ポンドドルは上昇、ポンド/円は強い上昇トレンドが終わる可能性がある。本記事では、2024年第2四半期の英ポンド相場について、ファンダメンタルズ分析による予測をデイリーFXのストラテジスト ニック・コーリーが解説する。
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ファンダメンタルズ分析による英ポンド相場の見通し：BOEは第2四半期中に利下げに踏み切るか？
イングランド銀行（BOE、中央銀行）が直近の金融政策委員会（MPC）でハト派姿勢へ転換したことで、マーケットではBOEの利下げ開始時期が8月から6月に前倒しされるとの観測が広がった。米連邦準備制度理事会（FRB）と欧州中央銀行（ECB）は、いずれも最初の利下げを6月に実施すると見られており、もしこれにBOEが続くことになれば、投資家はこれら3つの通貨について、第2四半期の見通しを見直す必要が出てくるかもしれない。
今後数カ月でインフレ率が目標値に達すると予想される
英国のインフレ率はその変動を見る限り、今後数カ月でBOEが掲げる目標値に到達する可能性が高い。BOEは、年間総合インフレ率が「2024年第2四半期に2％をやや下回る水準まで低下」し、その後の第3四半期と第4四半期にわずかに上昇すると予想している。英国のインフレ率は2022年10月に数十年来の高水準である11.1％に達した後、急激に低下して現在は2021年9月と同程度の3.4％である。BOEはこの間、物価上昇圧力を継続的に抑制するため、一貫した姿勢で対応した。
英国のインフレ率の推移
出所：Office for National Statics
BOEのアンドリュー・ベイリー総裁は最近、BOEの認識では経済は「正しい方向に向かって」おり、マーケットに広がる利下げ予想については「納得感がある」とコメントしている。そして、市場関係者が予想する英国の利下げ開始時期は6月20日のMPCへと前倒しにされ、FRBやECBの利下げ時期と並ぶことになった。さらに、マーケットは既に、年内3回の0.25ポイントの利下げを織り込んでいる。
出所：Refinitiv、チャート作成：ニック・コーリー
成長率の低迷と労働市場のひっ迫が続く
経済の低迷が続く英国にとって、利下げは様々なセクターにとって朗報だろう。英国家統計局（ONS）の最新データによると、英国経済は、2023年第4四半期にテクニカルリセッション（実質GDP成長率が2四半期連続でマイナスになること。速報的な景気の転換点として認識される）の局面に入っており、成長率は2023年第3四半期の0.1％の縮小に続き、2023年第4四半期も0.3％縮小した。2023年通期も成長率は0.1％にとどまった。先日発表された英春季予算案では、国内総生産（GDP）が0.25パーセント程度押し上げられる見込みで、これ自体は悪くはないが経済を成長させるには追加で牽引役が必要になる。
賃金上昇率はやや鈍化しているものの、引き続き堅調に推移している。1月の平均収入（ボーナス控除後）は6.1％の上昇で直近インフレ率の3.4％を大幅に上回り、可処分所得の増加を示唆している。失業率は3.9％で雇用状況は引き続き堅調に推移する一方で、経済活動（16歳－64歳）も回復していて、パンデミック以前を上回る水準を維持している。
インフレ率の急ピッチでの低下と、停滞あるいはわずかに弱含みな労働市場で景気浮揚を図るには、6月20日のMPCで利下げを開始するという判断が正しいだろう。
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