トレーダーはよくFXと株を比較して、どちらの市場で取引をするのが良いか考えます。外国為替市場と株式市場は相互に関連しているにもかかわらず、かなり大きな違いがあります。外国為替市場には、他の市場とは異なる固有の特徴があり、多くの人の目には、取引の魅力がはるかに大きく映ります。
トレーダーがFXと株のどちらを選択するかは、結局のところどちらの 取引スタイル が自分に合っているかということで判断します。一方、外国為替市場と株式市場の相違点と共通点を知ることで、トレーダーは市場状況、流動性、取引量などの要因に基づき、十分な情報を得た上で取引の意思決定を行えるようになります。
FXと株の5つの違い
以下の表は、外国為替市場と株式市場の主な相違点をまとめたものです。
外国為替市場 | 株式市場 |
---|---|
取引量が多い - 1日当たり約5兆ドル | 取引量が少ない - 1日当たり約2,000億ドル |
流動性が高い | 流動性が低い |
24時間の市場取引 | 8時間の市場取引 |
委託手数料は最小限またはゼロ | 委託手数料 |
狭い焦点 | 広い焦点 |
それでは、外国為替市場が株式市場と比べて具体的にどのように異なるのか、もう少し詳しく見ていきましょう。
1)取引量
FXと株の最大の相違点は、 外国為替市場の規模 にあります。外国為替は1日に約5兆ドルの取引が行われていると推定されていますが、その大半は、 EUR/USD 、 USD/JPY 、 GBP/USD 、 AUD/USD などの少数の主要通貨ペアに集中しています。FXの市場規模は、世界の株式市場のドル換算の取引量を合算した1日当たり平均約2,000億ドルを凌駕しています。
このように取引量が多いと、トレーダーにとって数々のメリットがあります。取引量が多いということは、トレーダーが希望する価格により近い価格で簡単に注文を執行できるのです。どんな市場にもギャップはつきものですが、それぞれの価格のポイントでより多くの流動性が存在するため、トレーダーは市場でエントリーとエグジットをスムーズに行うことができます。
2)流動性
取引量が多い市場は、一般的に流動性が高くなります。流動性が高いことは、よりタイトな スプレッド や取引コストの低減につながります。FXの 主要通貨ペア は、株に比べてスプレッドや取引コストが極めて低く、これが株式市場と比較した場合のFX取引の大きなメリットの一つです。続きは、 外国為替市場と株式市場の流動性の違い をご覧ください。
3)24時間の市場取引
FXは店頭市場であり、伝統的な取引所では取引されません。取引はインターバンク市場を通じて行われます。つまり、さまざまな国の営業時間や取引セッションに合わせて、世界中で取引を行うことができるのです。そのため、FXトレーダーは、 1日24時間、週5日 ほぼ取引を行うことができます。一方、主要株価指数は、取引の時間帯や影響を受ける要因が異なります。 主要指数のページ では、取引時間などこれらの市場に関する詳細をご覧いただけます。

4)委託手数料は最小限またはゼロ
ほとんどのFXブローカーは手数料を取らず、その代わりに スプレッド (買値と売値の差)をマージン(手数料)としています。株や先物、あるいは米国市場の S&P 500指数 のような主要株価指数の取引においては、多くの場合トレーダーはブローカーに委託手数料に加えてスプレッドを支払う必要があります。
FXのスプレッドは、他の商品の取引コストと比べて、かなり透明性が高くなっています。下の図では、執行可能な売買価格の中にハイライト表示された EUR/USD のスプレッドが表示されています。スプレッドは、注文執行の前にポジションの規模に応じたコストを計算するために使用することができます。

5)狭い焦点と広い焦点
FXでトレーダーが注目する主要な通貨は8種類ですが、株の世界には何千種類もの銘柄があります。FXの場合、注視すべきは主に8つの国の経済状況のみで、外国為替は通貨ペアで取引されるため、トレーダーは通貨間のトレンドの乖離と収斂に着目して取引する通貨ペアを決定します。何千銘柄もの株よりも8種類の通貨を追う方が容易であることは言うまでもありません。
また、主要通貨に影響を与える要因は、 経済指標カレンダー を使って簡単に調べることができます。
FXと株のどちらを取引すべきか?
FXと株のどちらを選択するかは、トレーダーの目標や好みの取引スタイルによって大きく異なります。
下の表では、FXや株を取引する際のそれぞれの長所と短所を含む、さまざまなタイプの取引スタイルが示されています。
トレーダーのタイプ | 定義 | メリット | デメリット | FXと株の比較 |
---|---|---|---|---|
短期 (スキャルピング) | 小さな値動きを利用して、数分以内にトレードを完結させる取引スタイル。 | トレーダーは、ボラティリティをより重視し、市場を動かすファンダメンタル要因をあまり重視しないこともある。 | 取引回数が増えるため、初心者のトレーダーは戦略を微調整しないと損失が大きくなる可能性がある。 | ポジションを執行するためのコストが安いため、FX取引に適している。一部の取引所では、売買のために多額の資金残高を必要とする。ほとんどのFX取引所は、証拠金を維持できるだけの資金を要求する。 |
中期 | トレーダーが1日またはそれ以上の日数でポジションを保有することを目的とした取引スタイルで、取引はテクニカル分析を基にしてポジションを構築することが多い。 | トレーダーがより大きな動きを求めているため、他のスタイルに比べて必要な資金が少ない。 | トレードには分析がつきものだが、分析には時間がかかる。 | FXや株の取引に適している。 |
長期 | トレーダーが数カ月から数年間にわたってポジションを保有することを目的とした取引スタイルで、長期的なファンダメンタルズに基づいて判断することが多い。 | トレーダーは、分析に多くの時間を費やす必要がない。 | 価格の乱高下をカバーするために、多額の資金を必要とする。 | 外国為替市場は株式市場に比べて方向性が変わりやすいため、株取引に向いている。 |
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外国為替市場(FX)と他の市場の比較に関するよくある質問(FAQ)
FX取引から株取引に移行するにはどうすればいいですか?
FX取引から株取引に移行するためには、FXと株の基本的な違いを理解する必要があります。すなわち、FXの動きは、 金利 と予想される金利動向が要因となります。株価は、収益、バランスシートの予測、そして経済の動向などに左右されます。 FXから株取引への移行 方法についての詳細をご覧ください。
FX取引とコモディティ取引には違いはありますか?
FXとコモディティは、規制、レバレッジ、取引所の制限などの点で異なります。外国為替市場は、コモディティ よりも規制が緩く、一方でコモディティ市場はかなり厳しい規制を受けています。レバレッジに関しては、外国為替市場と商品市場共に存在しますが、流動性が高く、ボラティリティが低い外国為替市場の方がより人気があります(レバレッジは損失と利益を大きくさせる可能性があります)。
また、コモディティは株と同様に取引所で売買されます。商品取引所では、商品の価格変動に上限と下限が設定されており、この上限に達した場合、売買対象の商品に応じて一定時間、取引が停止されることがあります。外国為替市場や株式市場では、取引を妨げるような制限はありません。
最新の通貨、コモディティ、インデックスの価格については、 トップ画面のレートのページ をご覧ください。 また、 株や主要通貨の 米ドルや ユーロに関する専門家の見通しもご覧いただけます。成功している トレーダーの特長ガイドでは、トレーダーが犯しがちなミスについて解説しています。