ユーロ/米ドルの上昇余地は限定的、レジスタンスが焦点に
ユーロ/米ドルは2023年下半期に見られた下落の大部分を取り戻し、この年を順調に締めくくろうとしている。中期的なトレンドは上向いて見えるが、利回りの差（紫の線）は長期的な上昇の可能性をあまり感じさせない。ドイツ国債10年物と米国債10年物の利回りの差により、値動きが上昇基調を保っているにも関わらずユーロ/米ドルは有意な上昇を示すことに苦戦を強いられている。このことは2024年第1四半期のユーロ/米ドルの上昇を限定的にし得るものだ。
ユーロ/米ドルとドイツ国債・米国債の利回りの差
出所：TradingView、チャート作成：リチャード・スノー
ユーロ/米ドルは中期的な上昇トレンドが依然として存在し、高値と安値を切り上げようとしている。今後発表されるインフレ率や経済成長率が、第１四半期全体を通じて値動きに影響を及ぼす可能性は高いが、上昇の余地はまだありそうだ。
最初のレジスタンスゾーンは、2023年1月の急騰で付けた高値の水準である1.1033付近だ。その次は、何度も試してみては失敗している1.1100である。1.1100は再び手に余る水準となる可能性もあり、そうなった場合には、2024年の第1四半期のユーロ/米ドルは1.1100と1.0656の間で取引されるだろう。これは広いレンジだが、先行きはきわめて不透明だ。
上昇局面においては、1.1033を超えれば強気継続とみることもできるだろうが、1.1100を下回れば再び下落局面に導かれる可能性もある。1.0929（2021年から2022年の下落のフィボナッチ・リトレースメント50%の水準）を下回る動きでは1.0724がサポート水準として意識される。つまり、第1四半期初めは上値を試す可能性があり、それに失敗した場合は1.1000以下の水準まで戻る可能性があるということだ。
ユーロ/米ドル 週足チャート
出所：TradingView、チャート作成：リチャード・スノー
日銀の政策転換が近づく中、ユーロ/円に売り圧力
日銀の超金融緩和政策からの脱却が近づくとの憶測で、ユーロ/円は圧力を受けそうだ。2023年末に向かいユーロ/円は急落し、154.00付近のサポートで下げ止まった。このサポートゾーンには、2023年の上昇のフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準が含まれる。
ユーロ/円の上昇の可能性は、手厳しいリスクとリターンの比率を示している。特に、以前のレジスタンス水準である159.75を上回るのには苦戦するだろう。もし、特にインフレ率と賃金上昇率が経済指標のトレンドが示唆するように上昇し続ければ、日銀がついに政策の軸足を移すという思惑は勢いを増しそうだ。
円高が進めば、第1四半期初めには151.60に届く勢いで154.00を試す結果となる可能性もあり、また、極端に売られた場合はフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準147.67を目指す展開もあり得る。週足のローソク足の大きさから考えると、上昇基調から売りが生じてモメンタムが変化しているように見え、ユーロ/円の地合いは弱まる可能性が高まっている。
ユーロ/円 週足チャート
出所：TradingView、チャート作成：リチャード・スノー
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