株式は多くの投資家やトレーダーのポートフォリオにおいて重要な構成要素です。長期的なパッシブ・インカムとしての手段であり、2ケタ台のリターンを得られる可能性もあります。しかし、株式マーケットは混乱が起こることもあり、ベストタイミングで適切な銘柄を選ぶ方法は必ずしも明確ではなく、コストや危険をともなうことがあります。本記事では投資家が目標を達成するために必要な銘柄選択の方法を紹介します。

株の銘柄の選び方:ステップ別の説明
「株式をどのようにして選ぶか?」という課題に取り組む際には、検討すべき大切な要素が数多くあります。それは企業の財務状況、株式の流動性やボラティリティ、さらには企業がコントロールできない広範なファンダメンタルズ要素など様々で、これら全てが株式ポートフォリオの成功を左右します。ポートフォリオを構築して目標達成を目指すためには、こうした影響をすべて考慮する必要があります。以下、順番に説明していきます。
1.計画を立てる
銘柄を選択するには最初に計画を立てる必要があります。購入する株式数や資金計画、長期投資または短期トレードでいくのかなどを検討します。例えば、5年以上の長期保有を目指す投資家と、2010年後半に多く見られた買われ過ぎ相場でショートポジションを狙う投資家とでは当然ながら戦略が大きく異なります。
目的が短期トレードであれば、テクニカル分析でトレードプランを立てる方法を参考にしてください。
2.リスク許容度を把握する
リスク許容度は銘柄選択の重要なポイントになります。低リスクのポートフォリオを目指すのであれば、公益事業や生活必需品などのディフェンシブ銘柄をおすすめします。また、高リスクのアプローチとしては、新興国や未成熟セクターの企業を選択することや、マーケットの重要イベントが目指す方向に進むことで目標が達成される企業を選ぶこともできるでしょう。例えば、FDA(米国食品医薬品局)による新薬の承認を待っている製薬会社は承認を得られないかもしれないというリスクにさらされており、目指す結果を得られない場合は株価が壊滅的なダメージを受ける可能性があります。
リスクマネジメントについての詳しい情報はこちらをご覧ください。
3.リサーチする
魅力的な銘柄は様々な手法で見つけることができますが、いくつかのセクターとそこに分類される企業を熟知していれば大勢のライバルから一歩リードしてスタートすることができるでしょう。



分析対象となる銘柄のバックグラウンドや、対象銘柄が最も魅力的になるであろうマーケットの影響について、重要なポイントを紹介します。
財務状況
企業のバランスシート状況を把握します。資産、負債、キャッシュフローおよび直近の収益状況を調べてみましょう。
経営陣
誰が企業の舵取りをしているのか、彼らの業界内での実績および株主からの信頼度はどうでしょうか?
イノベーション
競合をリードするための革新的な取り組みがありますか?新製品や新サービスは顧客や株主にどのように受け入れられていますか?
配当
その企業は配当をしていますか?それはどのくらいの頻度で、また増額予定はありますか?詳しくは配当株への投資方法をご覧ください。
価格と評価
その企業は過小評価されていませんか?それを知るために、株価を1株当たりの利益で割って株価収益率(PER)を計算してみましょう。PERが15前後なら「割安」と考えられていますが、それは必ずしも買う価値があるとか、業界の標準から見て割安であることを意味してはいないのです。可能性の一つとして、投資家が企業の成長見通しに自信がないだけかもしれません。詳しくは株式の評価方法をご覧ください。
流動性
その銘柄はトレーダーが万全の体制でマーケットに参戦できるだけの十分な出来高がありますか?詳しくは、株式マーケットの流動性をご覧ください。
ボラティリティ
値動きにおけるボラティリティはどの程度ですか?また極端な変動があるとするならば理由は何でしょうか?ボラティリティが高まると当然ながらリスクが増加しますが、潜在的なチャンスもあるのです。株式マーケットのボラティリティを読んでどのように活用するのかを確認しましょう。
さらに詳細な情報は銘柄リサーチに関するガイドをご覧ください。
4.テクニカル分析やツールを活用する
デイトレーダーやスイングトレーダー、スキャルパーなどの短期トレーダーは、エントリーとエグジットのタイミングを決めるためにテクニカル分析ツールでプライスアクションを測ってみるとよいでしょう。このようなツールには移動平均線、MACD、RSIのほか、出来高やサポートラインとレジスタンスラインなどがあります。
当然ながら、こうしたツールは過去の価格推移にもとづいているのでトレンド予測には有効です。さらに理想的なのはパターンを覆すようなファンダメンタルズ要因の理解やテクニカル分析を使用する手法、重要なリスク管理を組み合わせることです。
テクニカル指標の詳細と分析方法についてはテクニカル指標をご覧ください。
5.積極的なトレードか、待つ戦略なのか
長期投資や短期トレードのどちらにおいても銘柄選択を明確に実行できるのは、オンライン証券口座経由でトレードのプラットフォームを活用することでしょう。身分証明書を準備して入金方法を選択すれば簡単に口座を開設できます。投資家のタイプはさまざまですが、短期トレーダーは積極的に売買をするでしょうし、長期的なパッシブ投資家は待つことを良しとするでしょう。後者においては途中で浮き沈みはありますが、何年もかけて成長していくことを目的としています。
パフォーマンスが最も高い銘柄 - 2000年1月~2020年1月
株式銘柄 | 株価の上昇:2000年1月~2020年1月 |
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モンスタービバレッジ | 73,300% |
ネットフリックス | 34,400% |
アップル | 20,000% |
トラクター・サプライ | 17,000% |
アマゾン | 11,400% |
最も人気がある株の銘柄
前述したように、出来高の多い人気銘柄はフェイスブックやアマゾン、アップル、ネットフリックス、アルファベットなどの巨大企業が常にリストアップされますが、通常時とは異なるファンダメンタルズ要因から、その他の銘柄が短期トレードの出来高でトップになるケースがあります。下のチャートは、2020年3月末までの1カ月間で世界的に最も出来高が多かった銘柄を示したものです。

出来高トップのギリシャのタンカー船会社トップ・シップスは、資産売却による資金流入により負債が大幅に縮小したことで人気が高まりました。新型コロナウイルスのパンデミックを背景に、清掃用品や紙製品などの需要が急増し輸送量が増加したことも株価を押し上げた要因と考えられます。
また、3月に出来高が並外れて多かった企業としてクルーズ船企業のカーニバル社が挙げられます。同社は新型コロナウイルスの感染拡大で運航停止が続き、配当金の支払いや自社株買いを中止したことで多くの売り注文が入りました。
トップ3にはフォードが入っています。同社の出来高は新型コロナウイルスの影響で生産と需要が激減したので7年ぶりの高水準となりましたが、やはりほとんどがショートでした。
これらの事例から銘柄選択においてどのような教訓を得ることができるでしょうか?大規模なファンダメンタルズリスクが発生すると株式はさまざまな形で影響を受けます。異なるセクターを調べることで、他のセクターが進む方向とは反対に動くような勢いのある産業に光を当てることができるかもしれません。だからこそ、各資料を注意深く確認し、真剣にポートフォリオの目標に対して意識を集中することが求められます。
株の銘柄の選び方でよくある質問(FAQ)
購入する銘柄はどのように決めるのですか?
購入銘柄を決める際には、業界知識、企業の財務状況、タイミング、マーケット全体のファンダメンタルズ、場合によってはテクニカルパターンなど多面的な要素から決定します。このような要素のすべて、または一部を組み合わせることで、最も自分に合った適切なアプローチを取ることができます。
株式はいつ購入すればいいですか?
タイミングこそがすべてですが、売られ過ぎた株の全てがすぐに購入できるわけではありません。売られた理由は様々だからです。対象業界や業界内における企業の成長可能性、成長に影響を与えるであろうファンダメンタルズ要因を考慮して、その投資やトレードがポートフォリオの目標に適しているかを検討するとよいでしょう。
株を1株だけ購入する価値はありますか?
それは銘柄や状況によるでしょう。個々の株価は異なるため、バークシャー・ハサウェイの1株とフェイスブックの1株では投資家の財務ポジションに与える影響が大きく異なります。
ウォーレン・バフェットはどのような銘柄を保有していますか?
バークシャー・ハサウェイ、つまりウォーレン・バフェットの主要な投資先は、バンク・オブ・アメリカやウェルズ・ファーゴなどの金融機関、コカ・コーラやクラフト・ハインツなどの消費者向けブランド、アップルやシリウスなどのテクノロジー巨大企業です。
どの程度の銘柄数を持つべきですか?
それはプランや選択する企業によって大きく異なります。全体としては、リスクを効果的に管理するためにグロース銘柄とディフェンシブ銘柄を組み合わせた分散ポートフォリオを目指すことをおすすめします。
主要な株式の種類、株価指数の背景、株式マーケットの重要性などトレードの詳細については初心者のための株式トレードガイドをご覧ください。