※2024年1月22日13時00分更新
このレポートでは、ユーロ/ドル、ドル/円、米ドル/カナダドル、豪ドル/米ドルなど主要な米ドル通貨ペアを中心に、米ドルのファンダメンタルズとテクニカルの見通しについて検証する。
米ドル見通し - ユーロ/ドル、ドル/円、米ドル/カナダドル、豪ドル/米ドル
- 米ドルは、年初に予想されていたよりもFRBの方向性がタカ派的に見直されたことが追い風となり、このところ反発している
- FOMCが3月の会合で利下げを開始するとの観測は後退し、米ドルの回復を後押ししている
- 今週は米PCEの発表に注目
主要通貨に対する米ドルの強さを反映する米ドル指数(DXY)は最近、目覚ましい反発を見せている。米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策見通しに対する市場の見方がタカ派的に見直されたことに伴う米国債利回りの大幅な上昇に支えられ、ドル買いが進んだ。
その経緯を説明すると、12日の米小売売上高発表前、市場は年内の利下げ幅を160ベーシスポイント(bp)近くと予想していたが、米小売りが予想外に強かったことを受け、こうしたハト派的な見方は後退し、現在の予想利下げ幅は124bpまで低下している。
2024年FF先物(インプライド・イールド)
資料:TradingView
米連邦公開市場委員会(FOMC)が3月の会合で利下げを開始するとの観測は薄れており、利下げ実施の可能性(確率)は1週間前(1月)の約77%からきょうは46%まで低下している。このような状況は間違いなく、米ドルが主要通貨に対して上昇する一因となっている。
テクニカルおよびファンダメンタルズ両面から分析した第1四半期のドル相場見通しは、以下から無料でダウンロードできます↓
資料:CMEグループ
米国の景気は予想以上に順調であるうえ、労働市場は極めてひっ迫した状態で、ディスインフレの進展は停滞している。このような状況下、トレーダーが2024年の利下げ予想を引き下げても不思議ではない。特に今後発表される経済指標が強い内容でない場合は、なおらである。
米商務省の経済分析局が数日後に、昨年12月の個人所得と個人支出の数値を発表すれば、米国の経済と消費者物価に関するより明確な情報が得られるだろう。この発表において重要なのは、個人消費の伸びと個人消費支出(PCE)コア価格指数の2点である。
下表はDailyFXの経済指標カレンダーから引用したもので、今後発表される経済指標に対するコンセンサス予想を示している。
今後発表される米国経済指標
コンセンサス予想を上回る結果が出た場合、米国経済は引き続き好調で、政策スタンスを緩和するのは時期尚早であることを示す可能性がある。このような場合、米国債利回りは上昇し、米ドルはさらに反発の勢いを増す可能性がある。また逆に、低調な内容となった場合は、緩和期待を裏付け、米ドルが再び下落基調に転じる可能性がある。
トレーダーのポジション状況がユーロ/ドルの短期的な軌道にどのような影響を与えるかを知りたいですか? 当社のセンチメントガイドには、このトピックに関する貴重な洞察が掲載されています。無料ダウンロードはこちらから↓
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | 6% | -14% | -3% |
週次 | -9% | 13% | -1% |
ユーロ/ドル テクニカル分析
先週のユーロ/ドルは、週初に下落したものの、200日単純移動平均線1.0840を上回る水準を維持して取引を終えた。ユーロに対するセンチメントをプラス方向にもっていくには、このサポートゾーンの維持が極めて重要であり、維持できなかった場合は1.0770、その後は1.0700に向けて下落する可能性がある。
逆に、買いの勢いが戻り、相場の反転を促した場合は、主要レジスタンスは1.0910―1.0930が意識されよう。売り手はこの壁を死守しようとすることが予想されるが、ブレイクアウトに成功した場合は、1.1020付近が新たなレジスタントになるだろう。
ユーロ/ドル 日足チャート
資料:TradingView
円の中期的な見通しについては、当社の第1四半期見通しをご覧ください。無料ダウンロードはこちらから↓
ドル/円 テクニカル分析
ドル/円は先週、週初に上昇したものの、週末が近づくにつれ、149.00付近のレジスタンスに阻まれて失速、小幅反落して取引を終えた。今後数日間で下げが拡大されると、147.40がサポートとして意識され、その後は146.00が控えている。
逆に、強気派が相場の主導権を取り戻し、価格が149.00を上抜ければ、心理的水準150.00の大台に向けて上昇する可能性がある。過去の値動きが道しるべとなるなら、ドル/円は再びこのエリアを試しても跳ね除けられる可能性がある。しかし、ブレイクアウトした場合は150.90に向かって上昇することが想定される。
ドル/円 日足チャート
資料:TradingView
トレーダーのポジションと米ドル/カナダドルの軌道の相関関係についてもっと知りたい方は、市場心理の詳細がわかる当社のセンチメントガイドをご覧ください。無料ダウンロードはこちらから↓
変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | -3% | -6% | -5% |
週次 | 24% | -17% | -4% |
米ドル/カナダドル テクニカル分析
先週の米ドル/カナダドルは、週初に力強く上昇したものの、急落に転じ、200日単純移動平均線を割り込んで週末を迎えた。この反落は、トレンドライン(レジスタンス)と1.3540付近の重要なフィボナッチ水準の上抜けに失敗したことが響いている。
今後数日で弱気が勢いを増す場合、最初のサポートは1.3385、次いで1.3355が意識されることが予想される。一方、強気派が戻った場合は、1.3480がレジスタンスとなる。さらに強含みの展開となれば、1.3510が注目されよう。
米ドル/カナダドル 日足チャート
資料:TradingView
豪ドルの先行きが気になりますか? 当社の第1四半期見通しで包括的な答えを見つけてください。無料ダウンロードはこちらから↓
豪ドル/米ドル テクニカル分析
豪ドル/米ドルは、昨年12月下旬から今週初めにかけて下落したが、0.6525のサポート水準から反発し、0.6570―0.6580の重要な上値を超えた。今後数日で回復の勢いが強まった場合、最初のレジスタンスは0.6650、次いで0.6700が意識されよう。
逆に、売り手が再び頭角を現し、価格が0.6580/0.6570を下回る場合は、100日単純移動平均線が位置する0.6525がサポートとなりそうだ。さらなる下降局面では、昨年10月と12月の上昇のフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準0.6500が焦点となる。
豪ドル/米ドル 日足チャート
資料:TradingView
--- DailyFX.com マーケットストラテジスト ディエゴ・コルマン著
新たなレポートの配信等はX(旧Twitter)アカウント @DailyFXJapan で確認できます。