※2024年3月7日11時43分更新
6日のニューヨーク外国為替市場でドルは幅広い通貨に対して下落した。パウエルFRB議長の議会証言ではこれまで同様の発言が繰り返された。しかし市場ではここ数週間、米経済の強さを背景にFRBの早期利下げ観測を敬遠する見方が出ており、これを否定するような発言はなかった。そのため、ドル売りの動きにつながったようだ。今後の焦点は8日発表の米雇用統計に移る。
ドルは6日(米国時間)、米国債利回りが低下するのに伴い、下落した。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が半期に一度の金融政策報告に関する議会証言で、FRBは利下げを急いでいないと述べたにもかかわらず、ドル買いを巻き戻す動きに押された。
6日に下院金融委員会に出席したパウエル議長は、インフレ率が2.0%に向けて持続的に低下しているとの確信が深まるまで利下げは適切ではないとの考えを繰り返した。
パウエル議長の発言はタカ派寄りではあったが、目新しい内容ではなかった。前回の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合で表明された見解を繰り返したに過ぎない。トレーダーは「新しい材料がないということは良いニュース」と受け止めたようだが、米国債利回りとドルの押し上げ要因にはならなかった。
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パウエル議長の議会証言が市場に織り込まれる中、焦点は8日(日本時間22:30)に発表される米雇用統計に移っている。予想では2月の非農業部門雇用者数(NFP)は前月比20万人増と見られているが、上振れサプライズの可能性も否定できない。最近の米雇用統計は予想を上回る傾向にある。
NFPが驚くほど強い内容となれば、FRBは思った以上に制限的な政策を解除するのに時間がかかるとの見方を支えることになり、相場が動くきっかけとなるかもしれない。緩和サイクルの開始が遅れるとの観測が強まれば、ドルと米国債利回りの上昇につながり、6日のドル安の動きは逆方向に向かう可能性がある。
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ドル/円見通し - テクニカル分析
ドル/円は短期間、横ばいで推移した後、149.70のサポートを割り込み、下落に転じた。このブレイクダウンが日足チャートで確立した場合、148.90に向かって下降する可能性が高い。さらに下落が進めば、147.50を維持できるかに注目が集まるだろう。
逆に買い手が戻り、149.70付近を上回った場合は、上昇の勢いが増し、150.85の水平ライン(レジスタンス)に向かって値を上げる可能性がある。このレジスタンスの克服は強気派にとって難しいかもしれないが、ブレイクアウトすれば152.00に向けた上昇フェーズに入るシグナルとなりそうだ。
ドル/円 日足チャート
資料:TradingView
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変動 | ロング | ショート | 建玉 |
日次 | -9% | -8% | -8% |
週次 | -25% | -2% | -11% |
米ドル/カナダドル見通し - テクニカル分析
6日のニューヨーク外国為替市場で米ドル/カナダドルは急落し、1.3545―1.3535の重要なサポートゾーンを割り込んだ。このレンジを下回って週を終えた場合は、1.3475にある200日単純移動平均線に向かって下落する可能性がある。その下には1.3450の水準が控えている。
一方、相場が予想外に反転し、1.3535/1.3555エリアを超えた場合は買い意欲が再び高まり、1.3600へ向けて上昇する可能性がある。さらなる上昇局面では、2023年11―12月にかけての下落のフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準1.3620が視野に入ってくる。
米ドル/カナダドル 日足チャート
資料:TradingView
--- DailyFX.com マーケットストラテジスト ディエゴ・コルマン著
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