原油先物相場 - トーキングポイント
原油先物相場は、米国の原油在庫が705万6,000バレル減と、予想以上に減少したことを受け、4営業日ぶりに反発した。前週から続いていた安値圏での高値・安値の切り下げは一段落しており、今後数日間でさらに上げ幅を拡大する可能性がある。
米原油在庫の減少を受け、3日続落していた原油先物相場は下げ一服
米国エネルギー情報局（EIA）が発表した週間石油在庫統計で、先週の原油在庫が705万6,000バレル減少したことで需給見通しが改善されたとの見方が広がり、原油先物が買われたようだ。この動きが、「2022年9月の産油量について日量10万バレル増産する計画 」としている石油輸出国機構（OPEC）の判断に影響を与えるかどうかはまだわからない。
最新の月例報告書（MOMR）でOPECは、「GDP成長率の伸び鈍化への思惑から先物市場のボラティリティが上昇する状況が続いている」と警告しており、旺盛な需要が確認されれば、年内いっぱい増産に動くかもしれない。MOMRにより「2022年における世界の原油需要の増加幅は日量310万バレルとなり、先月の前回予想から30万バレル減る」との見通しが明らかになっており、9月5日に開催される次回の閣僚級会合を前に、原油先物相場は逆風にさらされるかもしれない。
「原油の総需要は平均で日量1億3万バレルになると予測」されている。7月時点での予想は日量1億29万バレルだった。「2023年の見通しについては日量270万バレルの増産と、前回予想と同じ」で、総需要は日量1億272万バレルに届くと予想されている。
この予測は、2023年にエネルギー消費が持ち直し、OPECが増産を続けることを示唆しているが、米国の生産量が5週間ぶりに縮小しており、供給不足の兆しが見えれば、原油先物相場を押し上げる可能性もある。
米国エネルギー情報局（EIA）の統計によると、8月12日までの1週間の原油生産量は、前週の1,220万バレルから1,210万バレルに縮小している。旺盛な需要の兆候と供給不足の兆しという足元の市況を鑑みると、原油先物相場は短期的に反発するかもしれない。
さらに原油先物相場は、先週から続いていた安値圏での高値・安値の切り下げが一服しており、今後数日間でさらに力強い回復が見られる可能性がある。ただ、2月安値（86.55ドル）を維持できなければ、月間安値（85.73ドル）からの反発は、目先の調整に終わる可能性も否めない。
原油先物相場 日足チャート
資料：Trading View
- 原油先物相場は、先週から持ち越された安値圏での高値・安値の切り下げが一服すると、以前、レジスタンスとして機能したゾーンである2021年10月高値（85.41ドル）付近を下値サポートとして探る展開となっている。88.10ドル（エクスパンション23.6%）を上回る終値を付ければ、90.60ドル（同100%）から91.60ドル（同100%）のエリアへ向かって上昇する余地が出てくるだろう
- 次の注目エリアは、93.50ドル（リトレースメント61.8%）から95.30ドル（エクスパンション23.6%）付近で、月間高値（98.65ドル）を上回る終値を付ければ、100.20ドル（エクスパンション38.2%）付近のエリアまで上昇する可能性がある
- しかし、50日単純移動平均線（SMA、101.69ドル）が下降していることもあり、月間安値（85.73ドル）からの反発は目先の調整売りに転じるかもしれない。88.10ドル（エクスパンション23.6％）を上回る水準を維持するだけの勢いがなければ、2021年10月高値（85.41ドル）を再び目指して下落する展開となり得る
--- DailyFX.com 為替ストラテジスト デイビッド・ソン著
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