※2023年7月27日15時34分更新
ドル相場見通し:対ユーロ・英ポンド・円



米連邦準備制度理事会(FRB)が26日、大方の予想通り0.25%の利上げを決定し、さらなる引き締めの選択肢を残したが、ドルは下落した。とはいえ、直近のレンジ内にはとどまった。
パウエルFRB議長の記者会見での発言は中立的で、どちらとも言えないものだった。一方、米連邦公開市場委員会(FOMC)会合後に公表された声明は前回のものと大きくは変わらず、「追加的な引き締め政策」という文言が引き続き含まれており、若干タカ派的な傾向が強調されている。結局重要なのは、FRBが次回の会合に向けた手法として示したデータ(経済指標)に依存したアプローチである。
ドル相場にとっては、FRBのバランスの取れたトーンはほとんど手がかりにならない。米決算シーズンが好調にスタートし、中国政府による追加刺激策への期待が高まる中、リスク志向は維持されているものの、ドルにお鉢が回ってくるのは少し後になりそうだ。実際、ドルは最近発表された米雇用統計とインフレ率が引き金となって下落した分を取り戻せずにいる。米国金利がピークに近いと市場が考えている限り、安全資産であるドルへの投資意欲は低下し続けるかもしれない。一方、市場の関心は今、欧州中央銀行(ECB)の理事会(アジア時間27日夜)と日銀の政策決定会合(28日)に向いている。
ユーロ/ドル 240分足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
ユーロ/ドル:重要なサポートを上回る水準を維持
26日のユーロ/ドルは、4時間足チャート上の200期間移動平均線付近に位置する6月上旬からの上昇トレンドライン近辺にある強固なサポートを上回る水準を固持した。それでも、当面の弱気の勢いが緩和したと結論付けるのは早計で、それを確認するには24日の高値1.1150という最初のレジスタンスを上抜ける必要がある。それまでは、広範な強気局面における値固めの展開となりそうだ。前回の記事で強調したように、7月中旬の安値1.0825を下回らない限り、幅広い上昇圧力が和らぐことはないだろう。
英ポンド/ドル 240分足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
英ポンド/ドル: 強気の勢いは健在
英ポンド/ドルは、6月末からの上昇トレンドラインと6月中旬の高値1.2850を含む1.2800付近に収束したかなり力強いサポートから反発した。短期的な上昇圧力を保つためには、このサポートを上回る水準を維持することが重要である。まずは27日の高値1.2965という最初の天井を乗り越え、差し迫った下降リスクを排除する必要がある。
一方、24日の安値1.2800を割り込むと、短期的に強気圧力が弱まったことが確認され、6月末の安値1.2600に向けて下落する可能性がある。より長期的な視点では、広範な上向きバイアスが維持されるなら、今後数カ月で1.4200を目指して上昇する可能性が開かれる。
ドル/円 240分足チャート
チャート作成:マニッシュ・ジャラディ、資料:TradingView
ドル/円:急反発は一時的なもの?
ユーロ/ドルと英ポンド/ドルが直近のレンジ内で推移した一方で、ドル/円の反応は比較的ピントくるものだった。26日は、24日の安値140.75という当面のサポートを下回り、先週の上昇は本筋ではないという可能性が高まったからだ。
ドル/円は現在、139.50-140.00の重要な収束サポートエリアを試している。これを下方ブレイクした場合、240分足チャート上の200期間移動平均線を上抜けた先週21日の急反発が偽りの上昇であったことが確認されるだろう。上値では、21日の高値142.00が重要なレジスタンスとして意識されている。
--- DailyFX.com ストラテジスト マニッシュ・ジャラディ著
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