原油先物相場 - トーキングポイント
原油先物相場は、米国の原油在庫が予想以上に減少したことを受けて、今週初めから高値圏での高値・安値の切り上げが続いている。8月のオープニングレンジを上抜ければ、今後数日間にさらに上げ幅を拡大する可能性がある。
原油先物、8月オープニングレンジ突破なら、さらに上げ幅拡大へ
原油先物相場は、2月の安値（86.55ドル）を下回り、その後は年初来安値（74.27ドル）を試す展開となりそうだったが、米国の原油在庫が2週連続で減少していることを受け、月間安値（85.73ドル）から反発する動きとなりそうである。
8月19日までの1週間における米国の原油在庫は前週比328万2,000バレル減と、予想（同93万3,000バレルの減少）以上に減少した。石油輸出国機構（OPEC）は「2022年9月に原油を日量10万バレル増産する」計画だが、需要が堅調なことから、原油先物価格のさらなる回復につながる可能性がある。
直近の月例報告書（MOMR）でOPECは、「2022年における原油の世界需要は日量310万バレルと予測され、先月の予想より30万バレル減少した」ことを明らかにしているが、米国の在庫減少に対応するかどうかはまだわからない。OPECプラスは年内、増産の方向と見られていることから、次回9月5日の閣僚会議を前に、原油先物相場は逆風にさらされるかもしれない。
しかし、米国エネルギー情報局（EIA）が発表した週間統計をよく見ると、米国の原油生産量は2週連続で減少している。8月12日までの1週間は日量1,210万バレルだったのに対し、同月19日までの1週間は日量1,200万バレルとなった。旺盛な需要と供給制限が示唆されている現在の市場環境を鑑みると、原油先物相場はさらに上昇する可能性がある。
月初高値（92.42ドル）を試す展開となりそうな最近の値動きを見ると、原油先物相場はさらに反発する可能性が高まっているが、右肩下がりの50日SMA（98.32ドル）に沿う動きになった場合、月初安値（85.73ドル）からの反発は目先の調整に終わるかもしれない。
原油先物 日足チャート
資料：Trading View
- 原油先物相場は、以前、上値抵抗線として機能した2021年10月高値（85.41ドル）付近の手前でサポートが維持された後、8月のオープニングレンジを突破する展開となりそうだが、月間高値（92.42ドル）を視野に入れるためには、93.50ドル（リトレースメント61.8%）から95.30ドル（エクスパンション23.6%）付近にフィボナッチが重なるエリアを終値で上回る必要がある。
- 次の注目エリアは100.20ドル（エクスパンション38.2%）付近だが、原油先物価格が50日SMA（98.32ドル）の下降線に追随するようであれば、月間安値（85.73ドル）からの反発は目先調整となる可能性がある。
- 93.50ドル（リトレースメント61.8%）から95.30ドル（エクスパンション23.6%）付近に重なるエリアを終値で上抜ける勢いがなければ、最近続いている高値圏での高値・安値切り上げの動きが弱まるだろう。90.60ドル（エクスパンション100%）から91.60ドル（エクスパンション100%）のゾーンを下抜けると、88.10ドル（エクスパンション23.6%）が再び意識されるようになるだろう。
--- DailyFX.com 為替ストラテジスト デイビッド・ソン著
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