世界経済見通しが上方修正され、ソフトランディング期待が高まった。また、米国とイランの対立が深まり、原油の需給が引き締まるとの見方からWTI原油価格が上昇した。FOMC、OPECプラス会合を控えた原油価格の今後の見通しとは。
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世界経済見通し上方修正
IMFが世界経済見通しを改定し、2024年の世界全体の経済見通しを引き上げた。米国を中心として先進国の見通しを引き上げたほか、政府の景気対策などを背景に中国の成長見通しを引き上げた。一方、ドイツを中心に景気後退懸念が高まっているユーロ圏の景気見通しを引き下げた。
インフレ鈍化が進展する中、2023年と同程度の成長が2024年も続く可能性を示す結果となっており、世界経済のソフトランディング（軟着陸）に対する期待が高まった。
IMF世界経済見通し
資料：IMFよりDailyFXが作成。
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原油パフォーマンス
世界景気見通しの引き上げを受け、原油需要が増えるとの見方から原油価格が上昇した。
また、バイデン米大統領が、中東ヨルダンでの親イラン武装組織により米軍兵士が死亡したことを受け、報復を決定したことも、中東情勢が一段と悪化するとの懸念を強め、原油価格の上昇圧力となった。報復措置の具体的な内容は不明であるものの、バイデン大統領は、武装組織に対して武器を供給しているとされるイランに責任があると発言した。米国とイランの緊張が高まり、2023年の世界の原油供給の1～1.5％程度を占めるイラン産原油の供給減少に繋がる可能性が意識された。
また、米国政府が、ベネズエラの石油事業などに対して経済制裁を再開することも、原油価格の上昇要因となった。昨年、2024年後半の大統領選挙実施することで野党連合で合意したことで制裁が解除されていたが、マドゥロ政権が野党候補の出馬を禁止したことで制裁再開の運びとなった。
資料：Trading Viewのデータを用いてDailyFXが作成。
WTI原油価格の見通し
WTI原油価格（1バレル）は、9月28日から12月13日の値動きに基づいたフィボナッチリトレースメント38.2％水準78.2ドルの攻防が続いている。終値ベースで上方ブレイクした場合、原油価格の上昇圧力が強まる可能性がある。MACDラインはシグナルラインを上回っており、原油価格が上昇トレンドであることを示している。
FOMC（米連邦公開市場委員会）、OPECプラス会合を控え、テクニカル面で明るいシグナルが出ている。FOMCにて利下げ観測が高まった場合や、OPECプラス会合にて原油需給が引き締まるとの見方が強まった場合、原油価格が心理的節目である80ドルへ上昇することを見込む。
一方、FRBの利下げ観測が後退した場合や、原油の需給が緩むとの懸念が強まった場合、水平サポートラインである76ドルで維持されるかに注目。サポートされた場合、原油価格の地合いが強まっていることを投資家に印象付けよう。
WTI原油価格日足チャート
資料：Trading View
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著
