ダブルボリンジャーバンド戦略には幅広い利用方法がありますが、プライスアクションのモメンタムとボラティリティを評価する際に最もその価値を発揮します。これにより、エントリーとエクジットをピンポイントで示すと同時にトレンドがモメンタムを維持しているか失っているかを見極めることができます。
本稿では以下の点について解説します。
- ダブルボリンジャーバンド戦略とは?
- ダブルボリンジャーバンドを使用したFXの手法2選
- ダブルボリンジャーバンド戦略の利点と欠点
- ボリンジャーバンドに関する追加資料



ダブルボリンジャーバンド戦略とは?
ダブルボリンジャーバンド戦略は、FXのエントリーとエクジットポイントをフィルタリングするため、2本のボリンジャーバンドを使用します。この戦略は価格が1標準偏差の線を上に(下に)ブレイクした時にロング(ショート)でのトレードをエントリーすることを狙います。この戦略はレンジ相場に適用し、ブレイクアウト戦略として、また既存のトレンドのモメンタムの低下を評価するために使用できます。
対象のマーケットや有価証券に以下の指標を追加します。
- デフォルト設定のボリンジャーバンド(20、2)。1つめの数字は単純移動平均線(SMA)の期間で、2つめの数字は平均/中央線からの標準偏差の数字です。
- 2本目のボリンジャーバンド(20、1)。デフォルトの20 SMAを選択しますが、ここでは1標準偏差のみを設定します。
戦略に入る前に、下のチャートの解釈方法を理解することが重要です。多くの学ぶべき情報があります。
チャートを分解する方法が最も簡単なため、中央のラインから始めて外側に広げていきましょう。中央の点線が移動平均線です。ここから両側に広げます。緑と赤の線は1標準偏差を示しており、外側の線(黒)は2標準偏差を示しています。

統計学的に言えば、観察されるローソクの95%が2標準偏差内に含まれるはずなので、この中の各セグメント内またはセグメントを横断して価格が動き、多くのシグナルが出されるはずです。
ダブルボリンジャーバンド戦略には3つのゾーンがあります。
- ダブルボリンジャーバンド(DBB)買いゾーン: これは、20SMAの上側にある、1標準偏差と2標準偏差の間の水色の領域です。買いのシグナルを示します。
- DBB中立ゾーン: これは1標準偏差の上限と下限の間の紫の領域です。この領域でトレードされている相場には方向感がなく、方向性バイアスがありません。トレンドフォローのトレーダーはこのゾーン内で新しいポジションを取ることは避けます。モメンタムの低下またはレンジ相場の始まりを示唆します。
- DBB売りゾーン: これは、20SMAの下側にある、1標準偏差と2標準偏差の間の水色の領域です。売りのシグナルを示します。
テクニカル分析入門
ローソク足パターン
推薦者: Richard Snow
3つのゾーンを下のチャートに示します。

ダブルボリンジャーバンドを使用したFXの手法2選
ダブルボリンジャーバンドを使用する2つの主な戦略、ブレイクアウトでのトレードとトレンドフォローについて説明します。
ダブルボリンジャーバンドのブレイクアウト手法
ダブルボリンジャーバンド戦略は、既存のレンジからのブレイクアウトでトレードをする時に適用します。レンジの上または下へのブレイクが観察され、かつ、DBB買いゾーンまたはDBB売りゾーンへの強いブレイクが観察された場合です。トレーダーはダマシのブレイクアウトを避けようとするため、強いブレイクの観察はブレイクアウト手法に有利なバイアスとなります。
下の図はEUR/GBPのチャート上のダブルボリンジャーバンドにおけるブレイクアウトの例です。レンジの中で、1標準偏差のバンドの上限(緑)のブレイクがありましたが、価格はレンジを抜け切るほど上昇しませんでした。価格がレンジをブレイクし、かつ強いモメンタムでDBB買いゾーンへ入る状況を探します。
さらに確認をする場合は、ブレイクが、比較的ボラティリティの低い(ボリンジャーバンドが狭い)期間の後の、ボリンジャーバンドが新たに広がるタイミングで起きていることを見ます。
下記の矢印が指している大陽線はブレイクアウトに必要な確認を提供し、強い買いのシグナルを提示します。リスクを低減させるため、20 SMAへストップを置きプラスのリスク・リワード比率を確保した上で、目標は節目となるレジスタンス水準に置きます。

ダブルボリンジャーバンドのトレンドフォロー手法
ダブルボリンジャーバンドのトレンドフォロー手法では、既存トレンドのモメンタムを評価することができます。モメンタムが低下していればエクジットし、モメンタムとボラティリティが上昇していればポジションを追加します。
下の例は同じEUR/GBPのチャートのブレイクアウト後であり、通貨ペアはトレンド相場になり始めています。価格は1標準偏差バンドの上限をブレイクし、さらに、一番上のライン、2標準偏差バンドの上限もブレイクしました。
DBB買いゾーン内のこのようなモメンタムとボラティリティは、買いシグナルを提示し、ダブルボリンジャーバンドは、この新しい上昇トレンドの進展を追跡するために使用できます。
価格が買いゾーンと20 SMA(中央の点線)の間にあるかぎり、ロングのバイアスを維持することができます。エクジットポイントは、リスク許容度の水準により中央のラインより下で終値を付けた時、または中立ゾーンをブレイクしてDBB売りゾーンに入った時とすることができます。中央のラインをストップに使用した場合は、価格の上昇による20 SMAの動きに合わせて手動でストップを動かすことができます。

ダブルボリンジャーバンド戦略の利点と欠点
常に上手く行く戦略は存在しません。トレーダーにとって重要なダブルボリンジャーバンド戦略の利点と欠点は以下の通りです。
利点 | 欠点 |
---|---|
ボラティリティの低い状態は大きな動きの前触れとなることが多い。ダブルボリンジャーバンドを使用することにより、潜在的なトレードを分析する際にボラティリティの程度を評価することができる。 | 買いおよび売りゾーンへの大きな動きは反転する場合がある。つまり、リスク管理が大切。 |
明確なエントリーとエクジットのシグナル。 | |
現在のトレンドのモメンタムを簡単に見極められる。 |


