【サマリー】
- “タカ派”のパウエル証言を受け利上げペース再加速の可能性が浮上
- 次の焦点はアメリカの雇用関連指標
- 今の外為市場は、“どの水準まで米ドル高が進行するのか?”が焦点に
- ドル円とユーロドルの見通しおよびチャートポイントについて
パウエル証言と各市場の反応
連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は7日、半期に一度の議会証言に臨んだ。
2月に入手した新たなインフレデータを受けてパウエルFRB議長は、1ヶ月前に見られていた軟化の傾向が一部逆転したと指摘した。
そして、次回の連邦公開市場委員会(FOMC、3月21~22日開催)では、今週10日の2月雇用統計と来週のインフレ指標の内容を踏まえた上で、再び利上げを加速させる可能性について言及した。
“タカ派”のパウエル証言を受け、3月FOMCでの50ベーシスポイント(bp)利上げの可能性が約70%まで急上昇している。
米債市場では金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りが、2007年7月以来となる5%台へ上昇する展開となった。
そして短期金融市場では、政策金利の最終的な水準(ターミナルレート)が5.6%台へ到達することを織り込む動きが見られる。
上で述べた金融市場の動きを受けて昨日の米国株式市場では、主要な株価指数が軒並み下落する展開となった。
外為市場では、米金利の上昇と株安を受け米ドル高が進行した。
次回FOMCの利上げ予想
出所:FEDウォッチ:3月8日 9時時点
アメリカ政策金利の予想推移
出所:OIS市場とBloombergのデータを基に作成 / 赤ライン:3月8日 9時時点
次の焦点はアメリカの雇用関連指標
パウエルFRB議長は8日に下院の金融金融サービス委員会で証言するが、市場参加者の関心はアメリカの雇用関連の指標にシフトするだろう。
今日は2月のADP雇用統計が発表される。今週の雇用関連指標で最も関心が高いのは10日に発表される2月雇用統計である。
しかし、“タカ派”の内容となったパウエル証言の直後であるだけに、各雇用関連指標の結果に対して米金利や米国株が上下に動くことが予想される。特に予想以上の内容に対して反応しやすい状況にある。
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ドルインデックスの見通しとチャートポイント
外為市場は米金利と米国株の動きをにらんだ展開が続くだろう。2月ADP雇用を含めて今週の雇用関連指標が総じて予想市場となれば、米金利の上昇または高止まりと株安(リスク回避相場)を受け、外為市場では米ドル高がさらに進行することが予想される。
米ドル相場のトレンドを示すドルインデックス(DXY)は104.00の “サポート転換” を達成し、フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準105.53レベルを大陽線で上方にブレイクしてきた。MACDも地合いの強さを示す状況にある。
上で述べたテクニカル面の状況を考えるならば、どの水準まで米ドル高が進行するのか?この点が目先の焦点となろう。
強い雇用関連指標の結果を受けてドルインデックスが106.00台へ上昇する場合は、200日MA(106.57レベル)のトライおよびブレイクが焦点として浮上しよう。この移動平均線は、昨年12月上旬に相場の戻りを止めた経緯がある。ゆえにドルインデックスが200日MAをも突破する場合は、昨年11月21日の戻り高値108.00レベルを視野に上昇幅の拡大が予想される。
半値戻しの水準106.98(107.00レベル)の突破は、108.00レベルをトライするシグナルと想定しておきたい。
ドルインデックスのチャート
TradingViewの日足チャート:22年10月~