※2024年2月28日11時30分更新
27日のニューヨーク金先物相場はなんとかプラス圏で引け、強気な展開を維持した。金価格は通常、ボラティリティの動きと連動するが、ボラティリティが低下しているにもかかわらず、金価格は持ちこたえている。米国の重要な経済指標であるGDPとPCEの発表を控える中、金価格の見通しを探る。
NY金 (XAU/USD) の分析
- ドル高と米国債利回りの上昇が緩和し、金のボラティリティは低下するも、金は上昇
- 金はトレンドラインを追い、50日単純移動平均線を試している
- このレポートは、チャートパターンと主要なサポートとレジスタンスを利用して分析しています。テクニカル指標に関する詳細は、当社の学習コンテンツをご覧ください
ボラティリティ低下もNY金は小反発
投資家が将来の金価格の変動をどのように想定しているかを表す指標である金価格のインプライド・ボラティリティは依然として落ち着いており、上昇の兆候はほとんど見られない。通常、金価格はボラティリティが上昇すると上昇し、ボラティリティが低下する時期に下落する傾向がある。
しかし、27日にドルが軟化し、米国債利回りがわずかに低下したことが、金価格を支えた。ドル安は、外国人にとって貴金属の購入価格低下を意味するため、金価格はドルと逆相関の動きをする傾向がある。
金の30日間ボラティリティ指数 (GVZ)
資料:TradingView、チャート作成:リチャード・スノー
トレンドラインを追い、50日SMAを試す
2024年の積極的な利下げ観測が後退していることを考慮すると、金価格は健闘している。昨年末には、2024年は米連邦準備制度理事会(FRB)による25ベーシスポイントの利下げが6回程度実施され、早ければ1-3月期(第1四半期)に利下げが開始されると予想されていたため、今年は金相場にとって好調な年になりそうだった。地政学的な緊張が高まっているうえ、金利低下は利子を生まない金の魅力を高めるため、資金の安全な逃避先としてさらに金は買われると思われた。
しかし、市場はその見方は誤りだったと気づき、FRBが当初予想していた年内3回の利下げというシナリオになびかざるを得なくなっている。利回りは実際に上昇しており、金相場はむしろよく持ちこたえていると言える。ロイターのレポートによると、1月の中国の香港経由での金純輸入量は2018年半ば以来の高水準に達した。中国人民銀行(中央銀行)による購入のほか、不動産セクターが低迷する中、富を維持しようと中産階級の市民が金を購入していることも金相場を支えている。
かつてのトレンドライン(サポート)を追いかけているゴールドは、現在50日単純移動平均線(青線)がレジスタンスとなり、今のところ上値が抑えられている。次のレジスタンスは2,050ドルだが、2,010ドル近辺での推移が続くと1,985ドルに向かい下降する可能性が出てくる。とはいえ、ボラティリティが低いため、2023年10-12月期(第4四半期)の米国内総生産(GDP、2次速報)または米個人消費支出(PCE)がサプライズな内容とならない限り、金相場は小動きにとどまりそうだ。
NY金 (XAU/USD) 日足チャート
資料:TradingView、チャート作成:リチャード・スノー
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--- DailyFX.com リチャード・スノー著
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