豪ドル相場は長い下降トレンドが弱まる見通しだ。本記事では、2024年第2四半期に向けた豪ドル/米ドルや豪ドル/円の予測を、ストラテジストのデビッド・コトルが解説する。
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豪ドル/米ドルの長い下降トレンドがついに弱まる可能性
豪ドルはここ数年、強大な米ドルに対して惨めな状況に耐えてきた。今のところ、2024年に入っても弱さは続いている。
しかし、豪ドル強気派にとってはこの先、何か良いニュースが待っているかもしれない。ただ、その多くはオーストラリア経済からの素晴らしいニュースからではなく、「米ドル安」ストーリーからもたらされる可能性が高い。
米国の金利上昇と広範なリスク回避の動きに伴い、米ドルが「安全資産」となったことが、すべて豪ドルに不利に働いた。オーストラリア経済は、欧米に比べると困難な時期でもむしろよく保たれているのだが、豪ドル/米ドルのチャートには全くそれが反映されていない。
しかし、新たな四半期を迎えるにあたり、米連邦準備制度理事会（FRB）は今年中に利下げをすることになると確信している。このため、米ドルは予想通りの打撃を受け、豪ドルのような景気動向に敏感に反応するリスク資産も少し持ち直した。
オーストラリアの借入コストは、インフレに対抗していたピーク時のままである。オーストラリア準備銀行（RBA、中央銀行）は次の一手として利下げに動くかもしれないが、インフレ率が目標範囲に戻るかどうかをRBAが確信できるかどうかが重要だ。
その確信が得られるのは、しばらく先のことだろう。オーストラリアの直近のインフレ率は年率換算で4.1％の伸びを示した。これは2022年のピークの7.8％を大幅に下回るが、それでもRBAの2－3％という目標を大きく上回っている。そのため、オーストラリアの金利が据え置かれる一方で、米国の金利が下がるという観測が強まっており、これがある程度豪ドルの支えとなるだろう。
また、オーストラリアと主要貿易相手国である中国との関係も、いくらか雪解けの兆しを見せている。しかし、中国が嫌っている米英との防衛協定「AUKUS」にオーストラリアが参加していることもあり、この新たな友好関係には限界があるだろう。
大幅な豪ドル上昇は待つ必要も
それでも今後は、米ドル安の見通しとリスクオフの緩和が豪ドルを支えるはずだ。しかし、FRBの利下げが予想される今年後半になるまで、その効果が完全に現れることはないだろう。
オーストラリアの銀行の大半は、2024年末までに豪ドル/米ドルが0.70を超えると予想しており、米国のインフレ率が低下してFRBが想定通りに利下げをおこなえば、豪ドルは安定し、緩やかながらも上昇に転じるかもしれない。
しかし、この見方には明らかなリスクがある。ウクライナおよびガザでの紛争は、たとえ他の火種が発火しなかったとしても、いつリスク選好の芽を摘んでしまうかわからない。そのような状況下、米国の利下げへの道のりは、現在マーケットが期待しているよりも長いかもしれない。より長期的なスパンで見れば、豪ドルが米ドルに対して2021年初頭から続く下降トレンドにあることも注目に値する。今年上昇が見られたとしても、それを覆すことはなさそうだ。
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