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CAC40の構成銘柄を一覧で紹介!注目の上位10社はプロが詳しく解説!

CAC40の構成銘柄を一覧で紹介!注目の上位10社はプロが詳しく解説!

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フランス40(CAC40、CAC40指数)は、1987年12月に運用が開始された、フランス経済で最も影響力のある株価指数です。CACは一般的に、「シーエーシー」または「カック」と読まれます。

フランス40は、ユーロネクスト・パリに上場しているフランス企業の上位40銘柄で構成されています。さらに、ユーロネクスト・パリは、フランスの代表的な証券取引所であり、時価総額ではロンドン証券取引所に次ぐ欧州第2位の規模を誇ります。

そのため、フランス40は世界第5位の経済大国であるフランスや、ヨーロッパ大陸全体のパフォーマンスのバロメーターとして、最初に考慮すべき株価指数と言えるものになっているのです。

フランス40(CAC40)の歴史

タイムライン  自動的に生成された説明

フランス40(CAC40)は、米国株式市場でいうところのダウ平均と同じような役割を持つ株価指数です。詳細は後ほどご説明いたしますが、フランス40は時価総額が上位の代表的なフランス企業を選定して、その構成銘柄としています。そして、CAC 40の呼称は、19世紀初頭にパリ証券取引所を初めて開設・運営した「Compagnie des Agents de Change(CAC、旧証券取引所公認仲介業者組合)」に由来するものです。

ところで、CACが取り扱った金融取引の歴史は、事実上かなり古く、その取引の記録は16世紀にまでさかのぼることができます。そして、1988年1月に可決された証券市場改革法によってCACが解散するまで、正式に認可されたブローカーは何世紀にもわたってパリ証券取引所で活動していました。

CACは、パリ証券取引所の監督・運営をおこなう「Societe des Bourses Francaises(SBF、フランス証券取引所協会)」の設立とともに、その役割を終えました。その後の2000年秋には、SBFが、代表的な欧州の証券取引所であるアムステルダム証券取引所、ブリュッセル証券取引所、リスボン証券取引所と合併したことで、ユーロネクストが誕生しました。

とはいえ、フランスの金融取引史におけるCACの伝統は、CAC40(フランス40)の呼称を採用した新しい国別指数という形で存続することになりました。また、フランス40は、時価総額加重平均型株価指数であり、その指数値は、フランス40を構成する個別銘柄の値動きに影響されます。つまり、構成銘柄の中で時価総額が最も大きいものが、指数全体に最も影響力があることになります。このことは、FTSE 100やS&P 500といった他の代表的な株価指数にもあてはまります。

ユーロネクストのフランス40を構成するフランスの銘柄は、指数運営委員会が四半期ごとに決定しています。さらに、フランス40の構成銘柄は、科学委員会がユーロネクスト・パリでの総合的な株価パフォーマンスを3ケ月ごとに検討し、順位付けしています。各銘柄は、時価総額と過去12ケ月間の出来高にもとづいた順位が付けられます。そして、科学委員会は、ユーロネクストのフランス40に組み入れる上位40銘柄を厳選します。また、フランス40は、構成する企業のほとんどがフランスを拠点に活動しているため、フランス企業のパフォーマンスの正確なベンチマークといえます。

興味深いことに、ジャック・シラク元フランス大統領は、2010年の演説で、フランス40の構成銘柄のほぼ半分(45%)は、海外投資家が保有していると発言しました。これは、欧州のどの主要な株価指数よりも高い比率です。そして、このことは、こうしたフランス企業の多くが多国籍企業であり、国内市場のみに焦点を当てて活動しているわけではないことを示しています。

フランス40(CAC40)の構成銘柄を一覧で紹介

2023年2月時点での、フランス40の構成銘柄は以下の通りです。ハイファッション・ブランドのエルメスなど日本で有名な企業も多く、フランス40は私達がなじみやすい株価指数であると言えるでしょう。

エア・リキードエアバス・グループアルストムアルセロール・ミッタルアクサ
BNPパリバブイグキャップジェミニカルフールクレディ・アグリコル
ダノンダッソー・システムズエンジー

エシロールルックスオティカ

ユーロフィン・サイエンティフィック
エルメス・インターナショナルケリングルグランロレアルLVMH
ミシュランオランジュペルノ・リカールピュブリシス・グループルノー
サフランサンゴバンサノフィシュナイダーエレクトリックソシエテ ジェネラル
ステランティスSTマイクロエレクトロニクステレパフォーマンスタレストタル
ウニベイル・ロダムコ・ウェストフィールドヴェオリア・アンビロンヌマンヴァンシヴィヴェンディワールドライン

ユーロ・ストックス50を構成する銘柄(フランス企業)

ユーロ・ストックス50を構成する銘柄(フランス企業)には2023年3月現在、エア・リキードやエアバス、アクサ、BNPパリバ、ダノン、エルメス・インターナショナル、ケリング、ロレアル、LVMH、サノフィ、トタルなどがあります。

フランス40(CAC40)の構成銘柄上位10社を解説

ここでは、本稿執筆時点でフランス40を構成する代表的な上場企業や業種についてご紹介いたします。多国籍な性格を有するフランス40が、金融取引においてどのようなメリットがあるかを理解するのにお役立てください。

LVMH(EPA:MC)

時価総額:2,289億ドル(2020年8月時点)

年間収益:536.5億ユーロ(2019年12月時点)

LVMHとは、ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー(Louis Vuitton Moet Hennessy)の略称です。ファッション、化粧品、高級ワイン、蒸留酒など、あらゆる分野の高級品を専門に取り扱っています。LVMHは、本社をパリに置いていますが、世界中に多数の子会社を持ち、合計75の有名ブランドを運営しています。こうした子会社の全てが、前述の年間収益に貢献しています。

ロレアル(EPA:OR)

時価総額:1,807億ドル(2020年8月時点)

年間収益:298.7億ユーロ(2019年12月時点)

ロレアルは、フランス40の主要な構成銘柄です。工業都市であるクリシーに本社を置き、1世紀以上にわたり、世界で最も影響力のある化粧品会社としてビジネスを展開してきました。スキンケア、ヘアケア、香水を専門に扱う従業員数は88,000名を超える規模であり、メイベリン、ガルニエ、ランコムなどの子会社は、世界のあらゆる地域でその名をよく知られています。

トタルエナジーズ(LON:TTA)

時価総額:1,003億ドル(2020年8月時点)

年間収益:1,763億ユーロ(2019年12月時点)

トタルエナジーズは、第1次世界大戦後の1924年3月に、「Compagnie Francaise des Petroles(CFP)」(英語では「French Petroleum Company」)の社名で設立されました。その後、1985年に社名をトタルに変更し、当初はフランス国内に特化した石油会社として活動しましたが、後に、複数のベンチャー企業の経営権を取得して、現在では世界7大石油会社の一つとして知られています。

サノフィ(EPA:SAN)

時価総額:1,280億ドル(2020年8月時点)

年間収益:376億ユーロ(2019年12月時点)

当初の有限責任会社としてのサノフィは、1973年に設立されました。2004年にアベンティスと合併したにもかかわらず、処方薬と市販薬の両方における、製薬の研究開発の分野で、トップの座に君臨し続けています。さらに、2021年には、緊急用として承認される可能性のあるCOVID-19(新型コロナウイルス)ワクチンの開発にも取り組みました。

エアバス(EPA:AIR)

時価総額:638億ドル(2020年8月時点)

年間収益:704億ユーロ(2019年12月時点)

エアバスは本社をフランスのトゥールーズに置く、世界最大の旅客機メーカーです。そのことを考慮すると、エアバスがフランス40の構成銘柄に採用されたのは当然のことと言えるでしょう。また、エアバスの中核事業である民間航空機の製造は、フランス法人エアバス社の傘下でおこなわれている事業です。エアバスは、フランス40の構成銘柄であるだけでなく、ドイツやスペインの株式市場にも上場しています。

ケリング(EPA:KER)

時価総額:731億ドル(2020年8月時点)

年間収益:159億ユーロ(2019年12月時点)

ケリングは、フランソワ・ピノーが発案した高級小売業者で、ここ数十年で素晴らしい成長を遂げました。そうした中、グッチやイヴ・サンローランをはじめとするヨーロッパ最大級の小売ブランドの経営権を取得しています。現在のケリングは、高級品だけでなく、サステナビリティにも重点を置いて活動しています。2012年には中国ブランドのキーリンを買収し、2014年には英国ブランドのクリストファーケインを買収するなど、世界規模でブランドの買収を積極的に進めています。

エルメス・アンテルナショナル(EPA:RMS)

時価総額:862億ドル(2020年8月時点)

年間収益:68.8億ユーロ(2019年12月時点)

フランスが生んだ最も尊敬されるハイファッション・ブランドの一つであるエルメスは、ティエリー・エルメスによって1837年に設立されました。フォーブス誌による地球上で最も価値のあるブランドのランキングでは、2019年に33位にランクインしています。とはいえ、エルメスがフランスを代表するファッションブランドのジャン=ポール・ゴルチエの株式の35%を保有していることを考えれば、このランキングも驚くべきことではないでしょう。

BNPパリバ(EPA:BNP)

時価総額:520.6億ドル(2020年8月時点)

年間収益:550億ユーロ(2019年12月時点)

グローバル企業であるBNPパリバは、ユーロ圏で最大規模を誇るフランスの銀行グループです。そして、クレディ・アグリコル、ソシエテ・ジェネラルと並び、多国籍に事業を展開する3つのフランス系銀行のうちの1つです。現在は世界72カ国で事業を展開し、総資産では世界第8位にランクインしています。さらに、ユーロネクスト・パリの上場企業であり、ユーロストック50とフランス40の構成銘柄に採用されています。

エア・リキード(EPA:AI)

時価総額:768億ドル(2020年8月時点)

年間収益:219億ユーロ(2019年12月時点)

産業ガス大手のエア・リキードは、ジョルジュ・クロードの技術革新により、20世紀初頭に創業しました。現在も本社はパリに置かれていますが、日本、米国、中国、アラブ首長国連邦など、世界各地で事業部門を大規模に展開しています。現在、年間収益では世界第2位の産業ガスサプライヤーです。

アクサ(EPA:CS)

時価総額:483.9億ドル(2020年8月時点)

年間収益:1,249億ユーロ(2019年12月時点)

200年以上前に設立されたこの金融サービス会社は、コンパニ・パリジェンヌ・ド・ガランティ、ドゥルー・グループ、ジュ・エキュイタブルなど、複数の買収を経て、この50年間で著しい成長を遂げました。そして、1999年には社名をアクサに変更しています。2010年頃には、財務の安定性につながる企業統治が評価されて、世界中で最も影響力のある多国籍企業の一つとして知られていました。

前述した企業の多くは、フランス経済、欧州経済、そして世界経済に対する重要性や価値の観点から、フランス40の運用当初からその構成銘柄に採用されてきました。もちろん、これらの企業やフランス40にとって、情勢が常に順風満帆だったわけではありません。前述の企業は、事業活動の大部分をフランス国外で展開しているため、往々にして、ヨーロッパ大陸や世界各地の経済、公衆衛生上の危機、政治的逆風に、大きく影響されます。

以下、フランス40がその30年を超える歴史の中で大きな影響を受けた要因について解説します。

フランス40(CAC40)は国内外の景気に左右される

フランス経済や世界経済が順調なときは、フランス40も好調に推移します。実際に、フランス40が史上最高値を記録したのは、2000年9月のITバブル(ドットコム・バブル)の時期です。ITバブルは、インターネット技術の急速な普及を受けて、投資家がインターネット関連企業に莫大な資金を投下したことで発生しました。ユーロネクスト・パリに上場している多国籍企業の上位40社のうちの多くが、米国の「シリコンバレー」の新興企業とともに、オンラインを活用した事業も積極的に展開するようになり、フランス40の値動きもナスダック総合株価指数のような他の代表的な株価指数に追随するようなものとなりました。

また、フランス40が欧州中央銀行(ECB)の政策に特に影響を受けるということにも、注目すべきでしょう。ECBは、ユーロ圏全体の金融政策を決定しているため、イングランド銀行のような他の中央銀行とは異なる性質があります。その結果、ユーロ高あるいはユーロ安がフランス40の価値を下支えすることもあれば、弱めることもあります。他の代表的な通貨ペアに対してユーロの価値が上がり、競争力があるときは、ユーロ圏外からより安く輸入することができるため、フランス40を構成する多国籍企業にとっては追い風となります。これとは逆に、ユーロ安はフランスやユーロ圏内から、諸外国への輸出品の競争力を高めるのです。

政治の激変によるボラティリティの高まりに注意

金融マーケットや多国籍企業は、安定性を好む傾向があります。そして、多くの場合、安定性が株価の上昇に重要な役割を果たします。そのため、政情が不安定な時期や、政権が大きく代わる可能性があるような時期は、フランス40のような株価指数の値動きが、不確実でボラティリティの高いものになるのは当然のことでしょう。

多くの場合、政治の激変にはイデオロギーの顕著な変化がともないます。つまり、政治が激変すると、ある政党の財政政策や金融政策が、他の政党が掲げる全く正反対のイデオロギーにもとづいた政策に取って代わられてしまうということです。そして、こうした政情がフランス40に多大な影響を与えた顕著な例として、エマニュエル・マクロンとマリーヌ・ルペンの一騎打ちとなった2017年のフランス大統領選が挙げられます。極右政党のルペン候補が、フランスの次期大統領に就任する可能性が十分あるということを金融マーケットが受け入れるのには、時間がかかりました。そして、ルペン候補の人気が高まるにつれ、フランス40は、不安定な値動きとパフォーマンスの低さが目立つようになり、ドイツのDAX指数を凌ぐほど変動しました。

それというのも、ルペン候補の政治的立場は、長期的にフランスをEUから離脱させ、フランス経済に対し、民族主義にもとづく政策を実施するというものだったからです。このシナリオでは、フランスがEUから離脱し、他のEU諸国との間に新たな貿易協定が結ばれ、フランス40を構成する多国籍企業は、この新たな貿易協定にもとづいた官僚主義的な体制の下で活動しなければならなくなり、マーケットが暴落するという懸念がありました。しかし、最終的にはエマニュエル・マクロン氏が勝者となり、フランス40は再び安定性を取り戻しました。

予想外の危機がフランス40(CAC40)に及ぼす影響

フランス40の歴史上、最初の国際規模の危機は、間違いなく2008年の世界金融危機でしょう。さかのぼること1929年、米国のウォール街で大暴落が発生し、その余波が北米全土を襲ったときは、パリ証券取引所がそれほど影響を受けることはありませんでした。このことは、2つの株式市場が、おおよそ100年前にはそれぞれ独立して運営されていた状況を浮き彫りにしています。しかし、時計の針を2008年に進めると、フランスの多国籍企業が台頭する中でマーケット同志の統合は劇的に進み、フランス40もリーマン・ショックの余波の影響を大きく受けることとなりました。

また、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが、フランス40に与えた影響についても触れておくべきでしょう。実際、フランス40は、フランスがコロナ対策として行動制限をともなうロックダウンに踏み切った最初の数週間で、2008年9月のリーマン・ショック後の最初の値下がり幅を超えるほど下がりました。ただ、フランス40の構成銘柄の多くが利益予想や見通しを大幅に下方修正したため、フランス40が暴落したのは予想の範囲内でした。

新型コロナウイルス感染症の大流行は、燃料や原油の世界的需給を逼迫させた近年のエネルギー危機の要因にもなりました。ロックダウンにより製造業は一時停止に追い込まれ、航空旅客の世界的な減少も航空産業の業績に対する信頼感をさらに低下させました。そして、石油価格やガス価格の急落で、フランス40の構成銘柄の中でも時価総額が最大級のトタル社も打撃を受けました。このことから、特定の産業に影響を及ぼす世界的危機が、フランス40の相場や、ひいてはフランス40の将来の相場にも影響を及ぼすことは容易に想像できます。

外的要因のフランス40(CAC40)への影響力

ユーロネクストのフランス40が影響を受けやすい3つの主な外的要因のうち、長期的に悪影響を受ける可能性が最も高いものはどれでしょうか?ここでは、それぞれの外的要因を、フランス40に対する影響力が最も小さいものから順にご紹介いたします。

1. 政治の激変(最も小さい影響力)

フランス経済の舵取りをどのようにするのかは、フランス大統領選を前にした最大の争点の一つです。フランス40を構成するフランスの代表的な多国籍企業への投資家たちが、次の投資先を決めるべく、各候補者の政治的課題に注目していることは、疑う余地がないでしょう。そして、多くの場合、こうした選挙結果が、フランス40のような株価指数の見通しを左右するターニングポイントになります。

マリーヌ・ルペンという極右政党の民族主義的な大統領が誕生する可能性が、フランス40を構成する多国籍企業にどのような不確実性をもたらすかについては、前述した通りですが、2017年5月の大統領選におけるマクロン氏の勝利はどのように影響したのでしょうか。

2017年の大統領選で第1回目の投票がおこなわれる前、影響力のある世論調査会社は、中道派のエマニュエル・マクロン候補が勝利する可能性が極めて高いと分析していました。これは、EU懐疑派のマリーヌ・ルペン候補とジャン=リュック・メランション候補が、全国的な支持を集めているという数週間にわたる報道を受けてのものでした。金融マーケットが最も恐れていたシナリオは、5月7日がルペン候補とメランション候補の決選投票となり、マーケットでフランスの銀行株や国債が急落するというものでした。

マクロン氏と、国民戦線(現:国民連合)のマリーヌ・ルペン党首との決選投票がおこなわれた2週間で、フランス40の相場は6%急騰し、過去9年間での最高値を記録します。そして、マクロン氏勝利の当日も1ポイント上昇しました。こうした中、マクロン新大統領が、改革政策の実施を見送る公算が大きいことに起因する形で、フランス40を取り巻く好況は長くは続かず、フランス株の急伸は頭打ちとなったのです。

フランス40は、米国大統領選でのジョー・バイデン氏勝利のニュースや、ファイザー社製ワクチンに関するポジティブなニュースを受けて、11月3日~4日に2.4%上昇しました。そして、フランスの多国籍企業がアメリカ本土で事業を展開していることもあり、米国での中道左派の新政権による新型コロナウイルス感染症への取り組みが、これらの企業の巻き返しには追い風となりました。その一方で、フランス40の上昇は、民主党による一連の税制改革の完全実施を妨げている議会の行き詰まりによる部分もあります。

2. 国内外の予想外の危機

新型コロナウイルスのパンデミックは、過去100年で最大級となる世界規模の難題でした。2020年、感染症対策として不可欠となったロックダウンが不況を引き起こす事態は避けられないものとなりました。OFCE(フランス経済研究所)によると、フランスだけでも、最初の全国的なロックダウンによってGDPが32%も縮小しています。

また、ユーロネクストのフランス40の高値は、2020年2月が6,111でした。その一ケ月後、マクロン大統領が全国的なロックダウンを実施せざるを得なくなった時には、フランスの上位40社は、企業価値の約39%を喪失していました。

2020年3月12日、パリ証券取引所は566ポイント下落し、史上最大の暴落を記録します。実際、フランス40は当初、2008年の世界金融危機の火付け役となったリーマン・ブラザーズが破綻した時よりも、急激に下がりました。コロナによるフランス40ランキングへの短期的な影響は、2008年の世界金融危機の時よりも深刻なものでしたが、現実的には銀行破綻というよりも、公衆衛生上の危機であると同時に経済危機と言えるものでした。

OFCEのデータによると、フランス40の構成企業の2021年の利益予想は、2020年2月~5月の間に13.4%縮小しています。こうした中、フランス40は一時39%も下落し、マーケットが利益予想の縮小に過剰に反応する展開となりました。当時、新型コロナウイルスはまだ新しい感染症で、ワクチンの開発も遠い未来のことと認識されていたのです。

さらに、トタル社の株価が1月の50ユーロから3月中旬は21ユーロにまで半値以上も下落するなど、このフランス40の下落は石油産業の暴落を含む地政学的な逆風も織り込まれたものでした。

トタル社の株価と同様に、フランス40はその後に回復の兆しが見られましたが、その主な要因には、2020年末までに効果的なワクチンの大規模接種が可能になり、2021年半ばには通常の生活に戻れるだろうという肯定的な予測が挙げられます。フランス40は、3月の安値である3,754から11月19日には5,476まで、約31%も回復しました。

3. 好景気と不況(最も大きい影響力)

フランス40は、長年にわたり、ドイツのDAXやイギリスのFTSE100など、世界中の主要な株価指数と似たような値動きが見られます。主要な株価指数は総じて、テクノロジーやオートメーションの波、さらには、本格的なインターネットの出現に支えられる形で、2000年頃には驚異的に成長しました。そうした中、1999年~2000年にかけて、ユーロネクストのフランス40は、40%を超えて上昇し、2000年7月には史上最高値の6,922を記録したのです。

インターネット・ブームを取り巻く圧倒的な好況にも関わらず、いわゆる「ITバブル」は2001年に崩壊し、米国のナスダックなどの株価指数を構成するハイテク株の多くが暴落しました。そして、インテルのような老舗の優良ハイテク企業でさえも、ITバブルの崩壊時には企業価値の約5分の4を失いました。その影響はフランス40にも及び、さらには、9.11ニューヨーク同時多発テロ事件の影響もあり、フランス40の下落は38%を超えるものとなりました。

イギリスでは、2008年の世界金融危機の際、FTSE100が31.3%下落しました。フランス40もこれと同様で、2008年には43%の下落を記録し、20年にわたる運用史上で最大の下げ幅となったのです。そして、フランス40の構成銘柄を含め、数兆ドル相当の価値が失われ、LVMH社の株価は、2008年末までに半減しました。

テキスト  自動的に生成された説明

フランス40(CAC40)に起きたイベントを年表で解説

1987年に運用が開始されたフランス40とフランス経済の全体像を捉えるために、フランス40やフランスにとって最も重要な多国籍企業のパフォーマンスに影響を与えた主な出来事を年表にまとめました。

グラフィカル ユーザー インターフェイス, グラフ, 棒グラフ  自動的に生成された説明

1999年 – オートメーションの到来でフランス40が上昇(29%上昇)

1990年代から新しいミレニアムの幕開けにかけて、機械のオートメーションと人工知能(AI)が急速に発展しました。ここで言っているのは、NASA初の火星探査ロボットのような、国家レベルの最先端技術のことではありません。

90年代後半には、オートメーションとAIが、ビジネスプロセス管理に組み込まれるようになり、フランス40を構成するフランスの代表的な多国籍企業にも、影響が出始めました。この時期に、フランス最大の自動車メーカーであるルノー傘下のロボット・オートメーション分野で活動する子会社は、コマウ社からの出資を受けています。

この出資の目的は、ルノーとフィアット・グループのシャシー(車体)や機械組立事業を更に効率化するというもので、この取引にともない、コマウ社は製造装置を生産するフィアットの子会社になっています。また、ルノーの株価は、この取引から半年以内に、65%超上昇して53ユーロを突破しました。

2000年 - ITバブル期に史上最高値を更新(12.5%上昇)

ナスダック総合株価指数など他の代表的な株価指数と同様に、フランス40も、ITバブルの全盛期だった2000年前後は極めて好調に推移しました。ナスダックとフランス40は、どちらも2000年に急騰し、フランス40は史上最高値の6,922.33をつけました。

ITバブルの絶頂期には、まだ1セントの収益も上げていない将来有望な新興企業が、新規株式公開で、多額の資金を手にすることができました。実際、一部の熱狂的な投資家の目には、赤字が出ていることこそが高成長の可能性を秘めたIT関連の新興企業の特徴として映っていたのです。

2002/03年 - ITバブル崩壊と9.11テロ事件の世界的な影響(38%下落)

残念なことに、あまりに多くのIT関連の新興企業が資金をあっという間に使い果たしたことで、株式市場にパニックが広がりました。デルやシスコをはじめとする最大手の老舗ハイテク銘柄でさえ、マーケットでは大量の「売り」注文が出されたのです。

深刻なパニックはバブルの崩壊を引き起こし、ほんの数日のうちに株式市場全体の価値の10分の1以上が失われました。そして、多くの有望なハイテク銘柄は、最終的には無価値になるまで時価総額が減少していきました。

2003年2月までに、フランス40は史上最高値の6,922.33から、たった2,754にまで急落しました。フランス40の下落は、ナスダックよりは緩やかに進みましたが、それでも深刻なものでした。

そして、この時マーケットが対処しなければならなかったのは、ITバブルの崩壊だけではありません。ニューヨークで起きた9.11テロ事件による地政学的な影響にも対応する必要があったのです。

2004-07年 - 国内投資に支えられた底堅い景気回復(42%上昇)

9.11テロ事件とITバブル崩壊による世界的な打撃からの4年間は、安定した成長の時期で、フランス40の代表的な構成銘柄は、輸出の改善とフランス経済への新たな投資に支えられて堅調に推移しました。実際、この時期の新たな投資の多くは外国人投資家からもたらされ、フランス40の約50%は海外投資家が保有していました。

2008-09年 - 世界金融危機による打撃(43%下落)

2007年夏までに、フランス40はおおむねITバブル以前の水準にまで回復しました。フランス40は6,117前後で再びピークに達しましたが、世界経済にとっての災難が数ケ月後に迫っていました。

2008年は米国のサブプライム問題が世界の隅々にまで波及し、世界金融危機が発生しました。米国以外の主要な株価指数も同時に暴落したことで、あらゆる主要な株式市場でグローバル化がますます進行していることが浮き彫りになり、フランス40も構成する銘柄に多国籍企業が増えていたため、ヨーロッパの外で発生する逆風に影響されやすくなっていました。

2013年 - フランス国内の不況にもかかわらず急騰(11%上昇)

2013年5月、フランス経済は4年ぶり2度目の景気後退に入り、2012年第4四半期から引き続き、2013年第1四半期もGDPは0.2%の縮小を記録しました。しかし、記録的な失業率と景況感の悪化にもかかわらず、フランス40は2013年において極めて好調に推移します。

これにより、フランス40がフランス経済のみならず、世界経済のより正確なバロメーターになりつつあることが示されました。ナスダックのような他の代表的な株価指数が、2013年に持続的に上昇する中、多国籍企業で構成されたフランス40もまた同様に上昇したのです。

2018年 – グローバルマーケットでボラティリティの再来(12%下落)

フランス40の年末の終値を2017年と2018年で比較すると、前年比12%の下落となります。フランス40の主要銘柄の時価総額が継続的に減少したのは、2011年以来では初めての年となりました。

そして、米国の金利上昇と、二つの経済大国の間で起こった米中貿易戦争が続いたことが主な原因となり、株式市場にボラティリティが戻りました。2018年末時点で、フランス40を構成する企業の時価総額合計の5分の2を大きく超える42.2%もの株式は、依然として海外の投資家が保有していて、その総額は5,570億ユーロに達しています。

2020年 - COVID-19パンデミックの発生で短期的な下落(39%下落)

フランスとヨーロッパ本土に新型コロナウイルスが上陸したことで、ユーロネクストのフランス40は、史上最大の下落を記録しました。フランス40は24時間で、13.7%に相当する566ポイントも下落しました。そして、ヨーロッパ大陸全土でロックダウンが実施される中、3月18日には、2月に付けた高値である6,111から39%の下落となる3,754にまで急落したのです。

タイムライン  自動的に生成された説明

フランス40の急落には、新型コロナウイルス感染症にともなう最初のロックダウン後に発生した世界的な石油危機も要因となっています。幸いなことに、複数の新型コロナウイルスワクチンの製造で、2021年には通常の生活に戻れるという前向きな見通しを受けて、フランスの多国籍企業は、より高い確実性を持って、その後の1年間の事業計画を立案することができました。2020年11月には、フランス40は3月に失った価値の約80%を回復しています。

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S&P500とは? NYダウ平均株価との違いや投資するメリット・デメリットを徹底解説
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S&P500は米国を代表する株価指数です。米国を代表する500社の株価動向を表しているので、米国株式市場全体の流れを把握するのに適しています。この記事では、S&P500の概要や構成銘柄、投資するメリット・デメリットについて解説します。
香港ハンセン指数(HSI)の取引方法は?構成銘柄と取引のヒントを解説
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香港ハンセン指数は、香港や中国の企業を取引したい投資家に適した株価指数です。ただし、取引する際には構成銘柄や影響を受ける要因について理解しておかなければなりません。この記事では、香港ハンセン指数の特徴や取引方法について解説します。
CAC40とは?構成銘柄や取引方法、価格に影響を与える4つの要因もプロが解説!
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CAC40とは、フランスの有名企業を対象にした株価指数です。フランスの経済規模は欧州全体の20%に相当し、欧州経済の行方を見極めるのにCAC40は重要です。本記事では、CAC40とは何か、構成銘柄や長期チャートを解説しています。