ダブルトップは、トレーダーの武器の一つとして修得して組み込むべき注目のテクニカル手法です。ダブルトップはFXと株式のいずれの場合でもテクニカル分析を向上させることができ、本質的にきわめて用途の広いパターンと言えます。
FXや株におけるダブルトップとは?
ダブルトップには2つの山があり、相場の差し迫った弱気への反転を示唆します。2つの山の間には一定の谷がある一方で、上値の水準ではレジスタンスラインが見られます。最初のピークから少し戻した後、相場は反発し、最初のピークの高値を目指して上昇しますが、値動きの勢いは衰えていて、最初のピークの高値を超えることはできません。
勢いの衰えは、RSIなどのオシレーター上でのピークの低下を通じて確認することができます。また、これは条件ではありませんが、相場は短期間とは言え、最初のピークより高くなる場合もあります。最初のピークを超える、小幅かつ短期のブレイクアウトは、強気派を勢いづかせ、トレンドを反転させて、より低く下げる結果となるため、望ましいものです。その他に、IGクライアントセンチメントの強気への転換は、2つめのピークが近づいていることを示している場合があります。
ダブルトップでは2つのピークの間の谷底の安値で、ネックラインが形成されます。このネックラインのブレイクにより、ダブルトップが完成します。弱気の確認は、2つのピークの間の安値水準にある、節目となる価格のサポートライン(ネックライン)の突破によりおこなわれます。
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出所:IG証券
ダブルボトムとは?
ダブルボトムは、ダブルトップを逆にしたもので強気の反転を示唆します。ダブルボトムでは、節目となるサポートラインのブレイクアウトによる確認の代わりに、2つの谷に挟まれた高値をつないだレジスタンスラインのブレイクアウトによる確認をおこないます。ダブルトップとダブルボトムのパターンは、FXを含む主な金融マーケットのトレーダーが使用する強力なテクニカルツールです。
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出所:IG証券
トリプルトップとは?ダブルトップとの違いは?
![図形, 四角形 自動的に生成された説明](https://a.c-dn.net/b/1v7eAh/image3.png)
トリプルトップとは、同じくらいの高さの山(高値)が3つ現れた後、安値同士を結んだネックライン(サポートライン)を下回ることで完成するチャートパターンです。ダブルトップでは山が2つになりますが、トリプルトップでは3つになります。
トリプルトップは3回上昇したものの、毎回同じくらいの価格で売り圧力に押し返され、最終的には売り圧力に押し切られてしまったことを表しています。トリプルトップが上昇局面で出現した時は、下落トレンドへの反転が示唆され、一般的にはダブルトップより強い売りサインになると言われています。
FXや株のチャート上でのダブルトップ・ダブルボトムの見つけ方
ダブルトップやダブルボトムを見極める方法を、ステップ別に説明します。
- 同じような幅と高さを持つ、2つのはっきりしたピーク(ダブルボトムの場合は谷)を見つけます
- 時間軸にもよりますが、2つのピーク(谷)の間の距離はあまり狭すぎてはいけません
- ネックライン(サポートラインまたはレジスタンスライン)を確認します
- 別のテクニカル指標を使用して、ダブルトップ(ダブルボトム)の弱気(強気)のシグナルを確認します。たとえば移動平均線やオシレーター等を使用します
ダブルトップを使用したFXや株の取引手法:インジケーターと組み合わせてダマシを回避する
ダブルトップは、FXや株式マーケットで売り(弱気)のシグナルとしてよく使用されます。下の2つのチャートでは、2つのマーケットにおいて、取引のエントリーとエクジットポイントに関し、このパターンを異なる形で利用する方法を示しています。
USD/JPYのダブルトップ
![image4.png](https://a.c-dn.net/b/2YYtXR/image4.png)
出所:IG証券
上の画像は、USD/JPYの週足チャートです。先行する上昇トレンドの後、ダブルトップが形成され、1つめのピークではレジスタンスラインに達した時に、RSIが買われ過ぎのシグナルを出しています。このピークの後、相場は勢いを失い、2つのピークの間で特徴的な落ち込みが形成されています。その後2つめのピークが、前のピークより少しだけ上昇し、短期間ですがレジスタンスラインさえもブレイクアウトしています。興味深いことに、このレジスタンスラインのブレイクアウトについては、RSIは買われ過ぎのシグナルを示していません(丸で囲んだ場所)。この場合、2つのピークの間のダイバージェンス(乖離)を表し、RSIは値動きの勢いの減速を示しています。また、この種のダイバージェンスは弱気のシグナルになります。
この取引のエントリーポイントは、ネックラインを割りこむ終値により確認され、これはチャート上でマークされています。また、2つのピークを結ぶレジスタンスラインを逆指値注文を入れる価格とし、2つのピークを形成する前の直近の安値を結んだ線を指値注文を入れる価格とします。プライスアクションによるアプローチではなく、フィボナッチレベルを逆指値注文や指値注文の価格として利用することもできます。リスク管理に関しては、この取引では、およそ1:1.2のリスク・リワード比率を維持しています。
Ryanair Holdings PLC(LSE)のダブルトップ
![image5.png](https://a.c-dn.net/b/28Z3Lf/image5.png)
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株式マーケットのボラティリティ(値動き)は、「より滑らかな」チャート構成に示されるように、それほど激しくはありません。ダブルトップと組み合わせて使用できる、裏付け機能の多様性を示すために、この株式チャートの例ではオシレーターを導入しています。
このRyanair Holdings PLC(LSE)の株式は、最近完成したダブルトップを示しています。このタイプの取引のセットアップでは、トレーダーは上述のような確認を待たずに、2つめのピークの形成後すぐに、下落に向かう大きな値動きを利用することができます。逆指値注文は最初のピークの高値に設定し、指値注文はネックラインに沿って設定します。ストキャスティクスを使用し、上に見られる買われ過ぎのサインを使用して、エントリーポイントを確認しています。
まとめると、ダブルトップは正しく理解し利用すれば、強力な武器となるものです。他のテクニカルツールによる適切な裏付けにより、このパターンの特徴を活かすことができ、さまざまなマーケットで使用することができます。
FXや株におけるダブルトップやダブルボトムの注意点2選
ダブルトップやダブルボトムはFXや株において有効なチャートパターンですが、注意すべき点もあります。
- FXでも株でもダブルトップやダブルボトムではダマシが発生する
- 失敗に備えて逆指値注文を入れておく
以下、順に解説していきます。
FXでも株でもダブルトップやダブルボトムではダマシが発生する
ダブルトップやダブルボトムでは他のチャートパターンと同様、ダマシが発生することがあります。ダマシとは価格が上がると見せかけて上がらなかったり、下がると見せかけて下がらなかったりすることを言います。つまり、セオリー通りの動きにならず、想定とは逆方向に動いてしまうこともあるのです。
例えば、ダブルトップが形成されて、ネックラインを超えるのを待ってからエントリーしたとしても、下落せずにどんどん上昇してしまうことは少なくありません。そのため、しっかりと逆指値注文を入れるなど、リスク管理をすることが重要です。
失敗に備えて逆指値注文を入れておく
ダブルトップでエントリーする場合、失敗(ダマシ)に備えて必ず逆指値注文を入れておくことをおすすめします。なぜなら、ダブルトップに失敗すると、トレーダーは売りポジションを解消するために損切りや利益確定の買い注文を入れ、これが価格の上昇につながるからです。
価格の大きな上昇が起きた場合、逆指値注文を入れていないと大きな損失になることが考えられます。そのため、必ず逆指値注文を入れておくようにしましょう。
もちろん、ダブルボトムの場合でも価格の大きな下落に備え、必ず逆指値注文を入れてください。
【ダブルトップ・ダブルボトムで勝てない場合】勝率の高い2つのパターン
前述したようにダブルトップやダブルボトムではダマシが発生することがありますが、できるだけ勝率の高いパターンでエントリーすることで、ダマシに引っかかりにくくすることができます。
- サポートラインやレジスタンスライン付近に現れた場合
- 右肩上がりのダブルボトムや右肩下がりのダブルトップ
サポートラインやレジスタンスライン付近に現れた場合
ダブルトップはレジスタンスライン付近に現れた場合、セオリー通りになる傾向があると言われています。レジスタンスライン付近は売りの勢力が強いため、上値を抑えられて下落する可能性がより高くなるというのが理由です。
また、ダブルボトムであればサポートライン付近に現れた場合には、セオリー通りになる傾向があると言われています。
右肩下がりのダブルトップや右肩上がりのダブルボトム
ダブルトップで勝率を高めたい場合、2つの高値を比較して右肩下がりになっているものを選ぶのがおすすめです。なぜなら、高値が切り下がっている場合は、下落圧力が高いと考えられるからです。
![グラフィカル ユーザー インターフェイス, テキスト 自動的に生成された説明](https://a.c-dn.net/b/0ENWAg/image6.png)
一方、ダブルボトムは安値が右肩上がり、つまり切り上げているものを選ぶとよいでしょう。これは上昇圧力が高いと考えられるからです。
![テキスト 自動的に生成された説明](https://a.c-dn.net/b/0iVJmz/image7.png)
逆に、高値が右肩上がりのダブルトップや、安値が右肩下がりのダブルボトムは、セオリー通りにいく確率が低くなると言われています。そのため、エントリーチャンスより勝率を優先したい場合は、ダブルトップやダブルボトムの中でも勝率の高いパターンに絞ってエントリーしていきましょう。
FXや株におけるダブルトップに関するFAQ
この項目では、FXや株におけるダブルトップに関する知っておきたいことや注意しておきたいことをまとめてご紹介していきます。
- ダブルトップやダブルボトムは、その後どのような値動きになりますか?
- FXや株では、どの時間足でダブルトップを使えばいいですか?
- ダブルトップと三尊、ダブルボトムと逆三尊の違いは?
- ダブルトップが形成された場合、価格はどこまで下がるのですか?
ダブルトップやダブルボトムは、その後どのような値動きになりますか?
ダブルトップが形成されると、その後は下落することが期待できます。ネックラインを下抜けると、さらにその可能性は高まります。
一方、ダブルボトムはその後上昇することが期待できるチャートパターンです。ネックラインを上抜けると、さらにその可能性は高まります。
FXや株では、どの時間足でダブルトップを使えばいいですか?
ダブルトップは、どの時間足でも有効なチャートパターンです。ただし、長期的なトレンドに逆らわないようにした方が勝率は上がりやすいため、より上位の時間足もチェックすることをおすすめします。
ダブルトップと三尊、ダブルボトムと逆三尊の違いは?
![image8.png](https://a.c-dn.net/b/4cnqME/image8.png)
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ダブルトップと三尊(さんぞん)は似た形のチャートパターンであり、共に売りのシグナルになりますが、違いもあります。ダブルトップと三尊の主な違いは、以下の通りです。
- ダブルトップは谷が2つ、三尊は3つ
- ダブルトップは山の高さがほぼ同じ、三尊は真ん中の山が最も高く、その両側の山がほぼ同じ高さ
なお、三尊は英語で「ヘッドアンドショルダー」と呼ばれることもあります。
![image9.png](https://a.c-dn.net/b/0FPpFo/image9.png)
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ダブルボトムと逆三尊(ぎゃくさんぞん)は、こちらも似た形のチャートパターンであり、共に買いのシグナルになりますが、違いもあります。ダブルボトムと逆三尊の主な違いは、以下の通りです。
- ダブルボトムは谷が2つ、逆三尊は3つ
- ダブルボトムは谷の深さがほぼ同じ、逆三尊は真ん中の谷が最も深く、その両側の谷がほぼ同じ深さ
なお、逆三尊は英語で「ヘッドアンドショルダーズボトム」と呼ばれることもあります。
ダブルトップが形成された場合、価格はどこまで下がるのですか?
ダブルトップでは一般的に、直近の高値からネックラインまでの値幅と同じ分だけ、ネックラインを割り込んでから下落すると言われています。そのため、その水準が利益確定の目標として、トレーダーから意識されやすいです。
![図形, 四角形 自動的に生成された説明](https://a.c-dn.net/b/4FnqpI/image10.png)
ただし、ダブルトップを形成する前の安値や、フィボナッチリトレースメントの水準を利益確定の目標とするトレーダーも多いです。
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