※2024年2月15日12時23分更新
円安ドル高が急速に進み、150円台に突入した円相場。市場では為替介入が意識され始めた。ドル/円、英ポンド/円、ユーロ/円の見通しとは?
円見通し - ドル/円、英ポンド/円、ユーロ/円の分析
- 神田財務官が強めの円安けん制発言
- ドル/円、150円の大台を上回る動き
- 英ポンド/円のブレイクアウト、勢いすでに弱まる
- ユーロ/円はレジスタンスゾーン試すも、上値重い
- このレポートは、チャートパターンと主要なサポートとレジスタンスを利用して分析しています。テクニカル指標に関するより詳細な内容については、当社の学習コンテンツをご覧ください
神田財務官、円安をけん制
14日朝、神田真人財務官から円安をけん制する強めの発言が出たが、今のところ為替市場への効果は見られない。神田財務官は、経済に悪影響を及ぼす恐れがある「(円の)かなり急速な動き」に不快感を示し、「必要に応じて」為替介入も辞さない考えを示した。
日本政府は以前、2022年9月と10月に円買いドル売りの為替介入を実施し、円を支えた。この際、200億ドル近くが投入されたと言われており、最終的には円高方向に向かい、功を奏した。実に24年ぶりの円買いドル売り介入だったが、今回、日本当局が度重なる警告をしても円高進行に歯止めがかからなければ、為替介入は再び実施されるかもしれない。
神田財務官は、為替はファンダメンタルズを反映して安定的に動くことが重要であり、「緊張感を持って市場動向を注視していきたい」と繰り返し述べた。しかし、為替介入について直接言及することはなく、直接質問されても何も答えなかった。14日の日本国債10年物利回りは急上昇したが、円はほとんど反応していない。
日本国債利回り(10年物)
資料:TradingView、チャート作成:リチャード・スノー
ドル/円:150円台乗せ
ドル/円は、1月の米消費者物価指数(CPI)が予想を上回ったことで上昇し、150円台で推移している。14日は、金曜に発表される1月の米小売売上高と2月の米ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)を見極めたいとして様子見ムードが広がっていたため、小幅な値動きとなった。
ドル/円は、為替介入への警告には反応していないようだ。150を上回って以来、ほとんど下げておらず、強気の姿勢は崩れていない。
円にとって、146.50が次のレジスタンスとなるが、16日発表の米経済指標が助けにならない限り、到達は難しいだろう。ただ、RSI(相対力指数)はドルが買われ過ぎの水準にあり、円は対ドルで短期的に反発するかもしれない。日本政府が円買いドル売り介入に踏み切った場合、歴史が繰り返されるのであれば、ドル/円は500/600pips(ピプス)もの幅で動く可能性がある。つまり、為替介入にまつわる潜在的なボラティリティは非常に大きいのだ。
ドル/円 日足チャート
資料:TradingView、チャート作成:リチャード・スノー
英ポンド/円:ブレイクアウトも勢い欠ける
英ポンド/円は13日、年初来高値を更新したが、勢いはなく、すぐに188.80まで値を戻しそうに見える。1月の英消費者物価指数(CPI)は小幅上昇の予想だったにもかかわらず、総合指数、コア指数ともに前月から横ばいとなったため、英ポンドは全般的に軟調に推移している。
テクニカル面では強気の見方が優勢であることに変わりはないが、RSIでは買われ過ぎの領域に近づいている。以前、これが下降に転じたシグナルだったことがあるため、注意が必要だ。また、為替介入の可能性が大きなリスクとなっている。
15日(日本時間16時)には英国内総生産(GDP)が発表される。英国のテクニカルリセッション(2四半期連続でのマイナス成長)が確認される可能性があり、そうなった場合はこれまでの英ポンドの上昇分は失われるかもしれない。
英ポンド/円 日足チャート
資料:TradingView、チャート作成:リチャード・スノー
ユーロ/円:レジスタンスゾーン試すも、上値重い
ユーロ/円は、161.70のレジスタンスゾーンに直面している。ユーロ圏では今年中に100ベーシスポイント以上の利下げが実施されると見られているため、ユーロは上値が重く、主要通貨に対して弱含みの展開が継続する可能性が高い。
しかし、円相場は軟調なユーロ以上に弱く、200日単純移動平均線が主要なサポートとして機能しそうだ。161.79が164に向けての強気な動きを阻む一方、157.94がサポートとなっている。
ユーロ/円 日足チャート
資料:TradingView、チャート作成:リチャード・スノー
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--- DailyFX.com リチャード・スノー著
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