※2024年4月23日12時10分更新
高値警戒感から利益確定売り圧力が強まっている米ハイテク株の下落がナスダックおよびS&P500指数に影を落としている。メタ(META)、アルファベット(GOOG)、マイクロソフト(MSFT)など多くのハイテク企業が今週決算発表を控える中、米国株価指数の今後の動きを探る。
米国株式相場は週明けこそ反発したものの、ナスダック指数とS&P500種株価指数は先週金曜まで6営業日続落していた。高止まりする金利、地政学的緊張の継続、米ハイテク企業の決算を控えた不安などから売りが優勢となり、不安定な地合いが続いている。
ネットフリックス決算に失望、AI銘柄が下落
米動画配信大手ネットフリックス(NFLX)の株価は先週金曜、9.09%安の555.04ドルとなり、売りが加速した。第2四半期の収益予測が期待外れだったことと、投資家にとって重要な指標である四半期ごとの新規会員数公表を停止すると発表したことがきっかけだった。22日はこのところ急上昇していた人工知能(AI)関連銘柄に利益確定売りが出て、スーパーマイクロコンピュータ(SMCI)の株価は713.65ドルと23.14%安、エヌビディア(NVDA)の株価は762ドルと10%安と大きく下落した。
2024年第1四半期決算シーズン
今週は、2024年1-3月期(第1四半期)の決算発表が集中しており、株式市場は再び波乱含みの展開が予想される。米防衛大手ロッキード・マーチン(LMT)、ビザ(V)、テスラ(TSLA)、ボーイング(BA)、メタ・プラットフォームズ(META)、米重機械メーカーのキャタピラー(CAT)、アルファベット(GOOG)、インテル(INTC)、マイクロソフト(MSFT)、米石油大手のエクソンモービル(XOM)、シェブロン(CVX)などが決算を発表する。
GDPとPCEの発表待ち
今週注目される経済イベントとしては、25日夜(日本時間21:30)に発表される2024年第1四半期の米国内総生産(GDP)と、26日夜(日本時間21:30)発表の米個人消費支出(PCE)コア指数だ。年初に170ベーシスポイント(bp)の利下げを予想していた市場は、2024年の利下げ幅を44bpにとどめ、FRBによる最初の利下げ時期を11月に先延ばしにする方向で調整している。
インフレ動向に合わせ、市場は利下げ予想を調整
2022年9月以降、総合指数・コア指数ともにPCEインフレ率は低下傾向にある。しかし、2月のPCEコア指数は2.8%で横ばいだったものの、PCE総合指数は2.4%から2.5%に小幅上昇した。
3月のPCE総合指数は前月比0.3%上昇し、年率では2.6%上昇すると予想されている。同様に、米連邦準備制度理事会(FRB)が重視するインフレ指標であるコアPCE価格指数も前月比0.3%上昇し、年率での伸びは2.8%と見られている。
米PCE発表日時:4月26日(金) 21:30(日本時間)
PCE総合指数(年率)の推移
資料:トレーディングエコノミクス
S&P500 テクニカル分析
最近のレポートで、S&P500種株価指数(現物)のサポート5,055/5,040の重要性を強調した。このレベルをブレイクした場合は、「5,264が短期的な高値となる可能性が高く、4,800に向けてさらなる下げ幅を拡大することに注意が必要だ」と指摘した。
先週売り越しとなり、S&P500種指数は4,800に向けてさらに軟化することを見越して、22日の反発時に売り手が動くと予想している。同指数は、先週の売り越しによるテクニカル面でのダメージを帳消しにするため、5,050/5,080のレジスタンスを持続的に回復する必要がある。
S&P500 日足チャート
資料:TradingView
ナスダック テクニカル分析
先週売り越しという結果に終わり、ナスダック指数は過去7週間の上昇トレンドが平坦化し、17,750/17,700に位置するサポートの重要性に目が向けられた。同指数がこの水準を持続的にブレイクする場合は、17,000に向けてさらに下落する可能性が高い。
以前のレポートで、「ナスダックが17,750/17,700のサポートを持続的に割り込んだ場合、18,464が短期的な高値となる可能性が高く、その場合は17,000に向かってさらなる下値追いの展開となるだろう」と指摘した。
先週金曜に17,000に到達した後、短期的な底入れの兆しが見られないことから、ナスダック指数は16,000を視野に入れつつ16,500/16,300エリアを目指した弱気派の売り圧力によって一段安の動きになると予想している。先週の大幅な売り越しによるテクニカル面におけるダメージを打ち消すには、ナスダックは17,750/17,800のレジスタンスを回復する必要がある。
ナスダック 日足チャート
資料:TradingView
※2024年4月22日現在の数値。過去の実績は将来の実績を保証するものではありません。本レポートには、金融商品に関するアドバイスや金融商品の推奨は含まれておらず、またそのように受け取られることもありません。