地方選挙の実施後、トルコリラが上昇。対米ドルで主要通貨の中でもっとも上昇。25日のトルコ中銀会合に注目が集まるが、金融政策を占う上で重要な消費者物価が公表。長年のTRY安トレンドからの転換は?トルリラ円(TRY/JPY)の今後の見通しとは。
【TRYJPYのターゲット】
上値:4.80円
下値①:4.549円
下値②:4.50円
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トルコリラの躍進
地方選でのエルドアン大統領率いる政党AKPの敗北後も、現行の金融引き締めを含む政策の現状維持を好感し、トルコリラが上昇している。
主要通貨の対米ドル相場の3日間のパフォーマンスは、トルコリラがもっとも上昇している。長年にわたって大幅なトルコリラ安が続いていることから、割安感が台頭したとの見方に伴う投機的な動きもTRY高に寄与していると思われる。
トルコリラにとって、短期的に重要なイベントとして、25日の金融政策決定会合がある。トルコ中央銀行が、インフレ抑制のために、更なる利上げ、金融引き締めも辞さないスタンスを示すかに注目である。
トルコの金融政策を占う上で重要な消費者物価指数(CPI)が公表された。
資料:BloombergよりDailyFXが作成。
インフレ高止まり
CPIの前年比の伸びは、全体(68.50%)は予想(69.1%)を下回ったものの、前月(67.07%)から加速を示した。また、基調的なインフレ圧力を示すコアCPIの前年比の伸びも、75.21%と前月から加速した。
今までのTRY安の影響や、地理的に近い中東情勢の緊迫化を受け、トルコへの物流コストが上昇している可能性などから、引き続きインフレ高止まりが見込まれる。トルコ中銀のインフレ目標5%への道のりは遠い。
年央に一段とインフレ率が一段と上昇した後、年末にかけてインフレ率が低下していく可能性があるが、目標達成に向け、中銀による金融引き締めが必須である。
資料:Trading EconomicsよりDailyFXが作成。
トルコリラ/日本円の見通し
TRYJPYの上昇(TRY高JPY安)の上昇が継続し、上昇トレンドへの反転を示唆する「ダブルボトム」パターンの完成に一歩近づいた。MACDラインもシグナルラインを上回っており、トルコリラ高地合いであることを示唆している。
テクニカル面で明るい兆しが出ており、25日の金融政策決定会合まで大きなイベントがないことから、現状のトルコリラ高円安トレンドが継続することを見込む。
トルコリラ円は、レジスタンスである4.80円への上昇を見込む。この水準を上方ブレイクした場合、「ダブルボトム」パターンが完成し、トルコリラの強気シグナルが一つ増える。
ただし、トルコリラは、投資家のリスクセンチメントに対してぜい弱であることから、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測後退や、株安などリスクオフの流れが強まった際には、トルコリラ円が下落する可能性がある。その場合、3月29日安値4.549円まで下落する可能性がある。下方ブレイクした場合、次の下値として4.50円が視野に入る。
【TRYJPYのターゲット】
上値:4.80円
下値①:4.549円
下値②:4.50円
TRYJPY日足チャート
資料:Trading View
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著