トルコ地方選での敗北後、エルドアン大統領は現状の金融政策運営の支持を示唆したことを好感し、トルコリラが上昇。トルコでは、25日に金融政策決定会合が開催され、金融引き締めスタンスを維持できるかに注目。躍進続く通貨安が継続しているトルリラ円（TRY/JPY）の今後の見通しとは。
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【TRYJPYのターゲット】
上値：4.80円
下値：4.50円
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エルドアン大統領の改心？
トルコの地方選で、エルドアン大統領率いる公正発展党（AKP）が野党共和人民党（CHP）に敗北した。選挙の結果を受け、今後の政策運営に対する不透明感が高まった。
特に、エルドアン大統領は、高インフレ抑制のために、通常とは異なる低金利が必要との持論を掲げている。そのため、選挙の敗因の一つに高インフレに対する不満が多かったことから、中央銀行に利下げ転換を迫るとの懸念が強まった。
しかしながら、エルドアン大統領が、現在の経済・金融政策の継続を支持する方針を示唆したことを受け、金融政策を巡る不透明感が後退、トルコリラ（TRY）が上昇している。
トルコリラは、地方選挙後、対米ドルで主要通貨の中でもっとも上昇している。
資料：BloombergよりDailyFXが作成。
25日の金融政策決定会合
トルコでは、インフレ鎮静化の兆しが見えず、前年と比べた消費者物価の伸びは、70％近い。そのため、中央銀行は、利上げを実施しているものの、インフレ率と比べ政策金利の水準が低い。
トルコリラを含む為替市場の動向にとって、政策金利からインフレ率を差し引いた実質金利の水準が重要である。実質金利の高い通貨は、上昇する傾向がある。
トルコの実質金利は、依然として大幅なマイナスである。しかしながら、マイナス幅は縮小傾向であるにも関わらず、トルコリラ安が続いている背景として、今後の金融政策を巡る不透明感がトルコリラ安圧力として継続していると考えられる。
25日の金融政策決定会合では、政策金利の据え置きが見込まれているものの、今後も高い政策金利を維持する姿勢を示せるかが重要であろう。
インフレ抑制のために、中央銀行が高金利政策を取り続けるとの確信を市場参加者が得るにつれ、トルコリラ安トレンドから徐々に転換する可能性がある。
資料：Trading EconomicsよりDailyFXが作成。
トルコリラ/日本円の見通し
TRYJPYは、地方選の敗北後、上昇傾向が続いている。RSIは、50を超え、トルコリラに対するモメンタムが強気に転じたことを示唆している。
テクニカル面で明るい兆しが出ており、エルドアン大統領が現状の金融政策を早期に変更する懸念が後退した中、トルコリラ円が上昇（TRY高JPY安）することを見込む。
トルコリラ円は、レジスタンスである4.80円への上昇が視野に入る。この水準を上方ブレイクすることに成功した場合、下落トレンドからの転換を示唆する「ダブルボトム」パターンが完成し、トルコリラの弱気シグナルが一つ解消する。
ただし、トルコリラは、投資家のリスクセンチメントに対してぜい弱であることから、リスクオフの流れが強まった際には、トルコリラ円が下落する可能性がある。その場合、心理的節目である4.50円へ下落する可能性がある。
【TRYJPYのターゲット】
上値：4.80円
下値：4.50円
TRYJPY日足チャート
資料：Trading View
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著
