WTI原油価格は、中東情勢と高値警戒感から、値動きが小さい。このような中、原油の需要に注目すべき動きが。原油価格の今後の見通しとは。
【関連記事】WTI原油、高値から5%下落。新たな局面へ。原油価格の今後の見通し(2024年4月18日公開)
【原油価格のターゲット】
上値①:89.85ドル
上値②:87.24ドル
下値①:85.00ドル
下値②:83.12ドル
原油パフォーマンス
WTI原油価格は、中東情勢の緊迫化と高値警戒感がせめぎ合い、小動きが続いている。イスラエルは、イランの攻撃に対して再報復する方針を明らかにしているものの、妥協点を探っている。西側諸国を中心に、イスラエルとイランの対立が激化しないよう、外交努力が続けられている。
また、イエレン米財務長官は、数日以内にイランに対する経済制裁の追加措置をとることを表明しており、イランからの原油輸出の更なる減少に繋がる可能性がある。
資料:BloombergよりDailyFXが作成
原油先物:需給改善を示唆
原油先物の直近限月(一番早く満期日を迎える原油先物)と次の限月(次に満期日を迎える原油先物)の価格差をみると、原油の需要の高まりが一巡した可能性がある。
一番早く満期を迎える原油先物の直近限月の価格が、次に満期を迎える限月の原油先物に比べて価格が高い、価格差がプラスの状態であることは、原油に対する需要が多いことを示している。しかしながら、価格差が縮小傾向にあり、足元の原油の需要の高まりがピークを越えた可能性がある。
価格差が一段と縮小し、原油需要が後退した場合、価格の下落圧力となる可能性がある。原油先物の価格差は、今後の原油価格にとって中立~マイナスである。
原油先物 限月間の価格差
資料:TradingView
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WTI原油価格の見通し
WTI原油価格(1バレル)は、中立パターンである「対称三角形(シンメトリカルトライアングル)」パターンを形成している。パターンを終値ベースでブレイクすると、上昇、もしくは下落トレンドが鮮明になる可能性がある。
原油先物の価格差はやや弱気であるものの、中東情勢を巡る不透明感が漂い、テクニカル面で中立な中、原油価格は上下双方に動く展開を想定したい。
原油価格が下落した局面では、トライアングルパターンの下方トレンドライン近辺、かつ心理的節目である85.00ドルへの下落が視野に入る。この水準を終値ベースで下方ブレイクすると、原油価格の下落圧力が強まり、3月19日高値83.12ドルへ下落することを見込む。
一方、中東情勢が一段と激化した場合、トライアングルパターンの上方トレンドラインをブレイク、2023年10月9日高値87.24ドルへの上昇が視野に入る。この水準を上方ブレイクすると、次の上値として、原油価格は、2023年10月20日高値89.85ドルをトライする可能性がある。
【原油価格のターゲット】
上値①:89.85ドル
上値②:87.24ドル
下値①:85.00ドル
下値②:83.12ドル
WTI原油価格日足チャート
資料:TradingView
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著