NY金価格は、中東情勢の緊張緩和を受け、3%近く下落。投機筋は、強弱入り混じる材料の中、様子見姿勢を強めている。テクニカル面で注目すべき動きが見られる中、金価格の今後の見通しとは。
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【金価格のターゲット】
上値:9日移動平均線(現在2,364ドル)
下値①:2,300ドル
下値②:2,256ドル
金、安全資産需要の後退
NY金スポット価格(ドル建)は、3%近く下落した。3営業日ぶりの下落である。イスラエルによるイラン攻撃以降、イスラエル・イラン双方が、更なる事態の悪化を望んでいないとの思惑から、安全資産としての金の需要が後退したことが、金価格の下落圧力となった。
同じ貴金属である銀、プラチナやパラジウムも下落した。中東情勢に対する懸念が後退したことから、WTI原油価格も小幅に下落した。
資料:BloombergよりDailyFXが作成
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金、投機筋の思惑
史上最高値圏での金価格の推移が続く中、価格動向に敏感な投機筋(ヘッジファンド等)は、様子見姿勢を強めている。金価格に強気および弱気の買い持ち、もしくは売り持ちポジションの変化が乏しくなっている。
中東情勢の緊迫化などを背景に金価格が一段と上昇する可能性がある一方、史上最高値圏で推移していることに加え、金価格に逆風であるFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測が後退していることなどが、投機筋のポジション変化を乏しくさせている背景と考えられる。
投機筋のポジション動向は、金価格にとって中立である。
資料:CFTCよりDailyFXが作成
NY金価格の見通し
NY金価格(スポット、ドル建)は、2,400ドルが強固なレジスタンスとして機能している。また、中東情勢が緩和する中、サポートとして機能していた9日移動平均線を下方ブレイクし、下落圧力が強まった可能性がある。更に、MACDラインがシグナルラインを下抜け、金価格に弱気の「デッドクロス」が成立している。
投機筋のポジション動向は中立であるものの、テクニカル面で弱気シグナルが点灯していることから、金価格の下落を見込む。金価格は、心理的節目である2,300ドルへの下落が視野に入る。この水準でサポートされなかった場合、金価格は、次の下値としてフィボナッチリトレースメント61.8%水準2,256ドルへ下落する可能性がある。
ただし、中東情勢の緊張は後退したものの、依然として不透明感が高い。イランがイスラエルに対して更なる報復を実施した場合などは、安全資産需要から金価格を押し上げる可能性がある。
金価格が上昇した局面では、9日移動平均線(現在2,364ドル)を上方ブレイクできるかに注目したい。ブレイクに失敗した場合、金価格の地合いが弱まりつつあることを投資家に印象付けよう。
【金価格のターゲット】
上値:9日移動平均線(現在2,364ドル)
下値①:2,300ドル
下値②:2,256ドル
NY金スポット価格(ドル建)日足チャート
資料:TradingView
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著