※2024年4月4日15時07分更新
アップル(AAPL)の株価は1-3月期に下落したが、長期的な成長ストーリーは変わっていない。
株価下落で蝕まれる市場価値
アップルの株価は年初来で9%下落し、2024年1-3月期はS&P500種株価指数との比較において過去10年を超える期間で最悪の四半期パフォーマンスとなった。この急落は、3,000億ドル以上の市場価値を消し去り、アップルは最も価値のある米国企業の座をマイクロソフトに譲ることになった。株価下落に拍車をかけたのは、中国での売上減少、アップルストアに対する規制強化、成長見通しに対する投資家の懸念の高まりである。
資料:グーグルファイナンス
空売り解消の可能性
エヌビディ(NVDA)、メタ(META)、アマゾ(AMZN)といった巨大ハイテク株が上昇を続ける中、空売り筋はアップルに狙いを定めた。金融データ分析会社のS3パートナーズによると、今年これまでのところ、ショートポジションで利益を上げた銘柄の中でアップルは第2位で、24億ドルの利益を計上しているという。これは、ポジションを解消するきっかけになる可能性もあり、そうなれば株価の上昇を促すかもしれない。
強力なファンダメンタルズ、安全資産としての評価が魅力
課題はあるものの、アップルの強力なキャッシュフロー、自社株買い、そして安全資産銘柄としての評価は、現在の水準からの下値は限定的であることを示唆している。同社の大規模な自社株買い計画は、長期的な資金運用者にとって同社株が上昇する可能性が続くことを意味する。
AI株高銘柄からの乗り換え?
人工知能(AI)主導のハイテク株高に勢いがなくなってきた場合、一部のトレーダーは、エヌビディアのようなAIブームに沸いたハイテク銘柄からアップルに投資資金が回帰すると予想している。エヌビディアは年初来ですでに80%超の急騰を遂げており、「AI祭り」がいつまで続くのか不安が募っている。一方アップルは、2020年の安値を始点とする数年にわたる上昇トレンドを崩さない限り、S&P500種指数の足を引っ張ることはないだろう。
アップルに対するアナリスト評価
ロンドン証券取引所グループ(LSEG)によると、ファンダメンタルズ分析に重きを置くアナリストは、アップルを「買い」と評価している。9人が「強い買い」、17人が「買い」、13人が「ホールド」、2人が「売り」と判断している。長期の株価目標は、現在(2024年4月3日時点)の水準を18%上回る200ドルとなっている。
資料:LSEG
アップル株価 テクニカル分析
アップルの株価は昨年12月にピークに達し、その後下げに転じた。昨年7月にも同程度の水準で天井を付けた後、下落している。過去数カ月間、1月下旬の高値196.38ドルを下回って推移しており、昨年10月の安値165.67ドルに向かって下落している。
昨年10月の安値はテクニカル分析上、重要で、これを下抜ければ長期的なダブルトップが形成されることになり、今年中に200週単純移動平均線(SMA)が位置する151.21ドルに到達する可能性がある。
アップル株価 週足チャート
資料:TradingView
このような下落が展開されるリスクが残る中、上値では、1月の安値と179.25―180.39ドルにある55週SMAに頭を抑えられる可能性もある。3月中旬には、この重要なレジスタンスゾーンがすでに上値を抑え、3月の安値168.49ドルを再び試す展開を含む現在の下落トレンドにつながった。
アップル株価 日足チャート
資料:TradingView
日足チャートで3月の安値168.49ドルを割り込んで終値を付けると、2023年10月の安値165.67ドルが視野に入る。その下には小型の心理的水準150ドルが控えている。
レジスタンスは、先週27日の高値173.60ドルと今年の下降トレンドラインが位置する174.80ドルと見られる。173.60ドルを上回らない限り、下落圧力は維持されるだろう。
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