※2024年2月6日16時49分更新
5日の欧州外国為替市場でオーストラリアドルは、先週金曜の米雇用統計の結果を受け米ドルが上昇した中、下落分を挽回することができなかった。また、低迷する中国株が一段安となり、豪株価指数も低下した。
豪ドル/米ドル、豪S&P/ASX200の見通し
- 豪ドル/米ドルは米雇用統計後、下落圧力かかる
- 豪株価指数は中国株大幅安を受け、史上最高値から反落
- インフレの安定化を受け、豪中銀の政策金利は据え置き
- このレポートは、チャートパターンと主要なサポートとレジスタンスを利用して分析しています。テクニカル指標に関する詳細については、当社の学習コンテンツをご覧ください
インフレの安定で、豪中銀は金利据え置き
オーストリア準備銀行(RBA、中央銀行)は6日、政策金利を4.35%に据え置くと予想されている(RBAは6日、据え置きを決定)。豪インフレ指標が良好な兆候を示しているため、利上げを継続する必要性は大幅に低下している。インフレデータが上昇傾向にあったため、RBAは昨年11月には利上げ実施を余儀なくされた。
市場では、RBAは9月までに利下げに踏み切ると予想されているが、市場予想確率を見ると、早ければ6月にも利下げが実施される可能性がある(可能性は49%)。
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豪ドル/米ドル、NFP後に下落圧力かかる
金利据え置きに加え、米雇用統計が予想外に力強い内容となったことも、豪ドルのさらなる下落につながったようだ。1月の米雇用統計が予想外に強かっただけでなく、12月分も大幅に上方修正され、1月の米労働市場の堅調さは昨年から引き継いでいることが示唆された。
DailyFXでは、豪ドル/米ドルがトレンドラインをブレイクするまでの過程を追跡してきた。以来、200日単純移動平均線(SMA)付近で弱気なチャートパターンである下降フラッグが示現し、豪ドル/米ドルは先週金曜には大幅下落した。
現在、昨年8月から11月にかけてレジスタンスだった、狭いレンジのサポートを試す展開となっており、今後の動き次第では0.6460が視野に入るだろう。今週は、RBAの金利決定を除けば、イベントリスクはほとんどない。そのため、市場が米非農業部門雇用者数(NFP)のデータを消化する間、米ドルがさらに上昇する可能性を認識しておく必要がある。米供給管理協会(ISM)が今夜(日本時間)発表するサービス業購買担当者景気指数(PMI)の確報値で、景気が引き続き拡大していることが確認されれば、米ドルを押し上げる可能性があり、豪ドルには重しとなる。
豪ドル/米ドル 日足チャート
資料:TradingView、チャート作成:リチャード・スノー
豪株価指数は史上最高値から後退、中国株急落を嫌気
オーストラリアの株価指数であるS&P/ASX200は先週金曜、史上最高値を更新した。現在、これまでの史上最高値であった7,641を上回った水準は維持しているものの、このところ下げがきつい中国株の不安定さを嫌気し、下落している。中国の証券監督委員会は先週末、市場の異常な動きを防止すると言及したが、それ以上の詳細は明らかにされていない(6日に空売り規制強化の一環として株券転貸を抑制すると発表)。中国当局は以前にも空売りを禁止したが、意図的な空売りは引き続き監視されている。ほぼ2週間前、当局は証券貸付を制限した。これは、中国株の下落に歯止めをかけることを期待し、空売りを減らすことが目的だった。
しかし、豪S&P/ASX200の上昇トレンドは最近まで続いており、先月のスイングローから勢いよく上昇してきている。日足チャートを見ると、ローソク足の上ヒゲが長く、最近更新した史上最高値近辺では上値が重くなっている。弱気派にとっては、終値で7,645を下回ることが克服すべき最初の難関となる。続いて、1月のスイングローへの接近が次なる重要な注目ポイントとなる。しかし、強気派はそう簡単には譲らない可能性がある。7,641を下回る終値が実現した場合、強気派が諦める前に新高値を再び試す可能性は残るため、機敏に動くことが重要となる。
豪株がこれ以上売られなければ、上昇トレンドは維持され、史上最高値は豪S&P/ASX200の強気派にとって重要な水準であり続けるだろう。
豪S&P/ASX200 日足チャート
資料:TradingView、チャート作成:リチャード・スノー
--- DailyFX.com リチャード・スノー著
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