※2023年8月2日17時06分更新
ユーロ見通し - 対米ドル・豪ドル・ニュージーランドドル
2日アジア時間のユーロ相場はやや下支えされている。格付け大手フィッチ・レーティングスが1日、長期外貨建て米国債の信用格付けを最上級の「トリプルＡ」から「ダブルＡプラス」に１段階引き下げたと発表したことを受け、わずかにユーロ買いの動きが見られる。しかし、米国との金融政策と経済成長率の差から、ユーロは少なくとも短期的には、2日午前の上昇が続くような大きな恩恵を受ける可能性は低い。
米連邦準備制度理事会（FRB）と欧州中央銀行（ECB）の両中央銀行は、さらなる引き締めに関して様子見モードにあり、相対的な観点から見ると金融政策の優位性はほとんどない。絶対的な観点からは、米国の金利上昇は明らかに際立っている。しかしながら、経済成長率の差は米国に有利であるため、ユーロ/米ドルは軟調に推移する可能性がある。米国のエコノミックサプライズ指数は2021年以来の高水準で、ユーロ圏の同指数は2020年以来の低水準となっている。
ユーロ/米ドル 週足チャート
チャート作成：マニッシュ・ジャラディ、資料：TradingView
ユーロ/米ドル：もみ合い局面続く
200週移動平均線が頑丈なレジスタンスなため、ユーロ/米ドルの最近の軟調な動きは、もう少し続く可能性がある。前回の記事で指摘したように、大局的には強気な見通しだが、短期的にはもみ合い局面が続くように思われる。2023年初頭の安値圏を含む1.0500－1.0600のエリアを割り込んだ場合のみ、より広範な上昇トレンドが脅かされるリスクにさらされる（7月27日付記事「ドル相場見通し：FRB利上げ後に下落：対ユーロ・英ポンド・円で何が起きた？」参照）。
ユーロ/豪ドル 週足チャート
チャート作成：マニッシュ・ジャラディ、資料：TradingView
ユーロ/豪ドル：幅広い強気トレンドを再確認
ユーロ/オーストラリアドルは、7月中旬の安値1.6230というかなり強いサポート付近から上昇に転じている。ただ短期的には、トレンドはせいぜい横ばいでの推移と推測される。しかし、中期的な視点に立てば、2022年後半から高値圏での上値・下値の切り上げパターンがまだ続いていることから、トレンドは上向きである。レンジの上限は4月の高値1.6800で、当面のサポートは1.6230となろう。
ユーロ/NZドル 月足チャート
チャート作成：マニッシュ・ジャラディ、資料：TradingView
ユーロ/NZドル：レンジ内のボックス相場
ここ数週間は、1.7200－1.8100のレンジ圏内での推移にとどまっており、方向感はほとんど感じられない。それでも、この不安定なレンジ相場の中で、ユーロ/ニュージーランドドルは89日移動平均線という重要なサポートを守り続けている。月足チャートでは、価格が今年、2022年の最高値1.7500を上方ブレイクしたことで、広範な強気バイアスが維持されている。
--- DailyFX.com ストラテジスト マニッシュ・ジャラディ著
ジャラディ氏に連絡するには、Twitterで @JaradiManish までお願いいたします。
