※2024年4月3日11時26分更新
ウクライナがロシアの石油製油所を撃したのに加え、イスラエルがイラン大使館を標的に攻撃した。中東情勢の緊迫化を支えに、欧米時間2日の原油価格は上昇し、一時年初来高値を付けた。
WTI原油、ブレント原油のニュースと分析
- ウクライナによる攻撃はロシアの石油製油所を直撃、イスラエルはシリアのイラン大使館を標的に
- OPECの合同閣僚監視委員会での方針変更はなさそうだ
- 原油価格は上昇、売られ過ぎの領域でサポート水準を試す
- ドローンによる空爆がロシアの主要製油所を直撃、イスラエルはシリアのイラン大使館を攻撃
シリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館周辺が1日空爆され、イランの革命防衛隊に所属する司令官2人と軍事顧問5人が殺害されたことを受け、イランのライン大統領は2日、イスラエルに対して報復すると表明した。イスラエルとハマスのガザでの紛争は5カ月以上続いており、この攻撃により、中東での紛争が拡大するとの懸念が広がっている。
さらにウクライナが2日、ロシアの主な資金源となっている国内最大級の製油所を無人機(ドローン)で攻撃した。この攻撃は対ウクライナ戦争の前線から1,300キロ離れた場所で行われ、大きな損害は与えていないと言われている。ウクライナは、ロシアの対ウクライナ戦争の主な資金源を断つため、ロシアの様々な製油所を標的にしている。
OPEC、生産量変更の可能性は低い
石油輸出国機構(OPEC)は3日、オンラインで合同閣僚監視委員会(JMMC)を開催する予定だが、ロイターの引用による多数の情報筋によると、生産量に変更はなさそうだという。
サウジアラビアとロシアを中心とするOPECプラスの加盟国は先月会合を開き、原油市場を支えるため、日量220万バレルの自主的な減産を維持することを決定している。
ウクライナの無人機がロシアの主要製油所の1つを攻撃した後、原油価格は90ドルを試す展開となっている。
原油市場は、需要と供給のような基本的な要因に大きく依存しています。下記の無料ガイドを入手し、このユニークな市場について石油トレーダーが他に知っておくべきことを抑えましょう。
原油価格は上昇、売られ過ぎの領域でサポートレベルを試す
ブレント原油価格は欧州時間2日、85ドルをサポートとして4日続伸した。一時は昨年10月以来となる89ドルの大台に乗せた。上昇中のレジスタンスラインが水平線(オレンジ色で表示)と重なっている点は興味深い。しかし、原油相場は買われ過ぎの領域まであと一歩のところに迫っており、今後上値が重くなる可能性がある。この日の値動きは89ドルの大台に乗せたあと間もなく、下げに転じた。
ブレント原油 日足チャート
資料:TradingView、チャート作成:リチャード・スノー
WTI原油価格も一時、昨年10月以来の高値を付けた。長期的なレジスタンスである85.90ドル/86.00ドルの下に位置する上昇中のレジスタンスを試している。RSI(相対力指数)では売られ過ぎの領域まであと少しと見受けられる中、サポートは79.77ドルに戻ってきている。
WTI原油 日足チャート
資料:TradingView、チャート作成:リチャード・スノー
--- DailyFX.com リチャード・スノー著
スノー氏に連絡するには、X(旧Twitter)で @RichardSnowFX までお願いいたします。
最新記事や学習コンテンツ、経済指標など、トレードに役立つ情報をX(@DailyFXJapan)やYouTubeは(デイリーFX公式チャンネル)でも配信中。今すぐチェック!