トルコ地方選が実施され、エルドアン大統領率いるAKPが敗北。選挙結果を受け、25日の金融政策決定会合への不透明感が一段と高まっている。通貨安が継続しているトルリラ円(TRY/JPY)の今後の見通しとは。
【TRYJPYのターゲット】
上値:4.80円
下値:4.50円
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トルコ、エルドアン大統領の敗北
トルコにて、統一地方選挙が実施され、エルドアン大統領が党首を務める公正発展党(AKP)は、高インフレなどを背景に、多くの都市で野党共和人民党(CHP)に敗北した。
強権的な政治手腕が目立つエルドアン大統領であるが、事実上の信任投票となった地方選の敗北は、国民が現状に不満を持っていることを改めて示す結果となった。
大統領は、国民の信任を取り戻すべく、政策の変更を実施する可能性がある。金融市場にとって、金融政策に変更が見られるかに特に注目である。
エルカン前中銀総裁が就任以降(現在はカラハン総裁)、高インフレを抑制すべく、政策金利の引き上げが実施されている。現状は、高インフレやトルコリラ安の抑制に繋がっていないものの、トルコのインフレ、TRY安を封じ込めるために必要な政策である。
一方、エルドアン大統領は、従来より低金利政策を好んでおり、今回の地方選での敗北が、高い政策金利による生活の圧迫と見なした場合、中央銀行に利下げを迫る可能性がある。
過去の中央銀行総裁は、大統領の圧力で実際に利下げを実施してきたことがあり、4月25日の金融政策決定会合に注目である。
利下げを示唆するような見通しを示した場合、大統領からの圧力を受けたとみなし、トルコリラ安が一段と進展する可能性がある。
資料:Trading EconomicsよりDailyFXが作成。
TRYの苦境
利上げが実施されているものの、トルコリラ安が継続している。年初来で、主要通貨の中でもっとも下落している。
インフレ抑制のために一段の利上げが必要と見なされていること、エルドアン大統領を中心とした政治的不透明感などが、TRYを押し下げている。
資料:BloombergよりDailyFXが作成。
大幅にTRY安が続いているものの、トルコに対する株式や債券投資は依然として低迷している。また、外貨準備が減少傾向にあることは注意が必要である。
トルコでは、エルカン前中銀総裁以前、TRY安を抑制するために外貨準備を使用していた(外貨準備の米ドルを売って、トルコリラを購入)。外貨準備が急減したため、TRY安抑制のため、エルカン前中銀総裁は、利上げ政策に転換した。
足元、外貨準備が再び減少傾向にあることは、TRY安抑制のために、利上げ政策から再度従来の外貨準備を用いた通貨安抑制策に転換した可能性を示唆している。
この傾向が続いた場合、利上げ政策から転換したことを印象付け、TRY安が一段と進展する可能性がある。
資料:BloombergよりDailyFXが作成。
トルコリラ/日本円の見通し
TRYJPYは、4.50円でサポートされている。また、RSIは、50近辺まで上昇、MACDラインがシグナルラインを上抜け、強気の「ゴールデンクロス」が示現している。
テクニカル面で明るい兆しが点灯しつつあるものの、地方選の敗北を受け、政治および金融政策に対する不透明感が一段と高まる中、TRYJPYは上下双方に動く展開を想定したい。
トルコリラ円が上昇した局面では、4.80円への上昇が視野に入る。一方、トルコリラ円が下落した局面では、引き続き4.50円でサポートされるかに注目。この水準を下方ブレイクすると、トルコリラ安圧力が一段と強まる可能性がある。
【TRYJPYのターゲット】
上値:4.80円
下値:4.50円
TRYJPY日足チャート
資料:Trading View
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著