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欧州中央銀行(ECB)が政策金利をピークとなる可能性がある4%へ引き上げた後、第3四半期末にかけてユーロ/カナダドルは売られた。追加利上げに対するマーケットの期待が低下したため、ユーロは一気に下落した。世界的な成長減速が定着し、欧州通貨に重くのしかかるなか、欧州のファンダメンタルズも弱いままだ。ドイツ経済は停滞し、本稿執筆時点では景気後退におちいっている可能性さえある。他の欧州諸国もじきにそれに続くであろう。
期待外れの中国の経済活動再開は、依然として主要な貿易相手国である欧州に直接的な影響を及ぼしている。窮地におちいった不動産セクターが必死になんとか切り抜け、輸入需要が大幅に減少し、世界的な景気減速で輸出が伸び悩むなか、アジア諸国の見通しも悪化している。
大西洋を隔てたカナダも成長の観点からは苦戦しているが、相対的には緩い成長を遂げている。カナダにとってもう一つのプラス材料は、カナダで生産されるWTIを含む原油価格のここ最近の急騰である。世界の原油需要が堅調であることから、カナダドルに換算すると現地の収益は増えるはずだ。
カナダには2国間の金利差からの優位性もあり、これは第4四半期のユーロ/カナダドルの方向性を支えるものかもしれない。それだけではなく、直近の総合CPIの伸びによってマーケットはカナダ中銀が10月に再び利上げをおこなう可能性を半々として織り込んでいる。
インプライド金利の確率
出所:Refinitiv、チャート作成:リチャード・スノー
8月、カナダのインフレ率は上昇しただけでなく、3.8%という既に高めに設定されていた予想を上回り4%となった。7月のインフレ率は3.3%で、既に6月の2.8%から上昇しており、指標の上昇という懸念すべきトレンドが確立していた。強まるインフレ圧力の脅威が直ちに混乱を引き起こすことはないであろうが、もしそれがコアインフレ率にまで波及すれば、当局は年内にも金利を5.25%まで引き上げざるを得なくなる可能性がある。
カナダのインフレ率(総合CPI)
出所:Refinitiv、チャート作成:リチャード・スノー
テクニカル的には、長期的な反転のパターンとしてよく知られるヘッドアンドショルダー(三尊天井)が形成されているように見える。週足チャートで、このパターンの最初の展開であるネックラインの下抜けは、本稿執筆時点ではまだ果たされていない。ネックラインの突破後は、弱気の勢いが加速する前にネックライン(抵抗線となる)に向かって一時的な戻りが見られるだろう。
したがって、第4四半期に相場が下落する場合、1.4280に向かう戻りは心理的節目の水準1.4100への下落の扉を開く。その後、かなり離れた1.3700まで明確なターゲットはない。この取引は値動きが1.4280を下回り、反転上昇して1.4430を上にブレイクした場合には無効となる。
ユーロ/カナダドル 週足チャート
出所:TradingView、チャート作成:リチャード・スノー
--- DailyFX.com リチャード・スノー著
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