※2024年2月2日11時36分更新
このレポートでは、NY金のテクニカル分析見通しを中心に、今後数日間において警戒が必要な水準を検証する。今夜の米雇用統計発表後に展開される可能性のある2つのシナリオについても分析する。
NY金の見通し
- 2日(日本時間22:30)に発表がせまる米非農業部門雇用者数に注目
- 弱い雇用統計は金価格にとって強気に、強いデータはマイナスに働く
- このレポートでは、短期的な金のテクニカル分析見通しを精査する
テクニカル・ファンダメンタルズ両面から分析した2024年第1四半期の金相場見通しをトレードに役立ててください。無料ダウンロードはこちらから↓
米連邦準備制度理事会(FRB)は今週前半に2024年最初の金融政策決定会合を開き、政策金利の据え置きを決定した。米連邦公開市場委員会(FOMC)は引き締め姿勢を弱めたが、利下げ実施を急がないことも示唆した。パウエル議長はさらに一歩踏み込み、インフレが2%に向かって継続的に低下しているという確信が持てるまで利下げは適切ではなく、3月会合での利下げ実施にはまだ自信が持てないとの見解を示した。
3月に利下げが実施される可能性は低くなったが、経済活動が回復しつつあることを示すデータ(経済指標)が入ってくれば、情勢は再びかわる可能性がある。大局的に見れば、経済が弱くなれば、政策立案者はそのスタンスを再考することになり、結局のところ、最近のFRBの指針はデータに依存している。
現在の状況を踏まえると、1月の米雇用統計はより重要で重みのあるものになるだろう。米国アナリストの予測では、1月の米非農業部門雇用者数(NFP)は18万人増加と見られているが、1月のADP雇用統計が低調な結果となり、新規失業保険申請件数も同時期に増加したことを考えれば、NFPの結果が弱い内容だったとしても何ら不思議ではない。
米雇用統計予想 (2月2日発表)
NFPが予想を大きく下回り、さえない結果となった場合、3月の利下げが再び検討されるかもしれない。このシナリオでは、米国債利回りが急低下するとともにドルは大きく下げる可能性がある。金価格にとっては短期的にプラスに働く可能性が高い。
逆に、NFPがコンセンサス予想を大きく上回った場合、FRBの金融政策見通しに対するハト派寄りの見方はさらに後退するだろう。このシナリオでは、米国債利回りとドルの上昇が加速し、貴金属の重しとなる可能性がある。このような背景から、金価格は2月に不安定な状況に陥る展開も想定される。
当社のセンチメントガイドは、トレーダーのポジション状況が金価格をどのように形成するのかを説明しています。無料ダウンロードはこちらから↓
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | -11% | 4% | -5% |
週次 | -8% | -2% | -5% |
NY金 テクニカル分析
1日のニューヨーク金先物相場は上昇し、2,050ドルの壁を突き抜け、重要な天井である2,065ドル突破まであと一歩のところまで迫った。強気派が再び主導権を握っているため、このレジスタンスはすぐに克服される可能性がある。そのシナリオが実現すれば、2,085ドルへ向けて上昇するかもしれない。さらに強含めば、焦点は2,150ドルに移るだろう。
逆に、買い意欲が薄れ、金/ドルの上値が重くなった場合は、トレーダーは2,050ドルの水準近辺で弱気な動きがないかに注目することが肝要だ。このエリアが維持されない場合、50日単純移動平均線に向かって下落し、その後2,005ドルを再び試す可能性がある。この水準を下回ると、1,990ドルを維持できるかに注目が集まる。
NY金 日足チャート
資料:TradingView
--- DailyFX.com マーケットストラテジスト ディエゴ・コルマン著
新たなレポートの配信等はX(旧Twitter)アカウント @DailyFXJapan で確認できます。