ドル円は、34年ぶりの水準までドル高円安が進展。米国CPIが予想を上振れたことがドル高圧力となった。為替介入に対する警戒感が一段と強まる中、USDJPYの今後の見通しとは。
【米ドル円(USD/JPY)のターゲット】
上値①:154.00円
上値②:153.12円
下値①:150.88円
下値②:150.00円
下値③:146.48円
ドル円、34年ぶり
米国CPI(消費者物価指数)が予想を上回り、FRB(米連邦準備制度理事会)による利下げ観測が後退、日米金利拡大に伴い、ドル円は34年ぶりの水準までドル高円安が進行している。
3月中旬以降、日本当局による為替介入への警戒感が高まり、152.00円がレジスタンスとなっていたが、153円台まで一気にドル円が上昇した。
現在のところ、日本当局から為替介入は実施されていないものの、この水準を日本当局が容認するのか、それとも為替介入を実施し、円安抑制を図るのかに注目である。
また、為替の動向は、金融政策を決める上での直接的な要因でないものの、円安進行に歯止めが掛からない中、円安に伴うインフレ高止まりとの判断から、日本銀行が、更なる金融引き締めに動く可能性もある。
ドル円の推移
資料:TradingView
日米金融政策
市場予想を上回る米国CPIを受け、FRBの利下げ観測が一段と後退、2024年の利下げ利下げ織り込みは、約1.7回程度まで後退している。
2023年末時点では、年内6回の利下げを金融市場は織り込んでいたが、インフレ高止まり、堅調な労働市場などを背景に、利下げ織り込みが大幅に後退した。FRBの利下げ織り込みの後退に伴い、米国金利が上昇、米ドル高圧力になっている。
資料:BloombergよりDailyFXが作成。
金融市場では、日本銀行が、7月もしくは9月に再度利上げを実施し、年内2回の利上げを実施することを織り込んでいる。
FRBの利下げ織り込みは大幅に後退しており、一段の利下げ織り込みの後退余地は限定的とみる。一方、日本銀行の利上げ織り込みが進展する余地がある状況である。
資料:BloombergよりDailyFXが作成。
米ドル円(USDJPY)の見通し
ドル円は、3月中旬以降のレンジ150.88~152.00円を上方ブレイクし、一時153円台までドル高円安が進展した。RSIは円安の過熱的であることを示す70まで上昇しているものの、当面は、日本当局からの為替介入の有無が鍵を握るとみる。
為替介入が実施されなかった場合、レンジの上限であった152.00円が今後サポートとして機能するようになることを見込む。
ただし、FRBの利下げ織り込みの後退余地は限定的とみていることから、短期的なドル円の上昇余地は限定的と予想する。ドル円が上昇した場合、3月中旬以降のレンジ幅から算出される153.12円がレジスタンスとして機能することを見込む。この水準を上抜けると、心理的節目である154.00円への上昇が視野に入る。
一方、為替介入が実施された場合、レンジの下限であった150.88円を下方ブレイクするかに注目。ブレイクに失敗した場合、ドル円の地合いが強いことを投資家に印象付けよう。
ブレイクに成功した場合、心理的節目である150.00円をトライしよう。更に、150.00円を下抜けた場合、円高圧力が強まり、3月11日安値146.48円までドル安円高が進行する可能性がある。
【米ドル円(USD/JPY)のターゲット】
上値①:154.00円
上値②:153.12円
下値①:150.88円
下値②:150.00円
下値③:146.48円
USDJPY日足チャート
資料:TradingView
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著