ビットコイン価格は、2021年以来はじめて5万5千ドルを上回った。Bitcoinと金は、デジタルゴールドおよびリアルゴールドとも言われるが、最近の両者のパフォーマンスに乖離が生じている。出遅れ感のあるNY金価格の今後の見通しとは。
ビットコインの上昇続く
現物ETFが承認されて以降、ビットコイン価格の上昇が続いている。ビットコイン価格は、ドル建てで2021年12月以来はじめて55,000ドルを上回った。
ビットコイン価格（ドル建）
資料：Trading View
ビットコイン価格の上昇は、NY金価格の追い風となる可能性がある。金とビットコインは、似た性質を備えていることから、金がリアルゴールドと言われることに対して、ビットコインがデジタルゴールドと言われることがある。特定の国の通貨に紐づいて発行されない、無国籍通貨とも言われる存在であることや、発行量に上限があることなどが背景にある。
近年、両者の価格の相関が高まっている。しかしながら、2024年に入り、ビットコイン価格が上昇する一方、金価格は概ね横ばいで推移している。ビットコインの現物ETFが承認されたことで、ビットコイン価格の先高観が強まっていることや、ビットコイン特有のイベントである「半減期」が近いことなどが背景にあると思われる。
しかしながら、両者のパフォーマンスが乖離していることは、金価格が出遅れていることを示しており、パフォーマンスを埋めるべく、金価格が上昇する可能性がある。
資料：Trading EconomicsよりDailyFXが作成。2022年末を100として指数化。ビットコインおよび金はドル建。
NY金価格の見通し
NY金価格（スポット、ドル建）は、23年12月28日から24年2月14日までの下落の半値戻しの水準2,036ドルがレジスタンスとして機能している。しかしながら、RSIは50を超えており、金価格に対する強気モメンタムを示している。また、MACDラインは、シグナルラインを上回っており、上昇トレンドを示唆している。
ビットコイン価格の上昇が金価格をサポートする可能性があり、テクニカル面で明るい兆しを示している中、レジスタンスである2,036ドルを上方ブレイクすることで、金価格の上昇圧力が一段と強まることを見込む。
レジスタンスを上方ブレイクした場合、NY金価格は、2月2日高値2,058ドルへの上昇が視野に入る。
リスクとして、FRB（米連邦準備制度理事会）の利下げ観測があげられる。金利の付かない金は、利下げ観測が後退、米金利が上昇することで価格の下押し圧力となる。
28日公表の米PCE物価指数などがインフレ高止まりを示した場合、FRBの利下げ観測が後退し、NY金価格が下落する可能性がある。その場合、フィボナッチリトレースメント38.2％水準2,024ドルがサポート転換しているかに注目。
サポート転換していることが確認された場合、金価格の地合いが強まっていることを投資家に印象付ける一方、下方ブレイクした場合、下落圧力が強まり、2,000ドルまで下落する可能性がある。
NY金価格（スポット、ドル建）日足チャート
資料：Trading View
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著
