トルコ中銀による金融政策決定会合が近付いている。地方選後、初の会合である。4月に入り、TRYに注目すべき動きが。重要会合を控えたトルリラ円(TRY/JPY)の今後の見通しとは。
円相場の第2四半期予測ガイド:円を動かす主要な要因を専門家が解き明かします
【TRYJPYのターゲット】
上値:4.80円
下値:4.549円
トルコ中銀会合
トルコ中央銀行が、25日に金融政策決定会合の結果を公表する。政策金利を据え置くとの予想が優勢だが、一部では2.5~5.0%の利上げを実施するとの予想がある。
エルドアン大統領率いる政党AKPの地方選敗北後、はじめての金融政策決定会合であり、注目が集まっている。
エルカン前中銀総裁以降、政策金利の引き上げが実施されているものの、インフレの鎮静化の兆しが見られないことや、トルコリラ安が継続していることなどが、利上げ派の根拠である。
もっとも、利上げ打ち止めとの思惑が強い中、追加利上げが実施された場合や、追加利上げの可能性を強く示唆した場合、トルコリラ高で反応する可能性がある。
資料:Trading EconomicsよりDailyFXが作成
トルコリラの変貌?
トルコリラ安が継続しているものの、変化の兆しがある。4月に入り、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ観測後退や、中東情勢の緊迫化などを背景に、リスク回避の流れから米ドル高が進展している。
リスク回避に伴い、米ドル高が進展した局面では、リスク性の高い新興国通貨が弱含む傾向がある。ブラジルレアルやメキシコペソは、4月に入り、主要通貨の中でもっとも対米ドルで下落している。
一方、トルコリラの対ドルでの下落率は、主要通貨の中で最も小さく、底堅く推移している。このことは、TRYに対する投資家の見通しが徐々に変化していることを示唆している。
トルコ中銀会合で、インフレ抑制のための、積極的な金融引き締めスタンスが示された場合、トルコリラに対する投資家の見方を、一段と弱気から転換させる可能性があり、注目である。
資料:BloombergよりDailyFXが作成
トルコリラ/日本円(TRYJPY)の見通し
トルコリラ円は、エルドアン大統領率いる政党が、3月末の地方選で敗北以降、緩やかな上昇(TRY高JPY安)基調が続いている。MACDラインもシグナルラインを上回っており、トルコリラ高地合いを示唆している。
テクニカル面で強気シグナルが点灯しており、トルコ中銀会合にて、更なる金融引き締めスタンスが示された場合、トルコリラ高円安進行を見込む。
トルコリラ円は、心理的節目である4.80円への上昇が視野に入る。この水準の上方ブレイクに成功した場合、上昇トレンドへの反転を示唆する「ダブルボトム」パターンが成立し、トルコリラ高圧力が一段と強まることを見込む。
一方、トルコ中銀が、近い将来の利下げの可能性を示唆した場合や、日本の通貨当局により為替介入が実施された場合、トルコリラ安円高が進行するリスクに留意したい。
ドル円相場が、155円近くまで円安が進行しており、日本当局による為替介入の可能性が高まっている。為替介入が実施された場合、ドル安円高を通じて、トルコリラ安円高圧力となることが見込まれる。トルコリラ円が下落した局面では、3月29日安値4.549円への下落が視野に入る。
【TRYJPYのターゲット】
上値:4.80円
下値:4.549円
TRYJPY日足チャート
資料:TradingView
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-- DailyFX.com ストラテジスト 木全哲也著