の監視、透明性と説明責任を促進する規制の施行などが含まれます。
なお、ニュージーランド準備銀行は、ニュージーランド政府が全額出資しており、財務大臣が唯一の株主となっています。そのため、銀行が得た利益はすべて政府に還元されます。
ニュージーランド準備銀行の沿革
ニュージーランド準備銀行は、大恐慌の経済的混乱への対応として、国の金融システムの安定を確保し、金融政策の達成手段を提供する目的で、1934年に設立されました。当時、ニュージーランド準備銀行には通貨発行の管理や銀行システムの規制、金利の設定など、幅広い任務が与えられていました。
長い年月の間にニュージーランド準備銀行の任務は発展し、特に物価の安定に重点を置くようになりました。1989年にはニュージーランド準備銀行法が制定され、物価の安定維持と持続可能な経済成長の促進という現在の役割が確立されました。
ニュージーランド準備銀行における理事会と総裁の任命
ニュージーランド準備銀行は、理事会によって統治されています。理事会は、銀行業務の監督と、適切に運営されているかどうかの責任を担います。理事会は財務大臣によって任命され、議長を務める準備銀行総裁と最大6名の理事で構成されています。
財務大臣の任命による準備銀行総裁の任期は5年とされ、再任の可能性があります。総裁は金融政策の実施と銀行の日常業務の監督に責任を担います。
金融政策理事会は年7回開催して、政策金利を決定しています。
ニュージーランド準備銀行の金融政策による影響とは
下の図は、ニュージーランド準備銀行による利上げが総合インフレ率に与えた影響を示したものです。
出所:TradingView、チャート作成:ザイン・バウダ
* 注:利上げは通常、その効果が完全に経済に波及するまでに、わずかな時間の遅れが生じることがあります。
1999年までさかのぼると、ニュージーランド準備銀行が金利を引き上げるたびに、その数ヶ月後にはインフレ率が低下したことがわかります(遅行効果の表れ)。現在の利上げサイクルはより積極的であり、インフレも危機を脱した可能性があります。ただし、インフレには多様な要素があるため、抑制に時間がかかることもあります。特に新型コロナウイルス感染症の流行が始まって以来、ロシアのウクライナ侵攻によって悪化したサプライチェーン問題やエネルギー価格のような外部要因の影響を受けるインフレの場合、より長い時間がかかる可能性があります。
ニュージーランド準備銀行の役割と機能を理解して金融政策に注目しよう
ニュージーランド準備銀行は長年にわたって、ニュージーランド経済の形成に重要な役割を果たしてきました。ニュージーランドの中央銀行として、物価の安定を維持し、持続可能な経済成長を促進する責任を担います。そして、ニュージーランド準備銀行は役割を果たすために、政策金利の決定、公開市場操作、規制手段などの機能を有しています。さらに、政府によって任命された理事会と総裁は金融政策の実行に責任を負い、今後もその重要な業務を継続する体制を整えています。
ニュージーランドドルの動向を追うトレーダーは、ニュージーランド準備銀行の金融政策に注目しましょう。
また、他の中央銀行も物価安定と金融安定の維持など同じような任務を負いますが、いくつか違いもあります。他の中央銀行とその特徴については、以下を参考にしてください。
FXに関する理解を深めるには、こちらのコンテンツもおすすめです:
- 中央銀行の役割
- 初心者のためのFX
- FXにおける売り買いの仕組みとは?取引方法やタイミングなどもプロがやさしく解説
- FXのロングとショートとは ?FXのポジションについて詳しく解説
- 経済指標カレンダー
- 世界の通貨のリアルタイムチャート
トレードの基礎知識
FXのファンダメンタルズ分析
DailyFXでは、300以上の学習コンテンツを公開中!
DailyFXでは、トレーダーの皆様に向けて、為替やコモディティ、株式指数等に関する最新のマーケットデータや、経済指標カレンダー、個人投資家の動向に関する情報を公開中。スキルアップに役立つ、学習コンテンツや無料トレードガイドもぜひご利用ください。
トレードに役立つ最新情報をX(@DailyFXJapan)やYouTube(デイリーFX公式チャンネル)でも配信中です。今すぐチェック!