ドル/円見通し：再び危険ゾーン、円安効果で日本の輸出は過去最高額

ドル/円は再び150を試す展開となっている。円安効果で、1 月の日本の輸出は過去最高額を記録した。ドル/円の見通しとは？

円の値動き、チャート、分析

• 日本の輸出、円安効果で1月に過去最高額を記録
• ドル/円、再び危険ゾーンに

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1月の日本の輸出額が過去最高を記録したのは円安の後押しが大きい。輸出は11.9%増の7兆3,300億円となり、一方、輸入は9.6%減少した。輸出急増、輸入急減にもかかわらず、貿易収支は2カ月ぶりの赤字に転落した。とはいえ、元々1月は輸出が少なく、赤字になりやすいという季節性があるうえ、1年前の3兆5,100億円の赤字からは1兆7,600億円の赤字へと赤字額は半減し、季節調整値では約0.2兆円と2021年5月以来の黒字となった。2023年1月、ドル/円は現在の150円に対し128円台で取引されていた。

日本の輸出セクターは昨年、円安の恩恵を受けてきたが、この状況は今後数カ月で変わると考えられる。米連邦準備制度理事会（FRB）は今年、約93ベーシスポイント（bp）の利下げを実施すると見られており、確率的には25bpずつ 3回または4回の利下げ実施が示唆されている。一方、日本では2024年に金利が27bp上昇すると予想されている。これが実現すると1.25ポイントほど円に有利となり、ドルと円の金利差は縮小し、ドル/円は今年下落すると見ている。

21日は、1月30―31日開催分の米連邦公開市場委員会（FOMC）議事要旨が公表されるため、米連邦準備制度理事会（FRB）の姿勢や方向性がより鮮明になるだろう。FRBは市場の積極的な利下げ見通しを見事に後退させ、市場では今やFRBの見解に沿った方向性が主流なようだ。一方で、日本の当局者は現在の円相場の動向を注視しており、さらなる円安を防ぐために介入に動く可能性がある。1月の貿易収支データに見られるように、通貨安は自国の輸出販売を促進するが、他国は日本が通貨安から得ている競争上の優位性をおもしろいとは思わないだろう。

日足チャートでは、昨年10月下旬から11月上旬にかけて形成された152近辺のダブルトップが注目される。もしドル/円がこの数十年来の高値に近づけば、市場は口先であれ実際の介入であれ、政府・日銀による介入のシグナルを強く警戒するだろう。もし日本の当局者がドル/円をこの水準で効果的に抑制し、両通貨の金利差が今後数カ月で縮小するようであれば、ドル/円は今年中に下落する可能性がある。

当面のサポートは149付近で、その下には145―146のエリアが控えている。

ドル/円　日足チャート

資料：TradingView

個人トレーダーのデータを示すIGクライアントセンチメント（IGCS）によると、ドル/円を取引するトレーダーの27.24%がネットロング（ドルを買い持ち）にしており、トレーダーのショートとロングの比率は2.67対1となっている。ネットロングのトレーダー数は昨日より3.98%少なく、先週より24.50%多い一方、ネットショートのトレーダー数は昨日より0.40%多く、先週より4.73%少ない。

IGCSは逆張り指標として機能する傾向があり、ネットショートのトレーダーが多いということは、ドル/円相場が上昇し続ける可能性を示唆している。

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